楽園のホストクラブ
私の友だちの話
倫太郎は大のバリ島好きで、休みがあれば何度でも行っていた。
地元のバリ人達と仲良くなり、彼らの悩みを聞くたびに
『日本は本当に恵まれた国だな』と思っていた。
仕事もなく、貧困に喘ぐ人もいる中、リゾートホテルが建ち並び外国人観光客は
正反対にお金を使いまくる。
よくこんな光景を目にしていた。
ヨーロッパ人女性が若いバリ人に抱きつきながら海に入っていく姿を。
バリには色んな意味で明暗がある。
山には『神』が住むというし、海には『悪魔』が住むと言われる。
もうだいぶん経ったがバリ島で爆発テロ事件があった。
とあるクラブで爆破事件が勃発。
負傷者及び死者が出た。そのほとんどがオーストラリア人だった。
その時にバリ人達は話していた。
その当時オーストラリアからかなりの観光客が来て、バリ人相手に派手に遊んでいたと。
だからバリの神様が怒ったのだと。
倫太郎はその光景を目の当たりにしていた。
若い男の子も女の子もお金で買われた。 家族がいてもそれが商売になっている子達もいた。
自分たちで生計を立てたいと考えているバリ人の友人達。
でもどうしようもなく、それが当たり前になっている日常の光景でもあった。
そうして倫太郎は考えた。
『東京で酒に何百万円も注ぎ込んでいるんだったら、バリに来て若い男の子達と
健全に遊んだ方がいいんじゃないか?』と。
昼間に思いっきり海でのアクティビティや、高級ホテルもあるし色んなことが
出来る。
『バリ島にホストクラブを作ろう!!!』
と、大胆にも倫太郎は行動に移した。
バリ島ホストクラブ計画を。
バリ人の友達達に声をかけて、日本からお客さんを連れてくるから絶対に接待するようにと。
一人ずつに若くてかっこいいバリ人をつけて、片言の日本語を教え込み接待させる。
そうしてバリ島に簡易ではあるが、リゾートホテルも建設した。
お客さんにはこう声を掛けた。
『バリ島に遊びに行かないか?』と。
そんな誘いなら、全員が『OK』となっていた。
そうして倫太郎はバリ島にホストクラブをオープンさせてしまったのだ。
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