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誠実に、感情を扱う

少し前にこんな夢を見ました。

私はどこか広い敷地を歩いていました。疲れたので近くに積み上げてあった角材の上に腰を下ろして休んでいると、その角材はクレーンで吊り上げられてしまい、ビル5階くらいの高さで止まりました。私は恐ろしくて身動きもとれず、声も出せずにすくんでしまいました。
その時、携帯電話がなり、着信の画面を見ると仕事のクライアントからの電話でした。私はその電話を取り、何事もないように平然と話していました。電話が終わった途端、恐ろしさに襲われ「キャーー!」と叫び・・目が覚めました。

この夢の体験から、咄嗟にネガティブな感情を押し殺し隠してしまう私なんだ…ということに気がつきました。
あまりにもリアルな夢で、この体験が私の中に残り、もしかしたらこのように自分の感情を押し殺しながら、日々過ごしているかもしれないと感じました。

そしてその夢を見た次の日、ある青年と会いました。
その青年は、一人でいると「怖い」「寂しい」「不安」という感情に押しつぶされそうになる・・ということでした。そして、それらのネガティブな感情を感じないように、しょっちゅう友だちと会ったり、誰かと出かけて気を紛らわせたり・・という日々を送っていました。でも、ネガティブな感情は膨らんで行くばかりで、どうしたらいいかわからなくなってしまっていました。
そこで、私の夢の中での体験を話すと、「ぼくも平気なフリをしているのかもしれない・・」と気づきました。

このように、ネガティブな感情は、感じないようにしたり、見ないようにフタをしたり・・ということを自動的にしている私たちなのかもしれません。
特に男性は、「男の子なんだから泣かないの!」「男の子は強くないといけない」と育てられてきて、自分の弱い部分や感情を直視しないように生きているのかもしれません。
また、親から「いい子」に育てられてきた人も、ネガティブな感情…怒りや悲しみなどは「悪いもの」として、感じないようにしてしまうことがあります。
最近はポジティブシンキングが「良いこと」とされている傾向もあります。このポジティブシンキングは、ネガティブな感情や考えを出さないように、出さないように・・と思考で押し殺してしまうことがあります。
押し殺した感情は、自分の中でどんどん大きく膨らみ、そのうち抱えきれなくなってしまうのです。

感情もエネルギーです。

ネガティブな感情はマイナスのエネルギーとして、ポジティブな感情はプラスのエネルギーとして存在します。両方の感情を受け入れることが大切です。

私は子どもの頃、良く言えば感受性が豊か・・悪く言えば感情の起伏が激しい子でした。
今でも覚えているのが、自分が遊んでいたおもちゃを妹に取られてしまい、怒りに任せて「返せ!」と追いかけ、取っ組み合いになりました。その時親が「お姉ちゃんなんだから貸してあげなさい!」と、そのおもちゃは妹に渡されてしまいました。私は自分の怒りが収まらずに近くにあった物をバーンと蹴っ飛ばしたのです。それを見た親も激怒し、押し入れに入れられました。
その時期の私は、いつでも爆発しそうな怒りのエネルギーを抱えていました。

私はお人形ごっこが好きでよく一人で遊んでいました。ヒーローと悪者の戦いを演じて人形を戦わせたり、王子様とお姫様の物語を作ったりしていました。そして人形を通して、怒ったり、泣いたり、喜んだり、悲しんだり・・と感情移入していました。
その当時の私は、怒りと何だか泣きたい気持ちが入り交じっていて、お人形ごっこを通してそれらの感情を発散していたんだということが今はよくわかります。

子どもの様子を表すことわざで「泣いたカラスがもう笑った」という言葉がありますが、昔の人は『子どもとはこういうものだ』と泣いたり、怒ったり、笑ったりしている子どもを、理由探しをせずにどっしり見守っているあり方がこの言葉から感じられます。

感情のエネルギーは理由があって出てくる訳ではありません。
怒りが出て来たら、そこに怒りのエネルギーがあるだけ。
悲しみが出て来たら、そこに悲しみのエネルギーがあるだけ。
感情が出てくると「〇〇のせいで怒っている」「◯◯だから悲しい」と理由づけしたがる私たちですが、感情と理由とは別なのです

理由付けしている時は、思考で感情を作り出し、その感情がまた思考を刺激するというように悪循環している状態、これを“カーママナス”と言います。

感情が出て来たら、理由をつけず、ただそれを味わうだけにしてください。

怒りが出て来たら、ただその怒りを感じ、誰もいない海に向かって叫ぶとか枕を叩いたりしてエネルギーを発散してみてください。(人へぶつけることはしないで下さい。)
悲しみが出て来たら、ただその悲しみを感じ、ハラハラと泣いてもいいのです。
「なんで怒ってるの?」「なんで泣いてるの?」と聞かれたら、「怒りたいから怒ってる。」「泣きたいから泣いてる。」と、理由をつけないことです。
ただ、その自分の感情を誠実に扱って、表現するということが大切です。

“自分の感情に誠実である”
このことが、自分を大切にすることに繋がります。

自分を大切にし、感情を味わっている人は、人を大切に、人の感情に寄り添うことができる人となります。

体験があるからこそ、共感が生まれます。
体験があるからこそ、人との繋がりが生まれます。
そしてまた、他の人の体験は自分の体験にも繋がり、様々な体験をすることが可能なのです。

「世界はひとつ」であることは、共感から生まれるのだと思います。
今の時代に最も大切なのは、この体験から来る共感・繋がりなのではないでしょうか。


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