北陸新幹線米原ルートを推す理由
京都ー小浜ルート規定路線も、北陸新幹線敦賀延伸、東海道新幹線の混乱で北陸新幹線ルート議論が再燃
最近、東海道新幹線がよくとまります。今年の7月には保守車両同士の事故が起き、大混乱しました。また、雨や風でも止まる事がよくあります。
その度にSNSなどで話題になるのは代替ルートの議論でよく挙がるのが北陸新幹線とリニア中央新幹線の建設の話です。
今回は北陸新幹線の話です。北陸新幹線は現在、運転系統としては東京から福井県の敦賀まで結んでいます。東京から北陸のアクセスは格段によくなりましたが、関西や東海地方から北陸へのアクセスは敦賀での乗り換えがあり、所要時間の大幅短縮にはなっていないため、不便になったという声もあります。そのため、北陸新幹線の大阪までの延伸が望まれています。
現在、決定したルートは小浜ー京都ルートで、建設に向けて調査が進められています。
他に湖西線ルートや米原ルートも検討されていましたが却下されています。
ネット上の意見では現行の小浜ー京都ルートを推す声か、以前のように金沢まで在来線特急で十分という声が多く見られます。
しかし、北陸の一部自治体では米原ルートにすべきだという声もあがっています。
私も米原ルートを支持します。もっというなら米原止めルートを支持します。
参考↓
米原ルートは距離も短く、建設コストも低い
建設延長は約46キロで建設見込費用も約3000億円とされています。他ルートだと距離は100キロを超え、建設費も6000億円を超えるとされています。ある程度交通網が成熟し、かといってかつてのように経済的な勢いがない現代において、コストカットは必要でしょう。
米原ルートは環境問題もそこまで気にする必要がない
米原ー京都ルートで懸念されているのが、京都市内などを中心とした地下水枯渇問題やトンネル掘削による環境破壊です。
もちろん、どのルートで建設するにしても、騒音問題など何らかの環境問題を抱えることになります。
米原止めルートであれば、人口密集地帯を通る訳ではなく、田園地帯を走ることになり、環境への影響は最小限に抑えられると考えられます。また、用地買収も容易でしょう。
小浜ー京都ルートのように、京都駅をどこに建設するか問題を検討する必要もありません。
関西直通にこだわる必要性はないー米原止めで十分
なにより北陸新幹線延伸ルートの議論になると、対関西の視点でばかり語られ、対東海の視点が置いてけぼりになっています。関西に比べると人口や経済規模は少し劣りますが、名古屋駅発のしらさぎ号が北陸方面へ直通してたことからもつながりが皆無という訳ではありません。
米原ルートだと、東海方面のアクセス利便性も確保されます。また、関東、東海方面から東海道新幹線経由で来た場合、敦賀ー米原で在来線特急に乗る必要がなくなり、乗り換え回数が一回に減ります。
また関西方面からだと、乗り換え回数が一回と現状と変化はありません。しかし、米原駅在来線8番のりばを取り壊す、新幹線13番線を転用などして、同一ホームで乗り換えられるように工夫してもいいと思います。この場合、東海方面のホーム移動が発生しますが、跨線橋の増設などしてなんとか解決を図りたいところです。
このように米原止めルートになると、必然的に米原乗り換えが発生しますが、敦賀乗り換えに比べると心理的な抵抗は軽減されると考えます。
米原止めでも東海道の代替ルートとして機能する
東海道新幹線が止まっても在来線が混乱する区間は比較的閑散区間に限られる
去る7月の東海道新幹線事故による運休で北陸新幹線の関西直通の声が高まりました。在来線が入場規制がかかるレベルで大混雑していたことなどから米原延伸は論外という意見がよく見られました。しかし、本当にそうでしょうか?
