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抑えつけられた感情の出口

“気になる子ども”の相談を受けることが時々あります。
先日、ある保育士さんからの相談を受けました。
4才の女の子が、いつもイライラした様子で、落ち着かないけれど、どう対応したらよいのでしょうか?ということでした。
話を詳しく聞けば聞くほど、その子どもにある怒りが伝わって来ました。
その怒りの元がどこから来るのか、具体的な出来事は何があるのか・・などを聞くうちに、「その怒りはその子ども個人のものではないかもしれない」ということに気づきました。
そして、「そのお子さんのお父さんとお母さんは上手くいってますか?」と聞くと、その保育士さんはハッとして「上手くいっていません。お母さんが我慢しているみたいです。」と話してくれました。
その子の親御さんからの直接の相談ではないので、真実はわかりませんが、何かあるだろうと感じました。

私たち大人は「気になる子ども」というフィルターを通して見がちです。そして、どうしても子どもの「気になる行動」に焦点が当たりがちで、その行動をどうにかしようとします。
「なぜこの子はこうなのだろう?」「何が原因でこうなるのだろう?」と、原因探し理由付けが始まります。すると、その「気になる行動」にますますエネルギーを注ぐことになるので、その状態が続いてしまいます。

エネルギーは私たちが意識を向けた方に流れていくからです。

大切なのは、俯瞰して全体を観ること。
そして、一人ひとりの違いを認識し、その子の中にある感情を感じること。

どうしても私たちは表面的な“良い・悪い”で判断しがちです。イライラしている子どもが目の前にいると、そのイライラしている様子が悪いとして、大人自身もイライラし始めて子どもを叱ったり、イライラを何とかごまかそうと、機嫌をとったり・・といったこともあるかもしれません。
それは子どものイライラに大人も反応している状態です。

どうしても私たちは「このイライラは何のせいだろう」
「このイライラをやめなければ(やめさせなければ)」と
何とかしようとし、原因探しをすると、その“イライラ”にエネルギーを注ぐことになります。
そんな時は、ただ反応している自分(大人)がいる・・そのことを認識するだけで良いのです。

『その時、子どもの中にある感情は、“イライラ”である。』
ただそれだけです。
その子ども自身も好き好んで“イライラしている”訳ではなく、ただイライラのエネルギーに反応しているだけなのです。
このような時は、子ども自身もどうしたらいいかわからない状態です。
子どもや自分(大人自身)に、継続しているイライラや怒りがあるとき、何か表現しきれていない感情があるのかもしれません。

感情は表現されると消えます。表現しないように抑えると継続し、自分の中で膨らんでいきます。
怒りやイライラ以外のその他の感情、悲しみや不安などもそれと同じです。
それらの感情を抑えようとすればするほど、継続し、心の中で膨張していきます。

冒頭の質問の“気になる子ども”は、怒りの感情がもう抑えきれないくらいまで膨らんでいるのではないでしょうか。
感情はエネルギーです。
その感情のエネルギーを認識していることが大切なのです。

今の時代は、今まで隠してきた様々な感情・出来事などが表に出てきています。
家族の中で代々抑え付けられて来た感情や思いなども、一気に噴出していることがあります。その吹き出し口が子どもなのかもしれません。
そう捉えると、その子どものイライラも、大人自身のイライラも、その時にいじくることなく、そのままにしておくことができるのではないでしょうか。


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