魔女のいる国で
バリ島のホストクラブは軌道にノリに乗っていた。
私の友人のシンガポール人の友達がバリ島で結婚式をすることになり、行くことになった。
そんな時に『そういえば倫太郎のホテルがあるからそこに泊まるか?』と倫太郎に連絡を入れて倫太郎のリゾートホテルに泊まることにした。
空港まで迎えに来てくれた倫太郎が、
『いやー見せたかったねー』と声も意気揚々と語り、
声を高々にバリ島について色々話してくれた。
もう倫太郎はバリ人にしか見えなかった。
あっちこっちタクシーで見せてもらいながら、屋台でご飯を食べてようやくリゾートホテルに到着した。
ホテルは私が思い描いていたホテルとは全く違う建物になっており、
まだまだ手を入れている最中のそのホテルというか一軒家には、庭がありジャグジーがあり、そして木彫りの巨大な男性器が庭のど真ん中に鎮座していた。
『り、倫太郎。。。あれ何?』
『あれ何ってわかるやん。 ここはホストクラブやで!!』
『それはわかるけど、めっちゃくっちゃ趣味悪すぎへんか?』
『あれがここのシンボルや!!何が悪いねん!』
ご飯を食べるリビングから、そして他の部屋から全部見えるこの庭。
趣味が悪すぎた。
リゾートホテルならぬ、巨大な一軒家は竹藪で囲まれていた。
『倫太郎、この竹藪ってやはり外から見えないようにしてるわけ?笑』
『ちゃうちゃう。これにはすごい意味があるねん!!』
倫太郎曰く、バリ島では魔女がいて人が話している話を聞いて、大切な話は全て
竹に向かって話して、封じ込めるらしい。
だから竹藪にして家を囲うと、魔女がたくさん良い話を持ってくるという言い伝えがあるらしい。
バリ島には神がいて、様々な迷信や神話がある。
海には悪魔がいて、山には神がいると言われている。
そして数十年前にバリ島のクラブが爆発火災があった時、バリ人は一人も被害者がいなかったが、遊びに来ていた多くのオーストラリア人が亡くなった。
バリ人曰く、オーストラリアから来る観光客はとても悪いことをしている人が多い。だから天罰が降ったのだ。とも言われていた。
私は友人でサイキッカーの子からバリ島に行ったら絶対に『ドリームランド』というエリアがあるから、絶対に行ってほしいと言われていた。
バリに長年行っている倫太郎でさえ知らなかった。
その場所はフォーシーズンズホテルの中にあるから行ってみて。と言われ、倫太郎と二人で行った。
フォーシーズンズホテルの崖の方を登り切ると、あまりの美しさに息を呑んだ。
バリ島の有名なビーチ ヌサドゥアビーチは見に行ったが入りたいとも全く思わなかったが、この『ドリームランド』は桁違いに美しかった。
『こんなところがあるとは俺も知らんかった』
ましてや現地人も知る人ぞ知る場所なので、皆さんも時間があれば行ってみてほしい。
夜にもう一回来よか!! と倫太郎と夜に行った。
月夜に光るビーチ。
本当に楽園か?ってほど美しい『ドリームランド』で、波音を聞きながら
『最高やな倫太郎!!!あんたのホテル行ってびっくりしたけど、ここ来て
バリ島最高って思ったわ!!』
『俺のホテルをバカにするな!』二人で笑っていた。
『あんたどうするん?これから』
その時倫太郎がポツリと話したのが印象的だった。
『えっちゃん。 俺、結婚出来るかな? 好きな女とか出来るんやろか?』と
その時、倫太郎は実は自分はとても汚いことをしてるんだなと思ってるんだと
初めて気がついた。
『あんたさ、やるだけやったら足洗って、絶対に結婚出来るから大丈夫や』
『そうか。 結婚出来るか。。』
とっても寂しそうに夜の海を見ながらポツリと呟く倫太郎が小さくなってる気がした。
倫太郎のこのホストクラブが事件に巻き込まれていったのだった。
#私の友だちの話#ホストクラブ#バリ島
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