狭き門より入れ
ようやくBEYERを卒業した。
ピアノを習い始めて1年6か月。
今年中に修了するのを目標にしていたので、思ったより早く達成できた。
とりあえず、お疲れ、自分。
106曲の練習曲のうち、私が一番好きなのは60番。
すぐ弾けるようになったし、好きすぎてたくさん練習したので、一発で合格してしまった。もうちょっと弾きたかったのに笑。
ポリフォニックな曲はどれも好き。
練習も全然苦じゃなかった。
先生にも「こういう曲好きですよね」と言われたけど、そのとおり。
ポリフォニーって美しい。
逆に左手のドソミソは嫌いだった。
こういうのとか。
モーツァルトが大好きなのにドソミソが嫌いだという、この矛盾。
アルベルティバスって難しいよね。
ああいう見かけが単純な一定リズムが私には難しい。
「もうこんなの一生無理💢」と思いながら弾いた曲もあった。
これとか。72番。
この曲はいまも全然弾けない。
先生に練習の仕方を教えていただいて頑張ったけど、全然弾けるようにならなくて、「この曲はパスしたい」って何度も喉まで出かかった。
唯一苦痛だった曲。
たぶん一番大目に見てもらった曲。
こんなの一生無理と思った曲がもう一つあった。
62番。
あの時は跳躍が難しく感じたけど、いま弾いてみたらなんてことなかった。
これより大きな跳躍のある曲を練習したからか、鍵盤の移動に目端が利くようになってた。
あらためて弾いてみて気づいたけど、いまは頭の中で曲が整理されてる感じがする。
あの頃はただ順番に指を動かすだけだった。
少しは成長したってことかな。
だったらいいんだけど。
一番心に残っているのは、99番。
この曲をきっかけとして、先生のお好きな曲やピアニストのお話をたくさん伺うことができるようになった。
もともと極狭かった興味の範囲がすごく広がった。
いろいろなピアニストの演奏に触れて、ますますピアノが好きになった。
その始まりがこの曲だった。
他にもそういう思い入れのある曲がたくさんあって、私にとってBEYERはとても素敵な教本だったと思う。
ピアノを習う上ではひとつの、そして一番手前の通過点に過ぎないのだけど、やり遂げた感でいっぱい。
ほんと、お疲れ様だよ、自分。
有難いのは先生の優しさと辛抱強さだ。
私はといえばいつも雑談が長いし、言われたことはすぐ忘れるし、せっかく教えていただいても全然できないし、先生もきっと思うことがたくさんおありだったはずなのに、ずっと変わらないスタンスで教えていただいた。
年だけ食ってビッグマウスな初心者相手だもの、苦労がないわけがない。
諦めずに熱心にご指導いただいて心から感謝している。
狭き門より入れ、という言葉があるけど、これでやっと、ピアノの世界の門を頭だけくぐったくらいだよね。
この先も道は狭そうだけど、どんな曲が待っているのか楽しみだ。