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言霊

本番中に起きたら嫌だな、ということが頭に浮かんでしまう、という話を先生にした。
先生が「たとえば?」とおっしゃったので思いつく限り挙げていった。

鍵盤が真っ白になってしまう
最初の音がわからなくなってしまう
暗譜が全部飛んでしまう
弾きなおしても弾きなおしても終わらない

言いながら「ほんとに起きたら嫌だな」と思ったし、「言うとほんとに起きそうで嫌ですけど」と言った。

外国語に「言霊」という概念があるのかどうか知らないけど、言葉そのものに何か霊的な力が宿っているという考え方が日本的で、私は好きだ。
超常的なものは一切信じていないので矛盾するようだけれど、言葉には目に見えない魔力があって、人が言葉を操るのではなく操られているのでは?と、言葉を使うとき、またはあえて使わないとき、それは自分以外の何かがそうさせているのでは?と思うことがある。

ネガティブなことばかり考えていると現実がそちらの方向に引っ張られてしまう。逆に、ポジティブな言葉はさらにポジティブな方向に物事を動かす。
実際にはそう感じるだけだ。
起きた結果をそのように引き寄せて考えて、単に外在化したことを言霊に結び付けているだけだ。

それでも、ポジティブに作用する言葉があるなら、そう感じるなら、理屈はどうあれ使えばいいではないか。
…とネガティブ思考の箱の中を、何か明るい言葉はないか、ゴソゴソ探している。

先生が何気なくおっしゃった「本番は必ず何か起きると思います」もかなり強力な言霊だ。
しかも、先生がおっしゃると説得力があるし、おっしゃらずともたぶん何か起きるよなぁ、と私も思う。
こういう場合の「何か」とはよくないことだ。
確率としてもよくないことのほうが起きる可能性が高い。

でも、よく考えたら「悪いことが起きる」とは限らないんだよなぁ。
何かは何かであって、良いか悪いかは決まってないんだよなぁ。

そうそう、何かは起きるけど、「悪いこととは限らない」
そうよね、そうそう(必死)
…いつもはネガティブな箱の中にも、いい言葉があったじゃん。

本番を想像して、もううっすら不安笑




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