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あなたを展示へ連れゆくデザイン!「おちらしさんアワード2024~美術版~」結果発表&上位チラシ解説・受賞コメント

こんにちは、おちらしさんスタッフのしみちゃんです!

今年も、“チラシの祭典”「おちらしさんアワード2024」結果発表の季節がやってきました!!

「おちらしさんアワード」とは、その年に配られた全国の舞台公演・美術展のチラシから年間大賞を決めるイベントです。WEB投票にて、舞台・美術展・チラシファンの皆さまに一推しチラシへ投票していただき、多くの票数を集めたチラシとその作り手の方々を表彰いたします!

自由記述による10~11月の一次投票、そして選ばれたノミネートチラシ全97点による12月の決戦投票では、たくさんのご参加や応援をいただき、本当にありがとうございました!!

おちらしさんアワードとしては5年目、美術版は4年目を迎えた今回。皆さまからの投票で、今年も全国各地の素晴らしい美術展チラシが一堂に会しました。こちらの記事では結果発表として、美術版の上位1~10位に輝いたチラシ全11点をご紹介します。それでは、じっくりとお楽しみください!!

▽この記事のオススメの読み方!▽

★上位チラシ11点はそれぞれ、チラシ写真、おちらしさんスタッフによる解説、決戦投票にてお寄せいただいた投票コメント、主催者・デザイナーの方による受賞コメントを掲載しています。(※一部掲載なしの場合がございます)
★大ボリュームとなっていますので、まずは下の目次より気になるチラシのご紹介部分に飛んでいただくのがオススメです!! どのチラシも見どころばかりですので、ひとつずつゆっくりとお進みください。

▽「おちらしさんアワード2024~舞台版~」結果発表はこちら▽



第1位 高島屋史料館TOKYO
『ジャッカ・ドフニ 大切なものを収める家―サハリン少数民族ウイルタと「出会う」』

■〈東京都〉高島屋史料館TOKYO
2024年3月16日(土)~8月25日(日)

見事、第1位に輝いたのは、高島屋史料館TOKYO『ジャッカ・ドフニ 大切なものを収める家―サハリン少数民族ウイルタと「出会う」』です。

「ジャッカ・ドフニ」とは、かつて網走に存在した、サハリン少数民族の資料館のこと。「大切なものを収める家」の意味を持ち、ウィルタ、ニブフ、樺太アイヌといった少数民族の生活文化を伝えていましたが、2012年に惜しまれながらも閉館。本展では、北海道立北方民族博物館に引き継がれたジャッカ・ドフニの所蔵資料を、東京で初めて公開しました。

しんと冷たく澄んだ空気をまとったチラシの表面には、在りし日のジャッカ・ドフニの姿が。民族衣装に身を包んだ人たち(ぜひ拡大してご覧ください!)とともに、白銀の世界に佇む様は心地よい温かな雰囲気を伝えてきます。100メートル近く距離があるようにも思える遠近感によって、青い空の広さや、雪原となった大地の広さが感じられるのも気持ちの良い眺めです。

さらにイラストに誘われてとチラシに近づくと、題字部分が刺繍で表されています。手仕事のぬくもりや、生活文化の歴史をそっと感じさせる工夫がこんなところにも……! 伝えたいことがひとつひとつ丁寧に、大切に、表現されたチラシを手にすると、背筋がちょっと伸びた気持ちになる。だからこそ展示とも真摯に向き合ってみたくなりますよね。

高島屋史料館TOKYO『ジャッカ・ドフニ 大切なものを収める家
―サハリン少数民族ウイルタと「出会う」』チラシ表面(ロゴ部分・拡大)

チラシの枠部分はインクでの加工が施され、内側より白っぽい風合いに。

『ジャッカ・ドフニ 大切なものを収める家―サハリン少数民族ウイルタと「出会う」』決戦投票コメント
★スッキリとしていて、キレイな空の青と凍てつく大地とそこに住む人。とても美しいチラシでした。(花岡さかえ/60代/奈良県)
★どうしても見たくて京都からかけつけた展覧会です。熱冷めやらずそのあと網走の北方民族博物館へも行くきっかけを作ってくれたのはこの一枚のチラシと言っても過言ではありません。北海道のアイヌ民族の人々よりもさらに、知られることの少ないウイルタの人々の暮らしと文化にまつわる展示を、東京という大都会で企画してくださったことに心から感謝します。(まるるん/50代/京都府)
★まったく未知のテーマの展示だったのにチラシのデザインに心奪われはるばる山陰から見に行きました!気温や大気を感じるような色合い、刺繍文字の再現も目を惹きます。(いくらの天ぷら/40代/鳥取県)

