コモン≒重なる心象風景
ニューコモン商会は、天竜二俣をベースにまちに散在するコモンを見つけたり、新しいテクノロジーや価値観から成るコモンが既存のまちにどのように実装されていくのかを考えるユニットです。
自然地形や象徴的な都市空間など、時代を超えて変わらない(変化が極めて少ない)ものがある。自然地形では、遠くにそびえる山脈や海の見える丘、悠々と流れゆく河川など、象徴的な都市空間は、寺社や広場、祭りのときだけ現れる祝祭空間、道路空間、公共交通関連施設(駅や線路等)などが挙げられる。そうした場が多くの人間にとって印象的、魅力的である場合、その積層が集合知的なコモンを生むのではないか。また、駅や公共空間など、その空間や施設を使う人が多いほど、その場所が持つ印象も増えていくだろう。
その場で感じる印象はあくまでも個々人の中にしかないが、それを言葉や写真等で表現しメディアに載ることで共感を生み、それが他人の琴線に触れて心象風景となり、またそれを別の時間・場所・方法でその人なりに表現して、、、ということを繰り返すことで、ある力を持った場所はコモンとなっていくのではなかろうか。
その結果、自分の中に経験から来る心象風景が貯まっていくだけでなく、行ったこともない都市や風景の写真を見て感じる郷愁があることにも気づく。例えば、この記事のカバーに使った画像は、天竜浜名湖鉄道二俣本町駅の無人駅舎だが、この場に来たことのない人であってもどこかなつかしさのような気持ちになる人も多いのではないだろうか。民族や地域、時代を超えて形成される抽象化されたコモンがあるように思う。
抽象化されたコモンを持ちつつも、今目の前にある場から、自分なりの視点で極ローカルなコモンを見つけ面白がれることができるよう、観察の解像度を上げていきたい。