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一番近いショパン

ヒトの老化は44歳と60歳のときに劇的に進むそうだ。
これは実感としてわかる。
40になったときも、50になったときも、なんだがガクッと体力がなくなり衰えたと感じたが、そんなものは60を目の前にした今の衰えに比べれば、ひとえに風の前の塵に同じ。
あの頃のじんわりとした「年取った感」とは違い、明らかに具合が悪い。
具体的に悪い。
そしてそれが不可逆的なのも悪い。

先日、何故か分からないけどフラ〜ッと目眩がして肩をしたたかぶつけた。
痛みは3日くらいで良くなったし、ピアノを弾くのには影響なかったけど、何よりも先ず頭に浮かんだのは「ピアノが弾けなくなったらどうしよう」ということだった。
先日のレッスンでも先生と「ピアノが弾けなくなる状況がいちばんつらい」という話をしたばかり。
簡単によろけたことで、それは起こりうることとして恐怖にも似た気持ちがした。

ゆくゆくの目標としては、ショパンのノクターンが弾けるようになりたい、があるのだけど、そこに到達するまでに何かあったら…
それはそれでしかたない、と思う一方で、諦めきれないだろうとも思う。
基礎的なことを何もかも吹っ飛ばして、弾きたい曲だけ弾ければいいとは考えていない。
どこまで到達できるにせよ、できないにせよ、基礎から順番に一歩ずつ積み上げていくことに決めている。
ところが、現実的には残り時間との競走で。
私は超鈍足ときている。
ノクターンの前に弾けそうなのはワルツ19番かしら。
何がなんでもショパンが弾きたいわけではない、でもショパンにまったく触れずになにか起きてしまってもイヤだ。

などとあれこれ考えながらYouTubeを見ていたら、こんな曲を見つけた。


これは知らなかった。
こういう儚げな曲、大好き。
弾いてみたい。
たぶん、難易度としてワルツ19番の手前よね。

とりあえず、目標にしよう。
ステップ・バイ・ステップで。
…と考えていたら元気出てきた。


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