️『ジャッカ・ドフニ 大切なものを収める家
―サハリン少数民族ウイルタと「出会う」』
高島屋史料館TOKYO館長/学芸員・海老名熱実さんより受賞コメント

1位に選出いただいて誠にありがとうございます。とても嬉しいです。
本展において、ちらしのメインビジュアルは、展示の一部ともいえる重要なものでした。在りし日のジャッカ・ドフニをどのように伝えるべきか、制作チームみんなで悩み続け、議論し、こだわり抜いてつくりました(例えば色校正は、資料借用で北海道立北方民族博物館にうかがうタイミングにあわせて、かつてジャッカ・ドフニがあった北海道網走の地で、その空気を感じながら行いました)。
ここに描かれたジャッカ・ドフニの風景とともに、本展が、一人でも多くの方の記憶に残ると嬉しいです。グラフィックデザインを担当してくださったUMA/design farm原田祐馬さん、岸木麻理子さん、イラストレーター嶋田里英さん、そして本展に関わってくださった北海道立北方民族博物館 笹倉いる美さん、EIKA studio榮家志保さん、橋本亜沙美さん、その他ご協力くださったみなさま、本展に関心をお寄せくださった方々に、心から感謝申し上げます。

️『ジャッカ・ドフニ 大切なものを収める家
―サハリン少数民族ウイルタと「出会う」』デザイナー
UMA/design farm代表・原田祐馬さんより受賞コメント

️なんと1位! ありがとうございます。展覧会が終わったあとに改めて広報物に注目が集まることがとても嬉しいです。ジャッカ・ドフニがあった場所へ担当した岸木さんと訪ね、たっぷりと積もった雪の中、その空気と光で色校正を見て、震えながら色について検討した日のことを思い出しました。
このプロジェクトに関わらせていただく中で色々なことを学び、どのようにして展示方針を広報物から感じ取ってもらうか試行錯誤を繰り返しました。そこにジャッカ・ドフニが確かにあったことを伝えるために、綿密に構造物と人の営みを描ける嶋田里恵さんにイラストレーションを依頼し、空想の世界にならないよう海老名さんと多くの対話を重ねました。
印刷はサンエムカラーさんにお願いし、全体の色調の品質もさることながら、オペークインキを二度刷りし、白い布が重なる会場構成を彷彿とさせることを目指し、見事にその質感をかたちにしてくれました。
また、タイトルデザインを刺繍文字とし、手から手へと渡され守られてきた展示物を感じるきっかけを試みたり、紙面の中で多元的な状態が生まれることで、展覧会を伝える1枚になったように思います。
いつも信頼してくれる海老名さん、空間構成を引き受けてくれたEIKA studioの榮家さんと橋本さん、イラストを描いてくれた嶋田さん、辛抱強くデザインを担当した岸木さん、そして選んでいただいたみなさまに感謝しかありません。これからも生きた広報物、いや、生きたチラシをつくり続けられるよう頑張っていきます。

️『ジャッカ・ドフニ 大切なものを収める家
―サハリン少数民族ウイルタと「出会う」』イラスト
イラストレーター・
嶋田里英さんより受賞コメント

️数多くの候補作の中からご投票いただきました皆さま、誠にありがとうございました。
ウイルタの生活の世界観を伝えることを主題に、かつてそこに存在した「ジャッカ・ドフニ」の建物とウイルタの人々を描きました。また、北海道網走の凛とした空気感や透明感、そしてどこか懐かしさを感じさせる暖かみを意識しながら制作を進めました。
この地に確かに存在していた生活や文化を、イラストレーションを通じてこうして形に残すことができたことをとても嬉しく思います。




第2位 練馬区立美術館
『生誕150年 池上秀畝―高精細画人―』

■〈東京都〉練馬区立美術館
2024年3月16日(土)~4月21日(日)
■〈長野県〉長野県立美術館
2024年5月25日(土)~6月30日(日)

第2位は、練馬区立美術館『生誕150年 池上秀畝―高精細画人―』です。

明治時代の「旧派」を代表する画家・池上秀畝にスポットを当てた本展。伝統に固執しない日本画表現を見せ、絢爛な花鳥画を得意とした彼の人生と画歴に迫ります。

チラシの表面をドンと大きく飾るのは、鳳凰のモデルとも言われるキジ科の鳥・セイラン(青鸞)。お屋敷の間仕切りである杉戸に描かれた、《桃に青鸞図》のセイランを大胆に配置し、鳥類の迫力を間近に感じられる仕上がりです。

一方で、繊細な羽の描かれ方も光ります。まるで4Kテレビを通して見ているかのように美しく鮮やか! 「高精細画人」のサブタイトルに、ほうと唸らされてしまうこと間違いなしです。

