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日本酒の「製造年月」とは何か?

前回、丸彦酒造さんの日本酒は、スペック情報(日本酒度・酸度・アミノ酸度など)が開示されているので、どんなお酒なのか分かりやすくてよい、という話をしました。(次のサイトの「最後に・・・」参照)

ただ、日本酒の箱やラベルを眺めていると、結構たくさんの文字が書いてある場合がありますよね。
よくわからない言葉も多いです。
そのなかでも、古酒・熟成酒の箱やラベルには、例えば、「2006年」と「製造年月2019.11」が一つのラベルに表示されていることがあることに気付きます。
何だかしっくり来ません。

先日飲み比べをした、丸彦酒造 三重の寒梅 琥珀尊の4合瓶には、「昭和四十三年度仕込」「製造年月 20.4.」の両方が、瓶の裏側のラベルに表示されています。

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上槽時期か?

日本酒には、「上槽」という工程があります。
これは、発酵を終えた醪(もろみ)を搾って、棲んだお酒と酒粕にわける作業のことです。
この段階で、日本酒は完成するわけですから、「2006年」と「製造年月19.11」の両方が表示されていれば、「2006年」が、製造年月でないなら、この「上槽」した年のことなんだろうな、と想像できますよね。

では、「製造年月」というのは、一体何だろう?

日本酒を販売するために瓶やパックに詰めた時期

日本酒の場合、基本的には、「販売する目的を持って容器に充てんし密封した時期」を、「製造年月」として表示することになっています。
これは、「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律」第86条の6第1項の規定に基づき、「清酒の製法品質に関する表示の基準」で定められているんです。

参考サイト:
清酒の製法品質表示基準を定める件(国税庁)
「清酒の製法品質表示基準」の概要(国税庁)

製造年月が上槽時期と一致しない、謎

つまり、日本酒の「製造年月」とは、上槽時期ではなく、日本酒を販売するために瓶やパックに詰めた時期なんですね。

上述の古酒・熟成酒のように、「2006年」と「製造年月2019.11」が一つのラベルに表示されていれば、2006年に上槽され、2019年11月に販売するために瓶詰めされた、ということになります。

ただ、古酒や熟成酒として積極的に販売している日本酒の多くは、上槽時期を表示しているものもありますが、そうでない場合、表示義務がないので、書かれていない場合が多いです。

そのため、ラベルや箱を見ただけでは、貯蔵・熟成期間はもちろん、したかどうかどうかさえわからないこともよくあるのです。

うん?でも、古酒とか熟成酒以外は、日本酒って、造られてすぐかそれに近いのを飲むんじゃないの?
製造年月が上槽年月じゃないなんて、どうしてそんな分かりにくいことになっているんだろう?
これは、きっと日本酒造りの仕上げの工程は、上槽ではなく、実は、貯蔵・熟成だからではないかと思います。
次回は、それについて考えたいと思います。




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