俺のワールドカップ
私の友だちの話ep3
倫太郎は西日本で頭角を現し、東日本へ栄転となった。
当時大手通信企業は、ヨーロッパのワールドカップそしてオリンピック等の
通信仕事を一挙に担っており、通信企業という名前の傍ら、国の仕事を
請け負っていたので、建設会社の選定は全て通信会社に一任されていた。
新人のトップで東日本へ栄転した倫太郎は、大きなプロジェクトで働くことになり、オリンピックそしてワールドカップを結ぶプロジェクトに参加していた。
東京に来て落ち着く暇もないまま、通信企業の深い闇の部分を目の当たりにする。
建設会社はとにかく仕事の取り合いになる。
通信企業の担当者を調べ上げ、接待に次ぐ接待を繰り返す。
生まれて初めて来た東京で、毎晩 銀座、麻布、六本木、超が付くほどの高級クラブに連れて行かれ、毎晩のように美味いものを食べ、美女に囲まれまくり
『こんな仕事あるんかいな!?』と目を丸くしていた。
トンデモナイ世界に来たものだと。心底思っていた。
そこで一社に絞り込む。 あらゆる建設会社との接待を受けて一社に絞り込むなど、とてもじゃないけど大変なことだったのだが、上司は慣れている。
断るのも誠意のカケラもない。
これでいいのか? 頭によぎっていたが、毎日のような夢の生活はまだ続いていた。
ヨーロッパであるワールドカップに向け倫太郎たちはオランダに飛び立った。
オランダと言えば『飾り窓』という風俗街がある。
そこの窓には ”トンデモナイ美女”がショーウィンドウにディスプレイのようにして座り、お客様を待っているのだ。
所謂売春街がある。それは国も認める立派な商売の場所。
興味津々の倫太郎は上司たちと別れて、こっそりその場所に行った。
『ど、どの子にしようか?』 もう若い倫太郎は浮かれていた。
『この浅黒い彼女にしよう!!』何度も通りを行ったり来たりして、どうやってお客さんがお店に入るかをジロジロ見ること3時間。
ようやく決めた子の店に入り、ジャスチャーで身振り手振りで話しながら、室内に入った。
ウィンドーにいた彼女は入ってきた。
さすがオランダ人背が高い。倫太郎も185センチはある。
彼女は190センチ近かった
『オランダ人ってめっちゃ背でかいな。』 と心の中で思っていた。
でもワクワクしていた。
そして倫太郎は脱がされた。
彼女も脱いでいた。
そこで、衝撃を受けた。
女性だと思っていたが、実は男性だったのだ。
しかも性転換した。
逃げようかと思った。
だけど怖くて断って帰れない勢いだった。
『ど、どうしよう。怖いし、なんか変なことしたらボッコボコにしばかれそう』
怖さはマックスに達していた。
目の前にいる巨大な男性の女性
受付にいためっちゃ強面の人
『もうやるしかない!!』
勢いとは怖いもので、立派に倫太郎の片方無くした玉でも勃っていた。
思い切ってやってみた。
後日私に赤裸々にやった感想を話した。
倫太郎はいつも私に具体的に話す。
色々考えた結果、自分がやったことを誰かに体験したように聞かせることによって、罪悪感を逃れたいんだと。
『き、気持ち悪いからもう言わんとってくれる?』
『いや、俺は言っておきたいねん。誰かに言わな収まれへん』
とにかく倫太郎の初ヨーロッパ出張はこんな形で終わっていた。
そうして日本ではこの大手建設会社からのトンデモない仕打ちを受けて死にかけるとは夢にも思ってなかったのだ。
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