お城のおそうじやさん #7
月明かりに照らされた部屋の中はそれでも暗く、
かろうじて部屋の大きさと家具が数点置いてあることが
わかる程度でした。
部屋は4歩もあるけば反対側の壁にぶつかるほどの広さで
このお城の中では小さい方の部屋でした。
中央に椅子が二脚と、テーブル言一卓置かれていました。
そして、壁際には質素ななシングルベッドが1つ置かれていました。
「誰かいる?」
カラの問いかけに反応する者はいません。
唸り声は確実にしたし、それに鍵穴越しに目も合った。
誰か、いや獣かもしれないけれど、いるはず。
カラは勇気を振り絞り、さっきよりも大きな声を出します。
「誰かいる?」
カラが問いかけて5秒ほどした時です。
壁際のベッドの方から気配を感じました。
ベッドに目をやると、ボッという小さな音とともに
ロウソクに火が灯りました。
そして、ベッドの上で寝そべっていたのでしょう
大きな物体がゆっくり体を起こしたのがわかりました。
カラは何か声をかけようと思いましたが、うまく声が出ませんでした。
恐怖で体が硬直してしまったのです。
窓の外から中の様子を伺っていたフィンがカラに声をかけました
「カラ!大丈夫か?」
カラはフィンの声を聞き我に返り、意を決して声を出します。
「こんにち、、こんばんは。急に入ってしまいごめんなさい。
私はこのお城のおそうじかかりをしています。
そして、昼間にこの部屋の鍵穴を除いた者です」
そう言うとカラはベッドの方にゆっくりと歩を進めました。
わた
¢£%#&□
み£%#は
い△◆■!?い
「え?」
大きな体から発せられた言葉でしょうか。
しわがれた年寄りのような声で、とても聞き取りづらいものでした
さらにカラはベットに近づきます。
わたしを
み¢£い%#&な□
「ごめんなさい。よく聞き取れないの」
カラがそう言った瞬間、
ベッドの上の巨大な体がカラの方を向き、
ロウソクが巨大な体の顔の部分を照らしました。
そこには、勇ましいというには程遠い餌にありつけずサバンナを彷徨い
続けている年老いたライオンの皮膚の上に、
火傷によって何重にもただれてしまい瞼がほどんど露出していない眼、
ナイフで切り裂かれ唾液が滴りおちている口、
異常に高く細い、まるでカラスのくちばしのような鼻、
この世のものとは思えない面構えの化け物が
カラの目に飛び込んできました。
あまりの衝撃にカラは声をあげるでもなく、口を開け、
その場に立ちすくみました。
¢£%#&□△◆■
化け物は、カラを威圧するように何かを言っています。
「あなたは、」
カラは唾をゴクリと飲み込みます
「あなたは、人間ね?」
その時です。
カラを威圧していた化け物の眼から、小さな涙の滴が一滴流れ落ちました。
つづく