清子さんの人生
倫太郎は清子さんと、男も女も身体を合わせれば合わせるほど
その人と一体化する。
それはお互いに大事に思っているようになるからだと思う。
それは倫太郎の身体の関係ではなく、だんだん心の関係になっていった。
ある日ベッドで寝てる時に何気に倫太郎は聞いてみた。
『なんか夢とかあったんか?』
親の同じ歳の清子さんに、むしろ恋人のような、女として接する心が芽生えてきた倫太郎。
清子さんは話し始めた。
『実わね、昔から医者になったら難民キャンプに行って、恵まれない子ども達の病気を治すことが夢だったのよ』
『そうか。。』
倫太郎は清子さんの生い立ちを知っている。
一生懸命大学に入り、親の小さい病院を引き継いだ結果、夫にとんでもないDVを繰り返しされた。
子供達は2人と恵まれたが、日々病院の診察が終わって夕ご飯の度に、
夫は薬と一緒にお酒を飲んだ。
そうすると、一気に吹っ飛び、酩酊状態に入る。
罵詈雑言、いつも何かで殴られた。
それもこれも自分の親から引き継いだクリニックを継いだせいだった。
旦那は研究気質。 街医者になれるような器でなかった。
ぶっきらぼうの上、はっきり話す。
患者達はみんな嫌煙していた。
だからこそ清子さんにみんな診察してもらいたがった。
それを見た旦那は、嫉妬に狂った。
そして『お前と出会えなければ俺は大学病院でトップに行った男だった』と清子さんに全ての悪いことはお前と出会ってから始まったと毎日罵って殴っていたのだ。
『それでも次の日には、患者さんのために笑わないといけなかったのよ』
力なく笑いながら清子さんは話した。
とんでもないくらいの傷を携えて倫太郎に会った。
私からしたら、出逢うべくして出逢った二人だったのだと思う。
倫太郎はそのうちバリ島の孤児院を探し始めた。
そして医療が足りていない貧民層の場所を探し当てた。
ある日バリ島に来た清子さんを迎えに行った倫太郎は言った。
『今から夢を俺が叶えたるわな。』
『あんた何言ってるの??』
『あははは!!』
倫太郎はバイクの後ろに乗せて連れて行った。
その先はバリ島でお金もなく、医療もろくに受けられない貧困街の小さな医療センターに。
そうして清子さんは、その医療センターにボランティア医師としてバリに来るたびに通って、患者を診ていた。
そして日本からもお金を送って、施設を建て直させ、医師を入れる手伝いをしていたのだ。
清子さんにとって、倫太郎は命の恩人であり、魂の恋人だったと思う。
だからこそ、倫太郎の次に行く道を手放しで応援したのだ。
もしもそこに執着があり、未練があればそれは『愛』ではなかっただろうし、
精一杯大事にされた清子さんは、真剣に倫太郎の今後を考えてくれたのだと思う。
清子さんは最後に倫太郎に言ったそうだ
『もう主人とは別れて、私は私の人生を生きる決意が出来たわ。それも全て
あなたのおかげです。本当にありがとう。』と
人はどんな出会いでも人は変わる。そしてどんな運命も、誰かに大事にされたり
誰かを思い遣ったりすれば、必ず変わる。
倫太郎の話を聞きながら、またひとつ大きくなった倫太郎にエールを送っていた。
『最後は、ホストクラブであの大玉と最後の挨拶に行ってくるわ!!』
大魔王のようなお客が最後の砦になった。
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