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現場を記録してみますか。

私が「現場」と呼んでいる球場。
そこで私にとって一番のメインイベントが、「現場で試合を記録する」ことです。
前回は記録する際の持ち物について書かせていただきましたが、今回は「どうやって記録を書いているのか?」について書いていきたいと思います。

記録の方法は広く一般で使われている「早稲田式」と、NPBで採用されている「慶應式」に大別されます。
名前の由来は読んで字の如く、この方式はそれぞれの大学野球部が確立したものである、と言うことを示しています。
此処では「早稲田式」で説明したいと思います(私もこの方式で記録していますので)。

書き方は実際に私が観戦した試合のうち、試合が行われている中で大概見かけるであろう場面が一つの試合に纏まって起きた、と言う2021年5月28日の千葉ロッテ対広島戦を一例に挙げて書いていきたいと思います。
安打や四死球、三振、凡退など、殆どの試合で起きる場面だけでなく、盗塁、暴投、エラー、ランダウンプレイ、ボーク、振り逃げ等々、これだけの出来事が一試合に起きるというのは正直かなり珍しいです。

何処に何を書く?
記録帖(スコアブック)には、試合状況、結果を書き込んでいくことになる訳ですが、何処に何を書くのか、概ねどの記録帖でも統一されています。
分類すると下図の通りです。
試合には表と裏がありますから、表の攻撃チーム用と裏のチーム用で2枚1セットにして使います(裏チームも概ね同じなので、表チームのページを図にしています)。

(記録記載欄の分類)

記録帖1

・試合欄(ページ最上部)
 試合日付、対戦するチーム名、審判員、天候状況、観客数、試合開始時刻と終了時刻を記入します。
 裏の攻撃チームの試合欄にはイニング毎得点(スコアボード)、特記事項を書いていきます。

・選手欄(ページ左側)
 最初は打順毎に先発選手、守備位置番号(1~9、DH)を書いていきます。
 交代があった場合は交代前選手の下の行に交代選手を書きます。

・打撃結果欄(ページ中央)
 各選手の打撃結果として、安打、四死球、凡退、得点、三振、アウトカウント等々を書き込む欄になりますが、此処が試合を記録する上でのメインイベントと言っても良いでしょう。
 この欄と選手欄が正しく連携できれば、試合情報を記録に残す、という目的は達成できたと言っても良いので、極めて重要な欄になります。

・打撃成績欄(ページ右側)
 各打者の打席数、結果を一番上に書いてある種別欄(打席数、打数、安打、四死球、三振、残塁など)に合わせて記録していきます。
 この欄は試合中常時更新されるので、数字で記載するといちいち消して書き直す、と言う面倒なことになるので、1打席目と2打席目は「/(スラッシュ)」で記録し、3打席目と4打席目はバックスラッシュで書いていき、5打席目以降はこの繰り返しで書き進めていきます。
(安打の塁打数は(1塁打目、2塁打目・・・で読み替えてください))

・守備欄(ページ左側)
 各野手毎の刺殺(打球、送球を捕ってアウトにした回数)、捕殺(送球してアウトにした回数)、併殺(ダブルプレーに関係した野手)、失策(エラー)回数を記録していきます。
 本当は記録していくべきなのですが、集計の手間が大変かかるので、私は「失策(エラー)」だけ記録してます。(^_^;)
 これも試合中記録していくので、打撃成績欄と同様、スラッシュ、バックスラッシュの組み合わせで回数を書き進めていきます。

・集計欄(ページ中央下)
 試合でのチーム成績を記載します。
 守備欄の下が守備成績、打撃結果欄が各イニング毎の安打、四死球、失策数、得点、相手投手の投球数を書いていきます。
 投球数はイニング投球数の右側に、前のイニングからの通算投球数を括弧書きで書いておくと便利です。

・投手成績欄(ページ左下)
 自チームの先発投手、リリーフ投手の投球イニング数、勝敗、セーブ、対戦打者数、投球数、被安打、四死球、三振、失点、自責点などを書いていきます。
 思わず相手チームの投手成績を書き込んでしまいがちですが、自チームの投手成績をまとめられなくなるので、間違えないようにしましょう。

・捕手欄(ページ右下)
 出場した捕手の記録を書いていきます。
 主にどのイニングで誰の盗塁を許したか、もしくはアウトにして阻止したか、を書いていきます。
 捕手がプレイする機会を得ない盗塁(牽制で飛び出してそのまま盗塁成功してしまった場合)は、この欄には記載しません。
 捕逸(パスボール)、打撃妨害(滅多にありませんが)の時も、同様にどのイニングで誰の打席中に起きたか、と言う形で書きます。
 尚、滅多にないので忘れがちですが、打撃妨害があって打者が一塁に進んだら、捕手に失策が記録されますのでお忘れなく。
→これは殆どの「スコアブックのつけ方」には書いてありませんので、此処を見ていただいた方は一つ得しましたな(笑)。

