しあわせな演劇体験ができるから【PR】
昨年のせんがわ劇場でグランプリ含む3冠受賞や、話題の団体への戯曲の描き下ろし提供など、「今、一番見たい作家だ」と言われているほろびて・細川洋平さん。
『今回の「心白」って、どんな作品なんだろう……』
興味を持ったおちらしさんスタッフが、ほろびての創作現場に、お邪魔してまいりました!
お伺いしたのは、5月のある日。
稽古場で様々なエチュードを繰り返しながら、細川さんの「心白」を通して描きたいものを具体的な形にするという段階を経て、『半分くらい戯曲ができあがってきた』時期のこと。
インタビューで、言っていたことだ!!
細川さんは、3月頃のカンフェティさんのインタビューで、「心白」をどんな作品にしたいか、という質問に対して、このようなことをおっしゃっておりました。
私、稽古場でワンシーン見ただけでも、「あれ? もしかして、今のシーンって、こういう事だったのかな?」と思ってしまいました。ちなみに、どのようなシーンだったかというと……
まさに、これでした。
インタビュー記事を読んだ時には、「思考停止を紐解くって、どういうことなのかなぁ?」と思っておりましたが、見てびっくり。
紐解かれておりました、思考停止。
「今のシーンって、こういう事だったのかな?」
とある夫婦が話している。
妻は、時折、突拍子もないことを、夫に言う。
それはそれはしあわせそうな、夫婦の語らい。
俳優さんからにじみ出ているものを利用しているからこそ書ける、おもしろい掛け合いのシーンだなぁ、細川さんさすがだなあ、なんて、思っておりますと、
「そのイスに、〇〇を置いてやってみましょう」というディレクション。
舞台上に〇〇がある状態で、さっきと同じシーンを繰り返してみると……。
『思考停止』の瞬間が、くっきりと現れました。
ちょっと、待ってください細川さん。私、さっき、笑っててよかったんでしょうか……。
「もう一度、やってみましょう」と細川さんが言うと、
シーンを演じている俳優さんから、「舞台って、△△な状態ですよね。ちょっと、それも意識してやってみます」という言葉。
ま、待ってください……。このシーンって……。
三度繰り返されるシーンを見ながら、私の想像は、どんどん膨らんでいきます。
妻の、突拍子もない発言が、胸をしめつけてきます。
そして思い至ります。
「今のシーンって、こういうことだったのかな……」
「物語」を描かないことで生まれるもの
インタビューでもふれられているように、たしかに物語のようなものは見えてこなかったように思いますが、私の心は、稽古時間が進むにつれ、なんとも言えない満足感に浸されておりました。
それは、拝見したどのシーンにおいても、今のやりとりの「それまで」と「そのあと」を想像する楽しさがあったからです。
この物語はどうなるんだろう、というところから切り離されたやりとりだからこそ、起きている出来事の根底に流れているものに思いをはせることができるというわけです。
一見すると、おかしみにあふれたやりとりに見えるかもしれない。
しかし、それはただ、おかしみにあふれたやりとりとして、受け取っていいのだろうか……。きっと、劇場で見たら、そんな気持ちになるんだろうなぁと思います。
生身の人間が、目の前で演じているからこそ感じられる「その人に流れている時間(あるいは、思考停止してしまっている時間)」。
この、演劇だからこそ感じられるしあわせな体験をするために。
私は、ほろびて「心白」を見に行こうと思います!!
公演概要
ほろびて「心白」
第11回せんがわ劇場演劇コンクール「グランプリ」受賞公演
2022年6月1日(水)- 6月5日(日)
1日(水)19:00
2日(木)19:00
3日(金)14:00、19:00
4日(土)13:00、18:00
5日(日)13:00
劇場 調布市せんがわ劇場
作・演出 細川 洋平
出演 加瀬澤 拓未(劇団献身)佐藤 滋(青年団/滋企画)葛堂 里奈(ブルドッキングヘッドロック)鈴政 ゲン藤代 太一
【せんがわ劇場の特設ページ】
グランプリ受賞時のコメントなども読むことができます!