感覚や感情を誠実に扱う
私がまだ保育士になったばかりの頃、オムツ替えで悪戦苦闘していました。
0歳児クラスの十数人の子ども達、どの子にも同じように接してみても、オムツを替えることを嫌がる子、嫌がらない子・・反応は様々。そのことから、子ども達の個性を感じていました。
ある時、じっくりと一人ひとりを観察しながらオムツ替えをしてみることにしました。手際よく終わらせてしまうのではなく、じっくりと関わりながらオムツを替えることで、それぞれの個性が見えてきました。
嫌がる子のほとんどが、自分がやっていることを中断されて怒っているという、反応に見えました。
そのことに気づいた私は、「オムツ替えに行かない?」とか「そろそろオムツ取り替えっこしようか?」など、子どもの気持ちに寄り添うような接し方へと自然に変わりました。そして、スムーズにオムツを替えることができるようになりました。
それでも、オムツ替えを嫌がることもあります。その時は「じゃあ、あとで替えようね。」と声をかけ、しばらく遊びの様子を見て、遊びが一区切りついた時に誘うと、大体嫌がらずにおむつ替えをさせてくれるようになりました。
「時間だからオムツ替えをしていた時」と「子どもに寄り添いながらオムツ替えをしていた時」とは、私のあり方が変わっていました。
このように、0歳児の子どもにも大人のあり方が伝わります。
ヒトはこの世に生まれたら、一人の人間です。どんなに小さな赤ちゃんにも、意志があり、人格があります。3才までが人格形成の時期…と言われていますが、すでに持って生まれた人格があるのです。
その子どもの意志・人格を尊重する大人の誠実なあり方が、小さな子どもにも伝わります。
自分の子どもでも、実際は、子どもの内面まではわからないものです。
小さな子どもはなかなか上手に自分を表現できませんが、どの子どもにも感情があり、意志があります。
『今、どんな気持ち・感情・身体の感覚があるのか?』
ということを、私たち大人が観察し、汲み取り、その子どもの中にあることを認識し、そのまま受け取るということが、あるがままであるということです。
子どものあるがままを認識しようとする時は、質問攻めにしないことが大切です。
ついつい私たちは、子どもから言葉で説明を聞きたくなるものです。
しかし12-3才までは、感覚で自分の感情などを捉えます。それまでは、言葉にさせるということはあまり必要ありません。
感覚で物事を捉えているため、言葉にならないことも多いのです。
そして、言葉にしようとすることで、その“感覚”ではなく、
「こう言った方がいいかな・・」
「何か正しい答えを見つけないといけないのかな・・」
というような思考に意識が向いてしまい、その感覚や感情に蓋をしてしまいます。
様々な感覚がある
色々な感情がある
それをただ「あるなぁ・・」と認めるだけでOKです。
その感覚・感情は、良いも悪いもなく、ただ存在しています。
これは、大人にも当てはまることです。
自分の中に出てきた感覚や感情を否定せずに、そのまま観るということが大切。
こうして、自分の感覚・感情を誠実に扱うということが、自分自身を大切に扱うことに繋がるのです。
「なんか、嫌な感じがするな〜」
「居心地悪いな〜」
「違和感を感じるな〜」
という感覚をそのまま感じることによって、自分の新しい価値観が作られます。
そして
「イライラする」「ムカムカする」「なんだか悲しい」
という感情を誠実に扱い、素直にそれを味わうことが大切です。
自分の感覚・感情を誠実に扱える人は、人の感覚・感情も誠実に扱います。
暴力は、不公平な抑圧や自分が尊重されてないことへの失望などから引き起きると言います。
お互いのことを誠実に扱える社会にこそ、真の平和が訪れるのではないでしょうか。
http://www.new-edulittletree.com
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?