現場と試合と記録帖。
「ご趣味は?」
「野球観戦です。」
・・・って、お見合いじゃないんだから(笑)。
かつては趣味と呼べるものが一応少なからずあったのですが、そんなこんなで、結局現在残っている趣味が「球場に行って野球を見ること」になっているのはほぼ間違いなさそうです。
ですから私にとって、長いこと接している「現場」とは、「球場」ということになるんじゃないかと思います。
小さい頃から野球観戦は好きでしたが、とは言っても観戦はテレビばっかりで、球場に行って観戦する、といったら高校野球の県大会をちょっと見に行く程度で、現場観戦というものは皆無に等しかったと言っても良いでしょう。
現場へ行くようになったのは、進学して東京の学校に進んでから、と言うことになります。
進学後、一番大きかったのが「定期券で都内まで出られる」ことでした。
それまでは都内に出て帰ってくるだけでも、子供の小遣い程度じゃ交通費も馬鹿にならず、なかなか球場のある所へ出られませんでしたから。
(その時はロッテが千葉にやってくる、なんて思ってもいませんでした)
幸いにして定期券の通り道にあったのが後楽園球場(まだ東京ドームじゃなかったんですよ(笑))。
勿論巨人戦は今も人気ありますが、当時はもっと人気ありましたから切符が取れる訳がない。
逆に当時後楽園を同じく本拠地にしていた日本ハム。
巨人戦とは裏腹に、場内は閑古鳥が鳴いており、切符は自宅近くの精肉店へ行けば、近々開催される試合の招待券が山積みになっていて、「ご自由にお取りください」となっていても、誰も貰う人がいなくて山積みのまま。
私自身、人混みは好きじゃないし、簡単に、しかも持ち出し無しで切符が手に入るんだったら、こりゃもう後楽園で日ハム戦を見るしか無い!!と思うのに迷いはありませんでした。
→ここまで書いていて、やっぱり私は充分変わり者だよなぁ、と実感(笑)。
と言うことで精肉店で貰った招待券(店主さん曰く、「10枚でも20枚でも、好きなだけ持っていっていいよ!!」と仰有ってましたが(笑))を持って、授業の帰りや休日を使って後楽園(勿論日ハム戦のみ)に足を運ぶ日々。
既に各球団の応援団はトランペットを使った鳴り物応援が行われてましたが、日ハムの応援団はトランペットは使わず太鼓と笛で応援し、今にして思えば牧歌的な雰囲気でしたね。
そして、行ってみても毎回ガラガラの球場でのんびり見ることに満足感を感じながら見ていたある日、横で何やらノートのようなものに書き込みながら試合観戦しているお姉さんに遭遇しました。
「この人は一体何をやっているんだろう?」と思いましたが、あんまりジロジロ見ていると不審者になってしまうので(^_^;)、試合の合間に少しだけちらっと見てみると(それでも充分不審者?)、どうも投げたり打ったりする度に何か書いていて、どうやら野球を記録しているのではないかと思った次第。
当初「スコアブック」なる用語を知らず、個人的に「記録帖」と呼んでましたが、「なるほど、こう言う形で試合を見るやり方もあるのか。」と妙に感心したものです。
今だったら、検索ツール使って「野球 記録帖」とでも入力して検索すれば、スコアブックとその書き方、それだけでなく購入方法なんて簡単に出てくるでしょうが、当時は昭和、そんなものある訳ないので、まず「どうやって『記録帖』を入手するのか?」と言うことと、「入手したとして、どうやって記録するのか?」と言う巨大な難題にぶち当たります。
調べる方法が判らないので当然入手方法も記録方法も判らず、それ以外にも学校の授業やら課題やらで忙しい日々を過ごし、「記録しながら観戦したい」という気持ちを忘れかけていたある日、当時履修していたソフトボールの授業で、「ソフトボール部の試合を見学し、その試合を記録する」という課題が出されました。
当然事前に記録用紙を渡され、記録のやり方を教えて貰う訳ですが、あれだけ普段の授業は覚えが悪い癖に(笑)、これだけは一瞬で記録方法を理解し、いざ実際に記録する試合当日には、一緒に授業を受けていた他の学生たちにつけ方を教えているような状態。
記録のやり方を覚えるのに相当飢えていたんでしょうねぇ。
その後大きな書店に行くと、野球の記録方法を書いた本を見つけ、即刻購入して読みあさり、野球の記録方法を覚えるのには殆ど時間はかかりませんでした。
しかし難航したのが実際の記録帖を手に入れること。
これが本当に何処にも売ってないんですよ。
大きな書店を探しても無いし、普通のスポーツ用品店程度じゃ置いてない。
なかなか見つからず、そうこうしているうちに野球シーズンが終わってしまい、野球を見に行く機会自体が無くなってしまいました。
そして翌年。
野球シーズンが始まりましたが、記録帖を売っている所は判らずじまいのまま。
その年の開幕戦は日本ハム-ロッテ戦で、西崎さんと村田さんの投げ合い、と言う、今思っても絶対に記録して残しておきたい試合ですが、記録できずに終わってしまったのが今でも悔やまれます(因みにロッテの勝ち、村田さんが勝ち投手でした)。
今更ながら、書き方は判ってたんだから、普通のノートに書いてあとで入手次第書き写せば良かったじゃ無いか、と思っても後の祭り。
で、これまた学校の授業やらバイトやらで忙しい日々を過ごす中、時間ばかりが過ぎて夏が来て、お盆も過ぎようかというある日。
「そう言えば、野球用品と言えば御茶ノ水のミズノ本店に行けば、記録帖あるんじゃね?」と思い、ミズノ本店に向かって野球用品売り場に行ったら、ようやく売り場の片隅に見つけましたよ、記録帖!!!
我ながら振り返ると、何故すぐに思いつかなかったのかねぇ、と当時の自分に言いたいですが(笑)。
勿論速攻で購入し、向かった先が東京ドーム(もう後楽園球場は消滅・・・)。
そこで開催された日本ハム-南海戦が現地記録生活の始まりであります。
あれから30年以上が過ぎ、時代は昭和から平成、令和へと変わりましたが、今でも現場、すなわち球場に行ったら「記録しながら観戦する」といった形で今でも続いています。
単に途切れさせたくないだけで記録し続けていたら、ここまで来てしまった、と言うのが正直な所ですが。
最初の頃はテレビ観戦しながら記録する、なんて事もありましたが、今は現場に行った時だけにしています。
テレビ中継だとニュースやCMで途切れることがありますし、それより何より現場の臨場感と一緒で無ければ、記録する意味が無いからです。
テレビでは解説とか実況とか、選手の表情をうかがい知ることは出来ても、球場の場所、天候や風、観客の歓声、試合そのものだけで無く、そういった周辺環境を記録することは難しいですが、観戦には不可分の要素であると思いますし、これら周辺環境をテレビから感じることは不可能です。
だからこそ、「現場に行くことに意味がある」と思っていますし、逆に「事情が許す限り現場に行き続けたい」とも思っています。
そう思いながら記録し続け、またこれからも現場通いを続けたいです。
最後になりましたが、最近の記録帖はこんな感じで書いています。
(2021年5月28日、千葉ロッテ対広島、ZOZOマリン)
記録の書き方等々、詳細についてはまた別の機会に。
最後までお読みいただき有り難うございました。