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安い愛

損な性格だと思う。
何とか大賞に選ばれただけでその本を読む気が失せるとか、タイトルが長いだけでもう読みたくないとか。
気分で出会いを減らしているからね。

映画もわりとそういうところがあって、ダサい邦題はそれだけでもう観たくなくなる。

外国映画の邦題は「愛」を使いがち。
愛を使えばなんでも感動的になると思ってる。
安いんだよね、愛が。

邦題ダサ問題を言うと、必ず「こんな素晴らしいタイトルがあります」っていう人が現れる。
よく例に挙げられるのは「An Officer and a Gentleman」
「愛と青春の旅立ち」に替えたからヒットした、とかね。
私は原題のほうが好き。
愛、青春、旅立ち…背中が痒くなる。

あ~でも、「Bonnie and Clyde」は邦題の勝ち。
「俺たちに明日はない」どう考えてもこっちのほうがいい。
という例外はあれど。

日本語しか解さない日本人が大半なのだから(私もそう)、どうにかわかりやすく翻訳しなきゃだし、その苦労もわかる(わからない)
でもね、なんかこう、ダサいのよ、ダサいの。

「愛を耕す人」を観たかったのだけど、8割くらい気が失せてる。
原題は「Bastarden」ろくでなしというような意味なのだそう。
これが「愛を耕す人」になる。
確かに原題を持ってこられてもわからない。英語でもないし。
でも、でもぉぉ!

しかも、キャッチフレーズが
「史実をもとに描かれる、壮大な<愛の軌跡>を辿る感動の物語」
邦題だけだったらまだ五分五分だった「観る気」が急降下した。
壮大、愛、軌跡、感動、物語
うわ~~(頭をかきむしる)

これは感動の物語です、と言いたいときに「愛」を使う。
ホラーではない、スプラッターではない、ノワールではない。
安心して感動してください。
心を揺さぶります。
泣かせます。

安く「愛」を使うのは邦題の敗北だ。
愛を押し付けないでほしい。



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