探偵物語
私のともだちの話
倫太郎と清子さんは、ホストとお客の関係を親密に繋げていた。
倫太郎にとっては、『初めてのお客様』だったし、清子さんにとっては
初ホストクラブに入れ上げたホスト。
それも全部後ろには知子さんという強者がコントロールしていたことを知らず。
清子さんは倫太郎をまるで恋人のように想っていたし、次第にエスカレートして行った。
『今どこにいるの?』
『誰といるの?』
『何してるの?』
しょっちゅう連絡が来る。
そして月1回のペースを守ってもらい、あのタワマンを買ってもらっていたのだ。
倫太郎からしたら、ホテルでコソコソ会うよりはマンションで会った方がマシだと思っていたのも大失敗。
マンションに来たらまず清子さんは走る。
想像してもらいたい、浮気を疑った女性が一番に何を見に行くか?検討がつくだろうか?
それはお風呂の排水溝をすかさずチェックに行く。
ある日清子さんが来て、走って排水溝を見に行った時に咄嗟に『ヤバイ!』と思った。
その当時倫太郎が気に入っていた女の子がいたのだ。
内緒で家に連れてきたことがある。(内緒と言ってもこれは倫太郎の家ではあるが)
その時に彼女はお風呂を使っていた。
『ま、まずい!!!!あれ以来排水溝まで掃除してない!!』
案の定清子さんは叫んでいた!!
『何これ!!!!! こんな長い髪の毛どこの女連れてきたのよ!!』
絶叫していた。
咄嗟に出た倫太郎の言葉。
『昔の大学の友達がバンドやっていて、そいつが泊まりにきたんや!!』
『バンド???』
『そうや、ロックバンドやっとんねん』
『本当に??』
『そんなん決まってるやろ。連れて来れるわけないがな!!』
『ふーん』 半ば疑る心が見えていたが、何とか収まっていた。
『ご飯でも食べにいけへん?めっちゃ腹減ってるから』
清子さんは今にも倫太郎にかぶりつきそうだったのを、何とか抑えて外に出そうと必死だった。
とにかく清子さんの嫉妬はエスカレートしていた。
清子さんは医者で別荘も持っている。
子供も離れており、夫婦仲最悪。 誰も別荘を使っていなかった。
そんな矢先に倫太郎に清子さんは話した。
『あなた使っていいわよ。』と。 清子さんと別荘に向かい誰も長年使ってないので荒れ放題の別荘に連れて行かれた。
都内から1時間半くらいの場所で、海にもとても近かった。
倫太郎はサーフィンをするので、『俺、週末とかに使ってもいいか?』
『全然良いわよ!!』
しかも温泉が引いてあるその別荘は古くはあるが、手を入れたらとても良くなる。
たまに倫太郎はその別荘を使っていた。
ある日『一緒に海でも行かないか?』と誘われたので、倫太郎はサーフィン
私はボディボードを当時やっていた。
『行こう行こう!!』と倫太郎のジャガーに乗り込み、色んなホストの話を聞いていた。
めちゃくちゃ面白くて、大きな口を開けて爆笑していた。
別荘について、温泉を見るとすごかったのだ。
『これ??ジャグジー??すっごい!!ほんまに清子さんは金持ちやな』
感心していた。
『たまに使わせてもらってるから、よかったら温泉も入っていいで!!』
海で散々遊んだ後に、温泉に入らせていただき都内に帰ってきた。
『また行こな!!』
『行こいこ!清子さんさまさまや!!』
と、笑っていたのも束の間。
それから1週間後、倫太郎から深刻な電話がかかってきた。
『あかん、どっかで時間あるか?』
『どないしたん??』
『探偵つけられてた』
『た、探偵!!!!』
『全部撮られてたんよ。女の子のことも。休みの日にどこに行ってるとか』
『なんやそれ!!』
とにかく会おう!
我々はカフェで待ち合わせして、ちょっとぐったりしてる倫太郎に驚いた
『嫉妬もここまできたら、キチガイレベルや!!』
怒鳴っていた。
『気持ちわかるわーそら、あたしだってキレるね。』
そうして倫太郎がぐったりしながら、一枚の写真をうすら笑みを浮かべて
私に差し出した。
『これ。。。。』
私は固まった。
開いた口が塞げなかった。
そこには両手を思いっきり叩いて、大爆笑している助手席に座る私と、
運転しながら、明石家さんまのように笑っている倫太郎が写っていた。
『どこから写したか?わからんけど。思いっきり撮られてた』
どっかの漫才コンビのように我々の大爆笑の写真がそこに会った。
『女って怖いね。』
『めっちゃ怖いやろ』
『洒落ならんな』
『ならんやろ』
『俺、清子さんとは一回距離置かんと、難しいと思ってるけどな。知子さんがな』
大体私は最初から懸念していたのだ。
全ての背後にいる知子さんが一番の根源で、清子さんを切るに切れない倫太郎を操っていることを。
『あんた。 ほんまにちょっと考えた方がいいで。』
『俺な、日本やからこういうふうになると思うねん』
『日本やから??どういうこと??』
そうして倫太郎から私は次の計画があることを知らされたのだ。
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