こだわり
私は大変な暑がりなので、コートの袖が窄まっていなくて少し風が入るほうが着ていて楽だということに、いくつか買ったのちに気づいた。
それ以来、コートを買うときは真っ先に袖を見る。
ポンチョもいいな~と思うのだけど、ポンチョのバランスって上級よね。
靴もけっこう試した。
この数年はメレルのトレッキングシューズしか買っていないし履いていない。
トレッキングシューズはどこまででも歩けるから好き。
本当はショートブーツにずっと憧れていて、背が高い私に絶対合うはず、と思っているのだが、少し足首が覆われるだけでめちゃくちゃ暑く断念した。
が、いつかはと思っている。
眼鏡はウェリントン型が一番似合う、というのも、かなりの試行ののちにわかった。
若いころはオーバルのツーポイントが好きでそればっかりだったけど、老眼が進んできてオーバルを選びにくくなり、結果遠近にしやすいウェリントンにしたのだが、誰に聞いても「前より似合う」と言われる。
好みと似あうって必ずしも一致しないね。悲しい。
ブルベ・イエベでいえばイエベなのに、好みの色は紺とか紫とかブルベ寄りでそれも悲しい。
確かにネイビーって昔からしっくりこないなーって思ってたけど、これが原因か!って長年の疑問が氷解。
でも、一周回って、やっぱり好きな色を着たらいいんじゃないの?と最近は思っている。同様に眼鏡も遠近にできるオーバルを選ぶようになった。
気に入ったものに囲まれて暮らしたい、がやはり何より勝る。
事程左様に、私はとてもこだわりが強い性格なのだけど。
今年の春先に急須を割ってしまって、「これから暑くなるから、涼しくなったら買えばいいよね」と言っていた急須の出番がいよいよとなり、密かにいろいろ探していたのだけど、家人が勝手に!勝手に!!急須を買ってきた。
こういうとき、「そろそろ熱いお茶飲みたいでしょ?」とさもいいことをしているつもりでいるのが、本当の本当に腹立たしい。
しかも、ウチはみな湯飲みが大きいので、ちっちゃな急須だと何回も淹れなきゃいけなくてお茶っ葉がすぐに開くからダメとか、みなお茶が大好きで何度も淹れるから軽くないとダメとか、急須のこだわりポイントはそれこそ山のようにあるのに、それを全部!全部!!外している。
私は滔々と語って聞かせた。
私は普段使うものでさえ「ま、これでいいか」というような選び方をしたことがない。
長年一緒にいて、私のそんな性格を把握してもらえていなかったのは誠に残念なことだけれど、これを機にぜひぜひ覚えておいてほしい。
何かを買うときは私にひと言聞いてからにして。
たとえスポンジ一つ買うときもだ!
お茶も淹れない、洗い物もしないのに、勝手に買うな。
そばで息子が頷いていた。
「オレだって、その急須は母ちゃんの好みじゃないってわかるよ」
家は3回建てると満足のいくものになるというけれど。
もしかして、結婚も3回くらいしないと満足いくものにならない?