見出し画像

言葉にのるエネルギー

以前スーパーの休憩所でのことです。
4才くらいの男の子がおじいちゃんとおばあちゃんと一緒にいて、お母さんの買い物が終わるのを待っている様子でした。しばらくすると、男の子が
「あ〜のどかわいた!のどかわいて死にそう!!なにかのませてよ〜!のどがかわいて死にそうなんだよ!!死んでもいいっていうの?!」
と騒ぎ出しました。おじいちゃんとおばあちゃんは、
「もうお母さん来るよ。まったく遅いねぇ」
などと一言・二言いうと、その後は二人ともスマートフォンで暇つぶし・・

私が驚いたのは、男の子の言葉の強さでした。ほとんど命令形の様な口調で大騒ぎしているのです。どんどんエスカレートしていくに従って、おじいちゃんとおばあちゃんはますます見て見ぬ振り。もしかしたら、いつもこのような様子なのかもしれないと思いました。

この男の子の言葉には、怒りの様な、イライラしたエネルギーを感じました。そのネガティブなエネルギーを持ったまま、人に害を与えているような様子でした。いつまでもネガティブエネルギーを抱えたままでいると、男の子のように当たり散らすという状態に陥ります。
そして、イライラしている相手にイライラで対応すると、そのイライラエネルギーは倍増します。
このおじいちゃん・おばあちゃんのように、イライラしている相手を「相手にしない…」と決め込んで“無視”という状態でも、その人の中に“イライラ”があれば、表面上で無視の振りをしているだけなので、同じ事なのです。

また別のエピソードで、以前ある野外保育をしているところに見学に行った時の事です。
私の前を二人の男の子が歩いていました。そこは、ぬかるみに落ち葉が降り積もって、歩くとふわふわするような道でした。二人は
「ぷかぷかするねぇ」「ぷかぷかするねぇ」
「おもしろいね」「おもしろいね」
「なんでだろうね」「なんでだろうね」
と柔らかい雰囲気で笑い合いながら話していました。
すると、後ろから追いついてきた二人よりも少し背の高い男の子が、その話を聞いて、
「その下には水があるからプカプカしてるんだよ!しらないの!?」
ときつい口調で二人に向かって言い放ちました。
私は『ケンカになるかな?』と思いながら見ていると、二人組の男の子がそれまでの口調と同じ、柔らかい雰囲気で
「そうなんだ〜」
「〇〇くんすごいね〜」
と、その口調のきつい子に言いました。すると、後から来たその男の子は、拍子抜けしたように
「そうだよ〜下に水があるんだって。」
と、今度は二人と同じ柔らかい口調になって答えました。
二人の穏やかなあり方のエネルギーで中和されて、トゲトゲとしたネガティブなエネルギーが消えてしまったのです。

私はその二人が売り言葉に買い言葉でケンカになると思っていたので、意外でした。そして、二人の柔らかい言葉がケンカ腰の子の言葉も柔らかく変えてしまったことに感動しました。


怒りを持った人に対応する時に、その対応する人の中に怒りのエネルギーがないと、2つ目の穏やかな二人のエピソードのように、そのネガティブなエネルギーは消えてしまって、その場に影響は与えません。

同じ様な怒りのエネルギーを持ったもの同士が近づくと、そのエネルギーが増幅し、ケンカになります。
子どものケンカでも、中途半端に大人が収めてしまうと、そのエネルギーを引きずって、また別の場面で同じ子とケンカをしているということが起きます。
何を言ったか、やったかよりも、その言葉に含まれているエネルギーその人が発しているエネルギーが原因の場合が多いのです。

言葉もエネルギーです。そして、その言葉が含むエネルギーの質も様々です。

言葉を発する側も、そしてその言葉を聞く側も、
「その言葉にどんな質のエネルギーが含まれているのか?」
ということに意識を向けることが大切です。


「口にしてよい言葉の条件は、自分に害を与えないこと。他者に害を与えないこと。両者を含めた生きとし生けるものに害を与えないこと。」(要約)
仏陀が我が子ラーフラに説いた言葉

言葉には意味だけではない、もっと私たちに影響を与えるが伴っています。
「自分がどんなエネルギー(質)を持つ言葉を発するか」を意識し始めましょう。

時には沈黙で在ることが、負のエネルギーを生まない増幅させない方策なのです。

本来、子どもは2つ目のエピソードの二人のように、穏やかな存在なのだと思います。
怒り・イライラ・悲しみを大きく抱えてしまうのは、大人(身近な大人だけでなく、テレビなども含む大人)が発する言葉のエネルギーなのかもしれません。

穏やかな世界で遊ぶ二人の子どものように、私たち一人ひとりの意識が穏やかな世界を創るのではないでしょうか。

https://www.new-edulittletree.com


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?