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"3点とる"その上で"勝つ"、川崎フロンターレの意識革命サッカーが面白い!

実は趣味の一つがサッカー観戦です。幼いころからよく見てきました。

ひいきのチームではないのですが、近ごろえらく感心したチームがあったので、思わずnoteを書いています。

このえらく感心したチームこそ、川崎フロンターレです。

有名なのは、スタッフをふくめて非常にアイディア豊富(算数ドリルをつくっていたり、お風呂とのコラボを実施)だということでしょうか。そして、どうやらサッカー文化が根付きづらい川崎市にプロチームを根付かせたチームであり、川崎市民にとっては、もはやかつて川崎に会った緑と黒のチーム何て全く覚えていないということのようです。
※その昔、ヴェル○ィ川崎というチームがあったのです。。。。。

今シーズン断トツで強い川崎フロンターレ

話がそれましたので本筋に戻します。

今シーズン、川崎フロンターレは断トツの強さを誇ります。1位をキープし、得失点差も笑ってしまうような数字です。

その理由は、今シーズン特別の5人交代制、過密日程など色々理由が考えられ、それらは既に色々な方が言及されていますのでそちらに譲ります。

そんな中でも私が最も興味をひかれたのが、鬼木監督のこちらの発言です。

「今年は1点、2点では何が起こるか分からない。毎回簡単に取れないが、常に3点以上を目指すのは共有している」
(日刊スポーツ,https://www.nikkansports.com/soccer/news/202007200000531.html

この発言自体は、額面通り受け取れば、まあそうだなという感想です。しかし、対戦相手として川崎フロンターレを見たときに、得点のとりかたを見たときに、おや、これは実はとんでもないことなのではないかと思いなおしました。私にとってサッカーにおける意識の革命といっても過言ではありません。

"勝利"が第一義ではない革命サッカー

非常に簡単にいえば、川崎フロンターレは"勝利"を目指していないチームだといえるのではないかと感じました。

もちろん、プロである以上、勝つことがとても大きな意味を持っています。それは間違いありません。

しかし、川崎フロンターレは"勝利"のさらに上のレイヤーの目標をもっているのではないかと感じるのです。

それは、非常に陳腐な言葉ですが、"地域(川崎市民)のため"や"サッカーに関わる人のため"ではないかということです。

いや、そういう目標をたてているチームはいっぱいあるよ、という声、その通りだと思います。しかし、そういったチームは結局"勝利"をつきつめている印象があるのです。

"勝利"をつきつめると足元をすくわれる

そういったチームが悪いとは思っていません。鹿島アントラーズのようなチームは勝利を追及してきた結果、非常にすぐれたチームをつくりあげてきたのだと思います。

私が感じることは、勝利を最終目的とすると、鹿島のような一部"勝ち慣れた"チームを除いて、試合終盤に「どうやったら勝って追われるか」ということを意識するがあまり、FWとDFで意識の違いがうまれたり、過度に緊張してしまったりすることが多いということです。

しかし、川崎フロンターレの試合を見てみると、試合終盤に焦りを感じません。チームがバラバラになるような印象をまったく受けないのです。

それもそのはずです、彼らは"勝利"よりも意識して達成したいことがあるのです。ですから、すべての意識を勝利に注いでいるわけではないのです。もう1段、2段別の目標を合わせてみているはずです。

その一つは"地域のため・人のため"という目標でしょう。しかし、非常に漠然としていますし、人により思い描くことがあまりにも違っていまう可能性があります。サッカーをする上ではこの部分について共通認識をとる必要があります。

そして、この部分こそ、私が最も興味を持ったものです。

革命的な「数値目標:3点以上」

冒頭の鬼木監督の発言に戻ります。

「常に3点以上を目指す」という発言です。

これこそが現在の川崎フロンターレを川崎フロンターレたらしめている考え方、理念と言っても差し支えないものだと思います。

私の考える川崎フロンターレの意識構造はこうです。まずは一般的なチームの例から。

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続いて現在の川崎フロンターレの考え方です。

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これまで、一般的なチームに求められることは、面白い試合もして、しかも試合に勝つということです。

しかし、「面白い試合」と「勝利」は時には矛盾します。勝利のためには、守備の比重を大きくしなければならない場合があるためです。

そして、この比重は、11人の選手全員で共有しきることが大変難しいものです。

しかし、川崎フロンターレは「3点以上」という数値目標を掲げたことで、シンプルに色々なことを解決しました。

まず、3点以上取るということ。これはどうしても持てる技術やチーム力を駆使しなければなりません。その時、間違いなく"プロとしての技"を見せることになるはずですし、観客はそこにお金を払っています。高い満足度につながります。

そして、3点以上取ると、ほとんど負けません。事実、今シーズン3点取って負けたチームは一つもありません。昨シーズンでもあったかどうか、というレベルです。

そして、選手間の意識共有さえも解決されます。たとえば、川崎フロンターレが2-1で勝っていた試合終盤、相手が強豪だったとしても、守りに入ることはないでしょう。なぜなら彼らには「3点以上を取る」というタスクがかせられているからです。

これが4-0でも川崎は攻め続けるでしょう。それが「3点以上」にこめられた思いだと考えます。

一番の敵は「3点」

既に述べたように、「3点以上」という数値目標を掲げることで、川崎フロンターレのチーム内に意識革命を起こし、それが今の強さにつながっているのだと思います。

では、他のチームも同じようにすればいいんでは?という単純な疑問が浮かんできます。ここが、この意識革命の面白いところです。

結論から言えば、この考え方を実践できるのは、現在のJリーグでいえば、横浜F・マリノスくらいではないでしょうか。その理由は分かるでしょうか?

答えは簡単です。「3点」が難しいのです。

昨シーズン、最も点を取ったのは優勝した横浜でした。1試合平均得点は2.0点です。これも結構すごい数字です。

そして、3点以上をとったのは12試合ありました。全34試合ですから、約35%です。

昨シーズン得点力が最も高いチームがこの値です。3点以上をとることがどれくらい難しいかお分かりいただけるでしょうか。

しかし我が道を進む川崎フロンターレ

それでは今シーズンの川崎フロンターレの状況をみてみましょう。

14試合が終わった段階で、41得点。なんと1試合平均2.93得点です。3点以上の試合も8試合で約57%。圧倒的です。

シーズンでの1試合平均3得点もみえてきました。

この攻撃力があればこそ、「3点以上」を常に念頭に置いた試合運びができるのです。

あるデータによれば、Jリーグの1試合の1チームの平均得点は約1.3点だということです。多くのチームにとっては、「3点以上」を掲げることは、現実からかけ離れたことをしようとしているように思えます。

この道は川崎にしか歩めない道だといえるかもしれません。

2020シーズンもこれから中盤戦、そして後半戦に入っていきます。

”優勝”の2文字がちらつきはじめたときに、はたして今の精神状態でサッカーができるのか、ギリギリの場面でこそこの革命的な「3点サッカー」の真価が問われそうです。

川崎フロンターレ。引き続き注視していきたいと思います!

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