お城のおそうじやさん#16
数日後
カラ、レジーナ、アデル、アビー、そしてフィンの5人は、
レオノール女王から勲章を授与されるために大広間にいました。
着なれないドレス、フィンはタキシードを着ています。
カラの名前が呼ばれました。
女王がいる祭壇へとカラがゆっくりと向かいます。
ふと横に目をやると、ヤヌーに代わり大臣となったのは
元々レオノール女王の下で大臣をしていたものの
アビドラたちによって失脚させられたカンテ大臣でした。
「カラ、素晴らしい行いをしましたね」
大臣に声をかけられたカラはカンテ大臣の顔を見ます。
「あれ!?どこかで!」
「ハハハ、生年月日と母親の名前、あと好きな食べ物は?」
「門番さん!」
そうです。
カンテ大臣は、お城の入り口で入城者をチェックをする門番と
同一人物でした。
「アビドラとヤヌーに、門番にさせられていたのだよ。
それにしても君がこんな勇気ある少女だったなんて驚いた。
本当にありがとう」
そういうと大臣は深々と頭を下げました。
カラはレオノール女王から勲章をもらいました。
中央にブルーサファイア、周りにダイヤが散りばめられた豪華な勲章です。
他の4人も同様に勲章を胸に輝かせています。
女王は列席した国中の貴族、政治家、裁判官、そして新聞記者たちに
話をはじめました。
「私はこの5人に救われ、今女王の座に戻ることができました。
カラ。
彼女は化け物ととなった私を恐れ、逃げ出すのではなく、
優しい気持ちを持って向き合い、人間であることを見抜きました。
強さとは、勇気と知恵を持って恐怖に向き合うことです。
身分がその強さを証明するわけではありません。
私の弟やヤヌーのように、弱い心の者に権力を持たせれば国は滅びます。
私はカラとカラを支えた4人を尊敬しています。
私を含めこの国の全ての人間が見習う強い心を彼女たちから学びました。
さぁ、今一度大きな拍手を!」
女王の言葉に呼応するように、大きな拍手が会場内に響き渡りました。
拍手が鳴り響く中、女王がカラの耳元で囁きます。
「おそうじがかりをやめて、このお城で仕事をせずに自由に過ごしても
いいわよ?」
カラは微笑み首を振りました。
「女王様、ありがとうございます。
でも私、おそうじが好きなので。
おおうじがかりを続けさせてください」
女王も嬉しそうに微笑みます
「そう言うと思ったわ」
「でも一つだけ、一つだけお願いがあります」
カラはそう言うと、女王の耳元でそのお願い事を囁きました。
つづく