夢の途中
オーナーに呼び出された倫太郎。
静かに懇々と説教された。
オーナー自体100名以上のホストを抱えて、自身もホストから這い上がって来た。
色んなホスト達を世の中に出して行った。
もちろん馬鹿なホストもたくさんいた。
お客との揉め事も全部オーナーが解決していた。
女性のことを熟知していたのだ。
『倫太郎。今回はちょっとやりすぎたな。 海外に連れて行くとは良い度胸してるよ』
大笑いしていた。『だがな。俺たちはこの場所でしっかりサービスをするためにやってるんだ。外に連れて行くのはこの場所のためにやるならわかるが、このままではお前をここで働かせるわけにはいかないな。』
『申し訳ございません』 倫太郎はホストの世界も最後にする覚悟はどんどん出来ていた。
だからオーナーに知ってもらって反対にホッとしたのだ。
『辞める時期、僕が決めさせてもらってもいいですか?』
『もちろん、それはお前に任せるよ』
倫太郎は帰り道色んなことを考えていた。
一番問題なのは知子さんだ。
既にバリに移住していて、倫太郎がホストを辞めるなんて全く考えたこともなかったのだ。
『もう知子さんに渡すお金もなくなるな』
バリに行って、友人達にもこのことが終わることを告げないといけない。
不安な気持ちとは裏腹に、内心はホッとしていた。
『俺はなんで自分をこんだけ犠牲にしてやってたんやろかな』
苦笑いしながら、歌舞伎町を歩いて
『いつ終わりにするかなあ、その前に関わった人みんなの夢叶えたいな』
倫太郎は夢を叶えるためにあらゆるプランを考え始めた。
『よっしゃーやったるでー』
自分の夢も人の夢も全部叶えようと思ったのだ。