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だるま山 #2

次の日、小坊主は朝の掃除をします。

もちろんだるまのいる客間もです。

もしかすると、一晩明けていなくなっているかもと思い襖を開けましたが、

だるまは綺麗に布団を畳んで、窓から外の景色を眺めていました。

朝ごはんは、和尚に言われた通り昨日と一緒の蒸した栗とご飯です。

米粒一粒残さず、だるまは朝ごはんを食べてしまいました。

だるまが来たからといって小坊主の仕事は変わりません。

寺の隅々を掃除します。

小坊主が廊下の拭き掃除をしていると扉を叩く音がしました。

ドンドンドンドンドンドン

「まただ」

しかも、昨日より大きな音がしてきます。

何事かと思った小坊主は和尚の所へ行き

今日は一緒に付いてきてほしいと伝えました。

「昨日より大きな音で扉を叩いているんです」


和尚を引き連れ、小坊主は玄関の扉を開けました。

「うわぁ」

小坊主が驚くのも無理ありません。

なんと、今日はだるまが20人ほどそこにいたのです。

昨日のだるまと同じくらいの大きさのものもいれば、

その倍はある大きなだるまもいます。

そして、だるまたちは、みんな足が生えていました。

「よう来なさった。中へどうぞ」

和尚は、慣れた手つきでだるまを中に入れ

昨日来た小さなだるまがいる客間に案内しました。

昨日の小さなだるまは、やって来ただるまたちを見ると

とても驚いた表情をしました。


小坊主は、さっそく桶にお湯を入れ、お風呂の準備をし

だるまたちがお風呂に入っている間に布団を敷きました。

(と言っても、だるまの体は小さいので、一つの布団の中に5人は入れま

した)

和尚に言われた通り、大変丁寧にだるま達をもてなしました。



あくる日の朝、小坊主が客間に入ると、だるまが一人もいません。

布団は綺麗に畳まれています。

どうしたものかと小坊主は和尚にそのことを報告しに行きました。

「なるほど出て行きよったか。お前が親切にしてあげたから、

だるまも喜んだことだろう」

「はー。しかし、あのだるまが生きているなんて知りませんでした。

一体何だったのでしょうか。

それに、どうして和尚様はそんなに落ち着いていらっしゃるんですか」

と小坊主が尋ねると

「はははは」と和尚は笑うだけでした。


昼過ぎになって小坊主は箒で庭の掃き掃除をしていました。

すると、庭の端の方に枯葉の山があります。

まだここは掃いていないのにどうしたことだろう。

と、その枯葉の山を見ると、山の中に混じって、森の木の実がたくさん入っ

ています。それだけではありません。さつまいもに薬草、そして一番下には

栗がたくさん入っていました。

誰の仕業だろうか?

小坊主は、和尚にこの不思議な出来事を伝えに行きました。


つづく

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