TRPGにおける、キャンペーンの新しい形の提案
キャンペーンとは、
一つのシステムで
一人のキャラを継続し
連続したシナリオ
を遊ぶもの。
…そう思っていた時期が俺にもありました。厳密に言うと昨日まで。
一人のキャラの成長や冒険譚という点で見れば、それは間違いではないです。
しかし、どんな世界にも己のキャラを取り巻くNPCや他のPCがおり、彼らとの関係の変化を主眼に置いてみると、話は変わってくるのではないでしょうか?
あなたは駆け出しの冒険者です
一人酒場の扉を開けたあなた。
目に入ってくるのは、人間の他にエルフやドワーフといった異種族がテーブルを囲み、酒や料理に舌鼓を打ったり或いは賭け事に興じたり…
喧騒の中、酒場のマスターに近づき声を掛けます。
「新米か。残念だが、今は駆け出しが一人でできる仕事はねえぞ。」
ぶっきらぼうな物言いですが、暗に仲間と組めば紹介できる仕事もある、と教えてくれているのか? 偏屈なだけかもしれませんが。
「おいおい、ここはいつから子供が来るような場所になったんだ?」
近くで飲んでいた荒くれ者がからかってきます。新人だから舐められているのでしょう。
依頼をこなしていけば、彼らにも仲間と認められる日が来るでしょうか。
カウンターの端には、一人静かに酒を飲むいかにも手練れといった雰囲気の男。
駆け出しのあなたでも知っている、「静かなる鉄壁」の異名を持つ有名な戦士です。
雲の上の存在で、今は話しかける事も躊躇われますが、いずれ共に仕事をする未来があるかもしれません。
「ホホウ、おぬし新人か。よろしい、新たな旅立ちに乾杯といこうではないか!」
赤ら顔のドワーフが、所在なさげなあなたの背中を叩きながら、ジョッキ片手に自分のテーブルへ案内します。
「右も左も分からんのだろ?ワシに任せい、基礎を叩き込んでやるわ!なぁに、ここの連中は皆、ワシが育てたようなもんじゃ!ガハハハハハ!」
しばらくは、この気の良いドワーフと行動を共にする事になりそうです。
「よおよお、丁度人手が欲しい案件があるんだが、いっちょ噛まねえかい?そう難しい仕事じゃない。」
話を聞いていたのか、隣の席の男が話かけてきます。今回だけにするか、今後も付き合いを続けるか、仕事を共にする中で考えてみましょうか…
いかがでしょうか?
酒場を一つのベースとして見てみると、参加メンバーは固定である必要はなく、シナリオも連続せずとも良さそうに思えませんか?
酒場をベースとしたオムニバス形式
酒場の面々はNPCかもしれませんし、その時参加していない人のPCかもしれません。
セッション予定日に都合がつくPLのPCが、上記のようにその時々でパーティーを組めば良いわけです。
何なら、システムだって違っても良いのです。ソードワールドのキャラがクトゥルフのようなホラーに挑むのもアリですし、オーヴァードが剣と魔法の世界に挑むのもアリです。
アマデウスから神が出張ってきてるかもしれませんし、フードつきマントを目深に被っている鎧姿の人物は、もしかしたらロボットやサイボーグかもしれません。
機械とファンタジー系が同居できるか?という疑問に関しては、サモンナイトを思い浮かべてみれば、解消できるかと思われます。
基点となる酒場とそこにいる人々だけ設定し、様々な世界(システム)を冒険する。
エターナルチャンピオンならぬ、エターナルタバーンというわけです。
この形式ですと、自分の都合の良い時に参加できる為、参加頻度が低いのでキャンペーンを見合わせていた人でも、気軽に参加できるのではないかと思います。PLの共通認識=酒場はここにあるのですから。
「よう、久しぶりじゃねえか!丁度人手が足りなかったんだ、一緒に来ないか?」
GMは持ち回りでも
システムもシナリオも自由なオムニバス形式という事は、GMも一人である必要もないという事です。
単純に自分のやりたいシステムをやるのも良いですし、誰かのシナリオをプレイ中に思いついたネタや、自分なりの解釈で似たテーマをやる事も可能です。
最後に
キャンペーンを続けていけば、引退やロストで酒場に来なくなったキャラもいるし、新たに加わる者もいるでしょう。
そういった登場人物の変化も含め、参加者全員で今後10年20年と、少しずつこの酒場を作り続けていきたいな、と考えています。
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