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Ezofrogs大砂百恵さんインタビュー

プロフィール

大砂百恵さん

北海道稚内生まれ、小樽商科大学商学部の1年生でEzofrogs(※)に所属。幼い頃から親の転勤で転校が多かったという。転校はたくさん友達が作れるとの理由でポジティブに捉えており、現在も友達は多いそうだ。また、スポーツが好きで中学では陸上部に所属し、100m走、走高跳、砲丸投、200m走を行う四種競技に取り組み、北海道大会にも参加したそうだ。高校ではハンドボール部に所属し、ゴールキーパーとして北海道大会に出場するなど、高校時代まではスポーツに打ち込んで過ごした。また高校1年生の頃アメリカへ留学。その後小樽商科大学に入学しスキー部に所属。夏は活動がないため、ちょうど活動期間が半年であるEzofrogsに加入。

※人財育成を通じて未来を作り上げるプロジェクトを公募し、全国frogsプログラムを展開する株式会社FROGS(沖縄県)の北海道拠点。詳細: https://www.frogs-corp.jp/


トビタテ留学JAPAN

高校1年生のときに文部科学省が展開する”トビタテ留学JAPAN”のプログラムを利用してアメリカのロサンゼルスに留学。もともと宇宙への興味から宇宙飛行士を目指しており、スペースシャトルを見てみたいとの興味もあって計画書を作成・応募し、選考を通過したという。その際ロサンゼルスでホームレスに物乞いをされた経験が当時16歳の大砂さんにとっては衝撃的だった。数百億ドルをかけてスペースシャトルが建造される傍ら、1日に数ドルを求めて物乞いをする人がいるという社会の現実を知ったという。それがfrogsで活動するにあたっての大きな動機となったそうだ。物事の考え方や価値観に大きな転換点を迎えたという点において、高校生で海外に一歩踏み出したという経験は非常に大きなものだったのだろう。

大砂さん
「私は今まで宇宙を開拓したら世界が変わってみんな幸せになるのかなと考えていたけど、何百億ドルっていう資金をそういう貧しい人たちにおくったら幸せになる人が増えるんじゃないかなとか。そういうことを考え始めたのをきっかけに、社会課題とか弱者にも目を向けられる人間でありたいと思うようになり、社会課題の解決に興味が湧いてfrogsのプロジェクトも自分にズバッと刺さったという感じです」


frogsに興味を持ったきっかけ

ロサンゼルスで物乞いをされた経験をきっかけに、日本はものにあふれていると感じ、だからこそ新しいものを開発するだけではなく、今ある価値が無いとされるものに目を向けて価値を見出すことが大切なのではないかと考えた。「もったいないを減らしたい」という課題を取り上げfrogsで活動することになり、現在は「エコすぎる海藻プロジェクト」を展開している。過去の体験がそのまま今のプロジェクトにつながっており、経験が一筋の道になっているという印象を強く受けた。

大砂さん
「もったいないものって身近になにがあるかなって考えたときに、海に近い大学に通っているので海を眺めていて、曽祖父が昆布漁師だったことをふと思い出しました。そのときに”そういえば打ち上げられた海藻ってもったいないよな”って思ったことがきっかけです」


エコすぎる海藻プロジェクト

昆布漁業界では海岸に打ち上げられた昆布や、加工後のものでも廃棄するものが多く、海岸にある昆布の半分近くが廃棄されるそうだ。そうやって廃棄される昆布に新たな価値を生み出したいとの気持ちからこのプロジェクトを立ち上げ、通常では廃棄される昆布を、牛の飼料として再利用するという活動をしている。また、昆布飼料の効果は帯広畜産大学で研究されており、ただ飼料として活用するにとどまらず、その結果として肉質の改善や家畜の健康状態の改善、肉が長持ちする効果も期待できるという。

しかし、これらの研究がありつつも大学と昆布漁師との間につながりがないという現状がある。そこでビジネスモデルとして昆布漁師と酪農家をつないで飼料を提供できる仕組みをつくるほか、メタンガスの削減によるカーボンクレジットを企業に売却することで、すべてのプレイヤーが得をできるようなモデルを作り、新たな循環型社会を目指しているそうだ。これらのプレイヤーをつなぐ役割をプロジェクトメンバーが担うことで収益化できるビジネスモデルになっている。


好きなこと、そして将来

frogsでの活動で多方面に目を向けている大砂さんだが、その興味の対象も幅広い。

大砂さん「趣味でバンクシーの絵を模写したりとか、アートにも興味があります。バンクシーの絵はクスッと笑えるようなわかりやすいところもあって、とっかかりやすかったです」
バンクシー展を訪れた際、絵から感じたのは社会に対する反骨精神。風刺的なわかりやすいところもあり親しみやすかったそうだ。バンクシーの絵はモノクロで、鉛筆で描けるということから模写を始めたという。アートとしてはプラネタリウムにも興味があり、東京に来たときなどは必ず行くそうだ。

旅行も好きで北海道外の大学に行った友人の家などをはじめ日本全国を渡り歩き、来年はバックパッカーにも挑戦したいそうだ。
大砂さん「バックパッカーはヨーロッパを目指しつつも、最初は東南アジアもいいなって思って迷ってます。知り合いで夏休みにアメリカを横断した人がいて、ホテルには1日しか泊まらなかったそうですごいなって思って」

また、大砂さんの通う小樽商科大学は、母体となる国立大学法人北海道国立大学機構によって帯広畜産大学、北見工業大学の2校と経営統合した。
プログラミングや畜産系、アントレプレナーシップガイドなどの興味のある授業の履修もできるそうで、熱心に学んでいるそうだ。卒業後はもう少し学んでから社会に出たいという気持ちもあり、大学院進学やアメリカの大学にも行ってみたいという。

今後も社会課題に目を向けられる人間であり続けたいが、やはり宇宙にも興味があり、最終的には宇宙につながる仕事をしたいそうだ。スポーツや宇宙、そしてアートと幅広く興味を持てるからこそ新たな気づきを得て、今のプロジェクトに取り組んだり、今後もぜひ新たなことに挑み続けてほしいと願ってやまない。

むすびに

自分自身の経験を通してなにかを形にしていく。自身の経験に裏付けされているからこそ説得力のあるプロジェクトを展開することができているのだと感じたインタビューだった。興味は幅広く、これからも多くの経験を重ねていくことによってまた新たなプロジェクトや仕事に携わり、社会とともにあり続けることの意味を見つけていってくれることだろう。

インタビュー・文:尾本将太

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