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点Pのような人

ほんの仲間内の小さな小さな勉強会を毎年開いている。
いつも集まるコアメンバーとそのつながりから何人かに声をかけるという、ほんとに小さな勉強会だ。

その打ち合わせをしていたら、「いしいさんの知り合いって大人しい人が多いよね」と言われた。
お行儀よく話を聞いているが、活発な議論になりにくい。
真面目で意欲はあるが我を出さない。
大人しい人ばかり、という。

これは本当にそうで、仕事をしていても、ウチの部下たちはなんとなく似たもの同士だな、といつも思う。
それぞれは個性的なのだけど、集団になると突出した振る舞いをする人がいない。
空気を読んでいる、とか、謙虚、というのとも違う、統制された感じ。

部下何人かを引き連れて、あるイベントのお手伝いに行ったときにも大層お褒めいただいた。
「いしいさんが連れてきた方々は一回で指示が通るし、察しが早くて動きも軽いですね」
そうでしょう、そうでしょう。
私が採用したのだもの😤

でも、裏を返せば均質な集団だということである。
ボスからも「いしいさんのとこは保守的というか、新しいことが生まれにくい感じがある」と言われたし、自分もそう思う。
集団が均質だからこそ、一定のクオリティを保証できる。
ただし、イノベーションは起きない。
チャレンジャーがいない、私も含めて。

ということに自分でも問題意識がないわけではなく、春に採用した一人は、これまでのウチの部署にはいないタイプの人だった。
明るく華やかで、物おじしない。
移動する点Pみたいな人。
いい感じで部内をかき回してくれるかもしれないと期待していたのだけど。

いいのか悪いのか、すんなりウチの空気に染まってきた。
いろいろアイデアを持っていて「それイイネ!」となることも多いけど、大きな意外性はない。
遠慮してるふうでもなく、言いたいことを言っている。
そもそも入職すぐ私に意見できるのが委縮していない証拠だ。
でも、枠をはみ出すことはない。
想定の範囲で動く点P。

働きは確かだし採用できて本当に良かった。
でも、目論見とはずいぶん違った。
馴染みすぎてしまったのか、面接の印象が過度に作られたものだったのか。

私としては働きやすいので有難いかぎりだ。
部下のケツ持ちが一番の仕事なのに出番は少ない。
でも成長しづらい環境だな、と思う。
子どもがまだ小さい人、ただお金のためだけに働きたいという人もいるので、全員何が何でも成長させなければ、とは思わないけど、刺激のない安穏としたこの感じは皆が望んでいることなんだろうか。

…みたいなことを考えて勉強会を企画しているのだけど。
10年前と比べると、予想外の動きをする点Pのような人は少なくなった。
時代のせい、世代のせいかもしれない。
点Pの面白さを伝えきれない私のせいでもある。
枠外にはみ出す点Pのためにいつでも頭を下げる用意はあるんだけどなぁ。

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