練馬区立美術館『生誕150年 池上秀畝―高精細画人―』表面(部分・拡大)

大胆さと繊細さを両立し、池上秀畝の画力を引き立たせるデザインと色彩。「この人の作品を生で観てみたい!」と思わせる圧倒的なパワーに満ちています。

練馬区立美術館『生誕150年 池上秀畝―高精細画人―』決戦投票コメント
★とても目を引きました。繊細に描写されたところがクローズアップされていて、作品を近くで見てみたいという気持ちにさせられました。(ゆりゆり/60代/練馬区)
★鳥がデカデカとしていて良い!目を引きました!(あらら/30代/東京)
★「高精細画人」という馴染みのなかった言葉とともに池上秀畝の名もしっかり心に刻んだポスターです。(純/50代/東京都)

練馬区立美術館『生誕150年 池上秀畝―高精細画人―』
担当学芸員・加藤陽介さんより受賞コメント

この度はおちらしさんアワード2024 第2位に選出いただき、私をはじめ、館の皆とても喜んでおります。ご投票くださった皆さまありがとうございました。
この展覧会は長野県立美術館と共同企画・運営で開催したもの。多少の差異はありますが同じデザインで、長野はピンクバージョンになっています。日本画の展覧会として既視感のないデザインをもくろんでいたので、長野ピンクの方がその意に叶った強烈印象かもしれません。

長野県立美術館『生誕150年 池上秀畝―高精細画人―』チラシ表面

練馬区立美術館『生誕150年 池上秀畝―高精細画人―』デザイナー
ピュープ・鯉沼恵一さんより受賞コメント

このたびは誠にありがとうございます。
「新派の画家が注目されることが多い一方で、旧派の池上秀畝はまだ十分に知られておらず、生誕150年を機にその魅力を伝えたい」
これが本展の動機であり、デザインに与えられた課題でもあると考えました。
そのため、デザインもなるべく保守的なものでなく、池上秀畝という名前をまだ知らない方々の目にも画面全体でぱっと飛び込んでいくような、明快で強い表現を目指しました。
メインビジュアルにセイランを採用できたことも、全体の力強さと細部の緻密さという両面を同時に見せるのに、うまく貢献したように感じています。
このデザインを通じて、より多くの方々に池上秀畝の魅力が伝わる一助となれたなら幸いです。




第3位 神奈川県立近代美術館
『鎌倉別館40周年記念 てあて・まもり・のこす 神奈川県立近代美術館の保存修復』

■〈神奈川県〉神奈川県立近代美術館 鎌倉別館
2024年5月18日(土)~7月28日(日)

第3位は、神奈川県立近代美術館『鎌倉別館40周年記念 てあて・まもり・のこす 神奈川県立近代美術館の保存修復』です。

こちらはちょっと特殊な美術館の企画展。作家や作品に焦点を当てるのではなく、「美術館の取り組み」にフォーカスしています。「てあて」「まもり」「のこす」をキーワードに、美術作品の修復方法や作業で使う道具、作品を守りながら展示するための工夫などを知ることができるのです。

さて、チラシを見てみると、さっそく修復作業中の様子が。写るのは神奈川県立近代美術館に所属する、保存修復の専門家のお二人です。手前では筆で額縁をお掃除中? 奥では長い綿棒で絵画に触っていたり、電動工具のようなものを使っていたり……。プロフェッショナルの仕事を垣間見ると、「美術展の裏側ではこんなことが行われているのか?!」と驚きとともにワクワクしてきませんか?

神奈川県立近代美術館『鎌倉別館40周年記念 てあて・まもり・のこす
神奈川県立近代美術館の保存修復』チラシ裏面

展示テーマに寄り添うように、やさしさや清潔感を感じられる、楕円をイメージした柔らかなデザインも魅力的。「美術館」や「そこで働く人」をもっと覗いてみたくなる1枚です。

★丸くやさしいデザインに、何の企画展かと気になった。作品を守る方々の手つきや視線が、作品へのそしてお仕事への愛や敬意を感じさせる。(つむぎ/20代/東京都)
★興味をひくビジュアルです。「修復」という言葉のイメージが、人物が作業をしている写真によって、一目見てわかります。そのうえ、色合いが清潔感やクリーンなイメージをもち、その作業の精密さや厳密さを感じました。(M/20代/神奈川県)
★芸術品を作る事もすごいけど、素晴らしい芸術品を修復し、保存する事も大切だなぁと思った。(せつ⭐︎/50代/奈良県)

