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“今”体験していることを体験する

あるお母さんが『褒めない子育て』についての講演会に参加したことを話してくれました。その講演会の中で以下のような話があったとのこと。

“絵を描いている子どもに対して、『上手だね』というとその子は、次も上手に描かなければと思うようになる。褒めることは、子どもを自分よりも下に見ていることになる”

そのお母さんは、
「『上手だね』って言っちゃいけないとなると難しくて‥。『上手だね』って言い過ぎたから、うちの子は絵を描くのが嫌いになったのかなぁ。」
と話していました。

どんな趣旨の講演だったのかを良く聞くと、「子どもを尊重しましょう」という内容で、決して間違ったことは言っていません。
でも、その例に出されたことを 「『上手だね』と言ってはいけない」 というように“方法”として聞いてしまうと、出来事一つひとつに「この時はどうしたらいいのか?」と一つの答えがあるかのように考えてしまいます

この“やり方”をしてみようと思うと、「上手だねって言っちゃいけないから・・えっと、何て言おう・・」と考えているうちに、気づいたら子どもはもう目の前にはいなくなっている・・というのがオチ。
“頭で思考する”と、時間がかかるのです。
いろいろ考え過ぎて動けなかった・・という経験が誰しもあるのではないでしょうか。

特に、子どもは“今”を生きているので、子どもの方があっという間に次の“今”を体験していて、大人がよーく考えてから言葉を掛けると、「え?なにが?なんのこと?」ということになりかねません。

「何も根拠はないけれど、直感で動いたらうまくいった」ということを経験ことがありませんか?
実は頭で思考するよりも、心で感じたまま、ワクワクに従って動く方がうまくいく・・ということはとても多くあります。

雨の日、室内で子どもたちと何をして遊ぼうかなと考えていた時のことでした。
ブルーシートが目に飛び込んで来たその瞬間、私の中に「これだ!」というワクワクとすでに子どもたちがその上でパンツ一丁になって遊んでいる姿が浮かびました。
次の瞬間には、私はブルーシートをバッと広げ、その上でパンツ一丁になった子どもたちと一緒に「海だ〜!」と海あそびごっこをしました。
ひと盛り上がりしたあとは、絵の具を出して、ボディペインティングで大はしゃぎ。
私も子たちたちも思い切り楽しんだ1日でした。

これは一つの例ですが、自分の心の中に浮かんだワクワクが、外側の世界に実際に具体的なもの・こと・人としてワクワクを創り出します

「子どもを尊重しましょう」という講演で、“方法”や“知識”をいくら聞いても、自分の中にイメージがないと外側に現実のワクワクは創り出せません。

自分なりに「子どもを尊重するってどんな感じだろう?」と探求し、自分の中にイメージを伴ったビジョンを持ち、「自分の中で起きている感覚的な体験を認識していること」=「体験すること」が大切です。

普段私たちは、様々なことを体験しています。

歩道を歩いている時に踏んだ落ち葉のザクザクとした感触(=外側の体験)を楽しんでいる私(=内側の体験)。

子どもたちが喧嘩しているところを冷静に見ている私自身(=外側の体験)に、気づいている私(=内側の体験)。

お皿一枚一枚を綺麗に洗う体験(=外側の体験)を楽しんでいる私(=内側の体験)。

このような一つひとつの「“今”を切り取った体験」=外側の体験を「体験している自分」=内側の体験。

頭の中が思考でうるさいと、こうした“今”を見過ごすことが多く、内側の体験はできません。

“思考”(頭の中)で、やり方を考えたり、反省したり、良い悪いの評価をしながらの体験よりも、“今”の自分の内側の体験を体験する
この方がずっと、新しい気づきや発見があります。
そしてこの気づきや発見は、とても軽くて明るい、未来へと繋がるような発見です。

私たちの“思考”は、過去の産物です。
まだ起きていない“今”この一瞬は、私たちの“思考の中”にはないものです。
一瞬一瞬が“今”新しく起きている出来事。
この一瞬一瞬を私たち一人一人が創り出すことができるのです。

「いつも通りの“今”」を選択すれば、今まで通りに。
「いつもとは違う“今”」を選択すれば、今まで体験したことのない“今”を体験します。

“今”をどう生きるか。

それは私たち一人一人が選択できます。
そして、私たち一人一人の選択が、世界の未来を創っているのです。



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