・長打欄(ページ右一番下)
 長打を記録した選手名とイニングを記録します。
 NPBの場合、本塁打を打つとシーズン通算本数と推定飛距離が発表されるので、それを併記すると良いでしょう。
(ランニングホームランの場合は推定飛距離がないので、その項目には「ランニング」と書けば良いと思います。)

打撃結果はどうやって書く?

さて、非常に長い前置きを経て(^_^;)、実際の記録方法に移ります。
此処では試合経過を記録する上では最も肝心な、打撃結果欄の書き方に絞って書いていきたいと思います。
まずは打撃結果欄の何処に何を記入するのか、文章では非常に伝わりにくいので、以下の図で示します。

記録帖1-2

まずは打撃結果欄を1打席単位にしたものが上の図になります。
打者が打席を完了したら次打者の結果欄に移り、3アウトになって攻撃が終了したら相手チームの打撃結果を記録し、終了したら次の回(右の列)に移って打撃結果を書き込んでいく、という作業を繰り返します。
攻撃が終了したら、最後の打者の打撃結果欄右下に「//」と書いて、次の回は誰から攻撃が始まるのか判るようにしておきます。
打席中、投球カウントを上の図の書き方例に沿って投球カウント欄へ縦に書いていきます。
打撃結果は打席から一塁までの結果を右下に記録し、以降反時計回りに二塁~三塁~本塁までの記録(走者となった場合)を書いていきます。
書き方は下図の通りです。

記録帖1-3

打撃の結果、走者が次の塁に進んだら、進んだ塁の記録欄に進塁させた打者の打順番号を「()」で囲みます。
(例)一塁走者が4番打者の打撃結果で二塁に進んだ場合、走者の「一塁~二塁」の欄に(4)と書きます(一気に複数の塁を進んだ場合は、通過した塁を矢印で結ぶ)。
走者が得点したら、得点欄に「●(自責点あり)」または「〇(自責点なし)」を書き込み、「三塁~本塁」の欄に得点させた打者の打順番号を〇囲み数字で書きます(打点ありの場合)。併殺打の間など、打点とならない場合は「()」で囲みます。
逆に走者が送球アウトとなった場合は、送球した野手と捕球してアウトにした選手の守備位置番号をハイフンでつなぎ、走者の進んだ欄に「6-4(遊撃手から二塁手の場合)」と書き、得点欄にローマ数字でアウトカウントを書き込みます。
盗塁など、投球間に他のプレーが発生した場合は、投球カウント欄の横にスタートしたカウントの横にカンマを入れます。
暴投、捕逸の時も同様に投球カウント欄へカンマを入れ、進んだ走者の塁を記入する欄に「WP(暴投)」、「PB(捕逸)」と書きます。
ボークの場合は、審判がコールしたタイミングで投球したカウント欄にカンマを入れ、同様に進んだ走者の欄へ「B.K」と書きますが、投球数には数えられないので注意してください。

記録帖1-4

上記の書き方で進めた試合全体の記録は以下の通りです。
全部理解するのは難しいと思いますので、イメージがつかめれば幸いです。
(広島側(先攻)のチーム記録)

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(ロッテ側(後攻)のチーム記録)

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こんな形で記録しながら、現場観戦活動を続けています。
これから記録を始めたい、という方には敷居が高そうに見えてしまうかもしれませんが、いきなり色を付けて書かず(ペンを持ち替えるだけでも意外と時間がかかり、次のプレーが始まってしまうこともしばしばあります)、鉛筆(シャープペンシル)と消しゴムだけで、黒一色で書いて後からゆっくり書き写す、という方法もありますから、現場で場数を踏みながら、徐々に自信を付けてから少しづつ色を増やしていく、というやり方でも問題ないと思います。
実際私自身も最初は黒一色から始まって、5年目に赤色(安打)、6年目に青色(四死球)、7年目に緑色(三振)・・・と徐々に色を増やしてきましたから。

今年は状況が状況なだけに、各球場も観客数を制限しながらの試合が続いているので、切符が取りにくいわ切符代は高くなるわ、切符確保も財政的にも苦しい一年になっているのが正直な所。
逆に観客同士の間隔が空いているので、ゆっくり見られる利点はありますが。

最後までお読みいただき有難うございます。

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