白雲庵三平 綴り方
生きるとは何か(50年前に課した人生のテーマ)
「あけましておめでとう」と言いつれど、今、この時にも、差別に喘ぎ、貧しさに苦しむ人の居ることを忘るべからず。
この言葉は、住井すゑさんの「橋のない川」の中で、秀ぼんが孝二に宛てた年賀状に書いた言葉です。秀ぼんのモデルは水平社を作った西光万吉です。
53年前、生きることに悩んでいた私は、生きる意味が知りたくて、手当たり次第本を読み漁った。生まれて初めて、たくさんの本を読んだ。そして、考えた。「生きるとは何か」「なぜ、私は存在しているのか」等々。しかし、2年経っても、生きる意味は分からなかった。自死も考えたが、その勇気もなく、出した結論は、生きてみよう、そして自分の人生を通して“生きる意味”を考えようであった。秀ぼんの言葉は、「生きる」上で、「生きる」ことを考える上で、大きな指標となった。そして、それから半世紀が過ぎ、私は72歳になろうとしている。
これと言って取り柄もない私だが、私なりに真剣に生きてきたつもりだ。70年余りも生きていると、これまで分からなかったことが、それなりに分かるようになってくるし、できなかったことができるようにもなってくる。できなくなるほうが多いかもしれないが。年をとることも、まんざらでもないなと思うこの頃である。
私は、今、不登校や引きこもりの人たちと一緒に話し、学び合える「水曜塾」というものを週一回開いている。子どもや教育をめぐる課題に向き合う中で様々なことを考えさせられている。日々思うこと、考えていることを、そして、生きることについて、思いつくままに綴っていこうと思う。
2024.9.02
白雲庵三平