前の混乱で特に問題となった区間は、豊橋ー浜松間で、豊橋と浜松で大きな混乱となりました。
他方、運休区間に含まれていた名古屋ー豊橋間は多少の混雑はあったようですが、大混乱にまで至っていません。
それは名古屋ー豊橋間は在来線も頻発運行、しかも名鉄線も並行しているのに対し、豊橋ー浜松間は本数も激減し、列車の長さも短くなるところただからです。
東海道線で平時でも比較的終日混雑してるのは豊橋ー浜松間と同じく本数や列車が短くなる米原ー大垣間です。
次に、これを前提に北陸新幹線が米原まで開通した場合の東海道新幹線が全線運休となった場合の東名阪間の代替手段を鉄道を中心に見ていきましょう。
東名間
東名間の代替ルートは在来線の東海道線ルートか中央線ルートになります。
東海道線がネックとなるのが、本数が少なくなる静岡県区間です。名古屋ー浜松で運休になった時も先述の通り、静岡県が絡む区間で混乱が発生しました。
また、中央線は裏ルート的な感じで知名度が低く、大混乱にはならなさそうです。ただ特急を2本乗り継ぎ、東海道線に比べると本数が少なく、接続が悪くなることがあるのがデメリットです。
因みに高速バスはそこそこ走ってますが、飛行機はほとんど飛んでいません。
また、東名間は名阪間より離れており、中央線はより山深いところを走行し途中で東海道線と結ぶ南北軸路線がそれぞれ離れているので、中央線の力が発揮しにくいと感じます。
ただ北陸新幹線延伸で、このルートが知られることで関西方面の旅客の東海道線への流入が減り、多少混乱はマシになるかもしれません。
名阪間
北陸新幹線が米原止まりになると、新幹線開業で在来線の特急車両も現状のように用意できなくなるため、かなりの混乱を懸念する意見も散見されましたが、杞憂に終わる気がします。
名阪間は東名間に比べると鉄道網が充実しています。
まず挙がるのが、近鉄です。近鉄が東名間の中央線ポジションになり、山越え区間を抱えておりリスクはありますが、平時でも特急が一時間に3-4本(乗り換えが発生する列車含む)走っており充実しています。
他に名阪間には関西線と言う路線もあります。この路線は単行の気動車が走る区間も存在し、代替手段としては心許ないです。
しかし、柘植駅からは東海道線草津、京都方面につながる草津線が分岐しており、選択肢そのものは多くなります。
また、飛行機こそありませんが、高速バスも走っています。高速道路(自動車専用道路)網も名神高速のバイパス路線がない区間も草津ー瀬田間に限られており、名阪間の方が充実しています。(新名神は全通していませんが、京滋バイパスや第二京阪があります。)
東阪間
東海道新幹線がストップすると、北陸新幹線の活躍が特に期待されるのが東京ー大阪間です。
もちろん、北陸新幹線が直通する方が、代替路線としての機能を存分に発揮できますが、米原止まりでも十分と考えます。
懸念点として、先述のように特急車両が不足するみたいな意見もありましたが、杞憂に終わると考えます。
米原以西の在来線区間は比較的日中時間帯は空いている区間です。かつてのように12両の新快速電車を一時間に2本走らせられるのであれば、混雑で済むレベルと考えます。また、この区間は新快速に加え、普通も走る区間です。名阪間の移動については先述の通り分散が期待されます。
大阪に近づくにつれ、本数も増加し、京阪間は私鉄もあるので、名古屋ー豊橋間のように大きな混乱は見られないと考えます。
さらに北陸新幹線延伸で輸送力は落ちるとは思いますが、湖西線ルートがあるのも心強いです。
一方で問題になるのは名古屋方面の米原ー大垣間でしょう。ただし、これは北陸新幹線が名古屋方面に直通しない以上、米原止まりであろうと関西直通であろうと、問題に直面する区間です。ただ先述のように名阪間は選択肢が多いので豊橋ー浜松ほどの混乱にはならないかもしれません。
でも結局のところ、、、
ここまでダラダラと北陸新幹線が米原止まりでも十分な理由を書きましたが、東海道新幹線が運休するという事態に直面したら無理に動かないのが賢明なような気がします。
北陸新幹線も現状維持でいきましょう。
もちろん宿泊の問題は発生しますが、そちらを解決した方が手っ取り早いかもしれません。
日本の大動脈で、経済活動には大打撃ですが、東海道新幹線が運休になるくらいで動じないような社会、異常時は無理に移動しない社会になるのが理想ですね。
とは言っても限られた休日、限られた仕事時間でそれをしろっといっても容易ではありませんが。