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できれば宅浪を避けたい5つの理由

こんにちは。予備校講師・受験コンサルタントのシンノです。
入試結果が振るわず、春から浪人が決まった人にはつらい時期だと思います。しかし、来年の入試に向け、なるべく早い時期に自分の学習体制を決めなければいけません。

Twitter界隈を拝見していると宅浪という選択をした人も散見されます。経済的事情で他に選択肢がないという方は仕方ありません。しかし、それ以外の理由で宅浪を選ぶのはちょっと待ってほしい、というのが正直な気持ちです。

宅浪以外の選択肢とは、予備校生になるということです。宅浪するということは、予備校が果たしている役割をすべて自分でやらなければいけない、ということを意味するわけです。そして、ほとんどの人には予備校の機能を一人で果たすことはできないから、宅浪は難しいのです。

そこで、以下の文章では予備校の果たしている役割を整理して、それを宅浪では達成しにくいということを説明します。なお、経済的理由で宅浪しか道がないという方は、ここで述べられているデメリットをどう自分で解決していくかという視点で読まれるとよいでしょう

1.規則正しい生活を送ることが難しい

浪人生の授業は、ふつう朝から始まります。学校での生活リズムとほぼ同じと考えて良いでしょう。つまり、予備校に通っていれば半強制的に朝早く起きるという生活リズムをつくることができるわけです。

一方、宅浪の場合は学校に当たるものがありません。つまり、宅浪は毎日が夏休みなのです。どれほど高い意欲と意識がある人でも、こういう状態で生活リズムを一定に保つことは非常に難しいと言えます。

2.学習計画を自分で立案しなければいけない

予備校に通うと、日々の勉強は授業の予習・復習が中心となります。それ以外の学習についても担当講師から指示があり、その指示に沿って1年間勉強をしていくことになるでしょう。予備校の授業は教科を教えるだけでなく、勉強法を教える場でもあるのです。

宅浪の場合、自分で参考書を買い、自分のペースで勉強していきます。最近はネットに「○○大学を受けるなら△△をやるとよい」というアドバイスや必勝法のようなものがあふれていますから、情報自体は豊富にあります。難しいのは、その情報の取捨選択です。予備校講師のアドバイスは過去多様な受験生を指導してきた経験に基づくものです。一方、ネット上のアドバイスの大半は個人の成功体験(あるいは失敗体験)に基づくものです。

例えば、amazonの有名参考書のレビューを見てみましょう。1つの参考書に対して、星5つから星1つまで実にいろいろな評価があることがわかりますね。

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ある人にとって良かった参考書でも、別の人にとっては無駄な参考書だった、ということは普通のことです。使用者の学力レベル、あるいはレイアウトや言葉遣いへの受け取り方など、個人ごとに評価が異なるのはむしろ当然なのです。自分の経験だけに基づくアドバイスはとても危険です。

そして、厄介なことは、参考書とか問題集というのは本屋で立ち読みしたレベルでは良いか悪いかの判断がつかないということです。実際に使ってみて、数か月後に試験を受けて成果を実感する、といったことがないと、本当の良し悪しはわかりません。つまり、あるレビューやアドバイスに沿って参考書をやってみても、あなたにとって無駄な時間だったということが数か月後になってやっとわかる、ということが多いにありえるわけです。たくさんのアドバイスの中から自分に合うものを選び、そしてそれが効果を発揮するというのは非常に難しいことだと言っていいでしょう。

3.相談する相手がいない

予備校では講師やチューターと呼ばれるスタッフに勉強面でも進路面でも相談ができます。第一志望がはっきり決まっていても併願は難しいし、実際に共通テスト受験後にリサーチが帰ってくると、国公立を中心に出願先をどうするかは非常に難しい判断に迫られます。

最近はネット上で相談に乗るような人もいるようですが、上述したように個人の経験だけに基づくアドバイスは危険ですし、何より進路のアドバイスは実際に会って、あなたの性格や考え方、家庭環境など、色々なことを踏まえて行う方がより適切に行えます

4.集中して勉強できる場所が確保できない

予備校生の多くは自習室を利用して勉強します。これは、自分の家では様々な理由で集中できないことが原因です。宅浪の場合、自室で集中して勉強するしか他に方法はありません。カフェやファーストフード店に長時間座って集中できる、という人もいるかもしれませんが、現実には勉強の質は静かなところで音楽を聞かずに勉強した場合とでは差があるというべきでしょう。

5.親との関わり方は簡単でない

浪人生は、親御さんにとっては不安そのものです。あなたのことを心配するあまり、時には厳しいことも言ってしまうでしょう。自室で勉強している場合、保護者の方はあなたが本当に勉強しているかどうかわからないのです。もちろん、予備校に通ってもこれは同じですが、予備校にきちんと通っているというだけで、家にずっといるよりも多少安心できるものです。また、ずっと家にいると保護者の方と顔を合わせる時間も増えますから、宅浪生の多くは保護者との関係性に苦労しているようです。

最後に:例外的に宅浪で成功するための条件

さて、以上の観点から、宅浪はなるべく避けてほしい。親に借金してでも予備校には通うべきだと思います。ただし、経済的な事情は自分ではどうにもできないところもあります。上のような難しさを理解したうえで、宅浪で成功する条件を探ると以下のすべてに当てはまる人になるでしょう。

①自分で時間をコントロールでき、規則正しい生活ができる。

②自分の課題が明確で、それに向けて何をすればよいかわかっている。

③志望校が明確で、どんな成績でも迷わず、受験校が変わることがない。

④自室でも集中して勉強できる。

⑤保護者との関係性を良好に維持できる。

多浪の人は必然的に宅浪が多くなり、ときに合格の事例を目にするのは、たとえば以前の浪人の段階で、自分の課題が明確にわかっており、東大志望で出願先が変わるはずがない、といったような②・③の条件が満たされているからでしょう。ほとんどの受験生は①の段階でつまずきますし、②も予備校の授業を受ける中で、自分の課題を再発見できる人が大半。現実には難しいものです。

選択肢がなく、宅浪せざるを得ない人は、上のようなことに注意して、栄冠をつかんでいただければと思います。

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