見出し画像

最後までのシナリオ

清子さんは一番の上客だった。
バリ島の病院を紹介したり、いろんなことをしているうちに、家族のようなそして大切な存在になっていた。

倫太郎に『最近あのおばちゃん元気か?あの水前寺清子さん?』って聞いた時
『誰が水前寺清子やねん!!しかもおばちゃん言うなや!』と。
『え????あんたが私に言ってたんやで!』と逆ギレした。笑

もう倫太郎の中では特別な人になっていたし、あれだけ貢いでくれたら男冥利にも尽きると言うものだ。

でも倫太郎は新宿のパークハイアットのカフェで告げた。
『俺、ホスト辞めるわな』
『そうなの?わかったわ。』
『だから、買ってくれたジャガーもマンションも全部売ろうと思ってる?』
『それってどう言うこと?』
『全部終わらせたいんよ』
『え?本当に言ってるの?』
『うん』
『そうなの? それでどうするつもりなの?』
『これからのことは俺にもわからんけど、オーナーにもバリ島のことが見つかり、俺もここからしっかり働いて、地道に頑張りたいなって思ってる』
『そうなの?』
『だから悪いけど、バリ島のホテルは知子さんにあげようかと思ってるんやけど』
『あなたがその気ならしょうがないわね。私はあなたのおかげで生きる意味を見出して、本当に感謝してるから』
『最後にバリに一緒に行ってもらえないか?』
『行くわよ。当たり前でしょ』

最後に一緒にバリに行くことにした。
倫太郎はとっておきのプレゼントを清子さんに用意していたのだ。

その反面、知子さんは動揺しまくっていた。
いきなり辞められたら、自分が何で生計を立てていいか?わからなかったからだ。
『困る困る困る』と常に倫太郎に悪態をついていた。

所詮人のお金なんて身にならない。
あれだけもらっていて、バリ島のスーパーなんて上手く行くはずもなく、倫太郎のお金だけが頼りだったのだ。

『あのホテルあげるから、好きに使ったらいい。ゲストハウスにするなり、売るなりしたらなんとか出来るやろ?』
倫太郎は情け半分で言っていた。
そんな言葉も心も知子さんには全く響かず。 倫太郎は途方に暮れていた。
#私の友だちの話 #ホスト#バリ島#女

いいなと思ったら応援しよう!