子どもを通しての体験
以前こんな相談を受けました。
「子どもとどう接したらいいかわからない。遊んであげなくちゃと思うけど、向き合うのが怖いんです。」
初めての子どもだと、子育ても初めて。
戸惑ったり、不安になったりすることもあるでしょう。
保育士にも稀に同じ様な悩みを持つ人がいます。
なぜ怖くなってしまうのでしょう?
子育ては頭で考えてできるものではありません。
本を読んだり、勉強をしたり、人から聞いた概念で子どもと関わろうとすると、このように「どう接したらいいんだろう」とやり方で考えてしまいがちです。
「〇〇をすれば△△になる」と思ってやるけど、実際には上手く行かない…というように、頭の中で考えていることと、子どもの反応とは違うことがほとんどだと思います。そのことに戸惑い、“怖い”や“不安”という表現になるのでしょう。
こんなケースもありました。
面談をした時に、「あの子は私のこと嫌ってるからわざと嫌がらせをする…」とお母さんが言ったのです。
その子は、活発で自分の感情をそのまま表現する、私から見ると“子どもらしい子ども”でした。そして、お母さんのことが大好きで、振り向いてほしいからわざといたずらをしたり、だだをこねたりしていたのです。
「“嫌ってるからわざと嫌がらせをする”なんていうことは、子どもの中には元々ありません。」ということを伝えてもこのお母さんには響きませんでした。
でも、子どもが愛情を確かめる為に、わざとお母さんの気に障ることをするケースもあります。
このお母さんの生育歴を聞くと、お母さん自身が自分の母親とうまくいっていなかったのです。
こうしたケースは実はとても多くあります。
愛された経験がある人は、子育ても自然とできます。
ふわっと抱かれる温もり
おでこの髪をさらりとなでる手の感触
背中をさすられ安心して眠りに落ちる幸福感
その愛を感じて育った人は、それをそのまま自分の子どもにも表現し、その心地良さを共有することができます。
愛された経験が少ない人は、子どもへの愛をどう表現したらよいかわからないのではないでしょうか。
そして、「愛する」「愛されている」といった感覚がわからないのではないのでしょうか。
子どもは自分の親のことを無条件に愛しています。
子どもは親の笑顔を見たいのです。
「どうしても自分の子を愛せない」という人は、子どもを通して“愛”を体験する時なのだと思います。
子どもからの“無条件の愛”をもらいながら、「ああかな」「こうかな」と少しずつ“愛する”ということを体験するのです。
そうして行くうちに、“愛する”“愛される”という心地良さに触れることでしょう。
もしかしたら自分が親からもらっていた愛に気づくこともあるかもしれません。
その感覚を得るには、頭で考えて、様々な育児法を試していては得られません。頭で思考していることではなく、目の前の子どもと一緒にいて、子どものそのままを感じることが大切です。
そうすれば、いつでも子どもからの愛情を感じることができるのです。
「愛」はすでにそこにあります。「愛」を得る為に何かをする必要はないのです。
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