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お城のおそうじやさん #12

7-13の部屋の前ではレジーナが、

勲章授与式が行われている大広間の前ではアデルが、

掃除をはじめました。

カラとアビーも8階に到着すると、廊下の掃きそうじをはじめます。


フィンが動き出します。

8階の大臣の部屋の窓までロープで降りると、

手際よく窓に小さな穴を開け窓の鍵を開けます。

そしてロープを体から外し部屋の中に入ると急いで部屋の扉を開けます。

カラとアビーが掃除しているのが見えました。


パンパン

二回手を叩きます。


カラはアビーに目で合図をすると、フィンの方へと急ぎ足で向かいます。


「ありがとう」

「急ぐんだぞ」

そう言うとフィンはロープに体を縛り直し、窓から外に出ていきました。

「必ず魔法の杖はある。見つけなきゃ」

カラは自分に言い聞かせるように、気合いを入れます。

「まずは机を調べましょう」



勲章授与式が行われている大広間では

式典が滞りなく進んでいました。

フィンは3階の大広間の窓から中の人にバレないよう様子を伺います。

ヤヌー大臣は国王のすぐ横に座っていました。

「そこでじっとしてろよ」



カラは机の上、下、引き出しの中を一通り探りましたが

魔法の杖を見つけることはできていませんでした。

カラは部屋の時計を見ます。

15分が経過していました。

キャビネット、クローゼット、はたまた壁に飾られた絵画の裏

大臣の部屋はとても広く、

魔法の杖を隠せそうな場所はたくさんありました。

「急がなきゃ」



式典が始まって30分が経ちました。

カラはもう魔法の杖を見つけただろうか?

その時です。

ヤヌー大臣が、胸元のポケットに手を入れ

何かを探しているような仕草をしはじめました。

ん?

フィンは目をこらして大臣の様子を注視します。

そわそわと落ち着きない大臣。

ズボンのポケットにも手を入れ何かを探しているようです。

何してるんだ?


式典が一時中断しました。

休憩時間のようです。

出席者は談笑をはじめたり、トイレに向かったり、

各々自由にしています。


大臣は席を立ちました。

トイレか?

フィンは先回りして、大広間を出た先の廊下の窓に向かいます。

窓の端から中の様子を見ます。

大臣は廊下で出てくるとトイレの前を通り過ぎました。

アデルがすかさず、そうじをしているフリをしながら大臣の後を付けます。

廊下の角を曲がると、フィンは大臣の様子がわからなくなりました。

しばらくするとアデルが焦った表情で窓に走ってきました。

アデルは窓を開けます。

「フィン!」

「ここにいる」

フィンはロープでアデルの傍にまで移動します。

「大臣が階段を上がっていったわ。部屋に戻るかもしれない!」

「ええ、なんで。早くカラに知らせないと!」

フィンは急いで8階へと戻ることにしました。


つづく

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