『鎌倉別館40周年記念 てあて・まもり・のこす
神奈川県立近代美術館の保存修復』
保存修復担当学芸員・橋口由依さんより受賞コメント

この度は「おちらしさんアワード2024」第3位にご選出いただき、ありがとうございます。
神奈川県立近代美術館 鎌倉別館は、昨年7月に開館40周年を迎えました。その記念展として、本展では保存修復に焦点を当て、当館のコレクションを展示し、それらを維持するための活動を幅広くご紹介しました。
当館には私ともう1人、保存修復の専門家がおり、館内でも修復作業を行なっています。本展のチラシは、私たちが館内の作業室で作品を修復している風景を表現したものです。これはデザイナーの三木俊一さん(文京図案室)のアイデアで、これまでに修復した作品と、当時修復中だった作品を室内に並べ、このために用意したお揃いの服を着てポーズをとり、カメラマンの佐藤克秋さんに撮影していただきました。2人だと絵的に寂しいので、合成して6人にしていただいています。
三木さんと佐藤さんのおかげで、展覧会のコンセプトが一目で伝わり、インパクトのある素敵なチラシができました。このチラシをきっかけに、多くの人が当館や保存修復に興味をもってくださったのではないかと思います。鎌倉市内で「チラシの人ですか?」と声をかけられたこともありました。少し恥ずかしかったですが、今となっては良い思い出です。
ご投票いただいた皆様、本展をご覧いただいた皆様に改めてお礼申し上げます。




第4位 BBプラザ美術館
『明日への出発「関西の作家たちの交差点」「フランスの作家たちの物語」』

■〈兵庫県〉BBプラザ美術館
・前期「関西の作家たちの交差点」
2024年5月14日(火)~7月15日(月)
・後期「フランスの作家たちの物語」
2024年8月27日(火) ~10月6日(日)

第4位は、BBプラザ美術館『明日への出発「関西の作家たちの交差点」「フランスの作家たちの物語」』です。

神戸にある、BBプラザ美術館開館15周年を記念した本展。前期「関西の作家たちの交差点」では、関西地方にゆかりある日本の作家たちを、後期「フランスの作家たちの物語」では、パリで一時代を画したフランスの作家たちを紹介します。

このチラシの凄さは、変形サイズの折りによる仕掛け! まずパッと手にした際のA4サイズでは、前期に展示される野々内良樹《庭の春》が大きく1点で配置されています。沈丁花と思われる白い花と、赤い椿のコントラストが印象的です。

次に右側に隠された二つ折り部分を開くと、マリー・ローランサンをはじめ、エコール・ド・パリの画家3名の作品が登場。前期のポイントカラー2色に、後期から青が足されました。つまり、日の丸を連想させる赤と白に、後から青が加わることで、フランスのトリコロールカラーとなるのです……! 驚きのギミックに思わず拍手!!

BBプラザ美術館『明日への出発「関西の作家たちの交差点」
「フランスの作家たちの物語」』チラシ見開き表面

ただし、あくまでもチラシの主役となるのは、タイトルや作品の紹介など展示内容を知れる部分。前後期の異なる味わいを、さりげなくひとつのチラシで見せる淑やかさが素敵です。

BBプラザ美術館『明日への出発「関西の作家たちの交差点」「フランスの作家たちの物語」』決戦投票コメント
★関西とフランスの作家の作品の対比が面白く、センスを感じる。(Hank/60代/兵庫県)
★作品と展覧会タイトルのバランスなど、全体的な雰囲気が心地よいデザインだと思いました。(ありさ/30代/兵庫県)
★文字の配列、色彩、全体の構図がとても素敵で斬新。(Okちゃん/70代/大阪)
★旅立ちを感じさせるおしゃれなデザイン。(マカロン/50代/兵庫県)

BBプラザ美術館『明日への出発「関西の作家たちの交差点」
「フランスの作家たちの物語」』デザイナー

NATSUKI HOSOKAWA DESIGN・細川夏樹さんより受賞コメント

この度はおちらしさんアワード2024に選出いただきありがとうございます。
BBプラザ美術館15周年を機に新たな出発となるコレクション展のタイミングでチラシのデザインをとお声がけいただきました。BBプラザ美術館の現在の想いやこれからのビジョンを伺い今までとは違った方向性のビジュアルでアプローチしました。
本展覧会は前期が関西の作家、後期がフランスの作家で構成されており、それがパッと見でわかるようにデザインしました。
デザインを進める上でチラシに起用する作品のセレクトもお手伝いさせていただきましたが、関西の作家さんの作品が力強く、その良さが真正面から伝わるように(活きるように)注力したのでその辺りが評価いただけたのかなと感じました。
ノミネート及び受賞をとても嬉しく思います。投票してくださいました皆様、どうもありがとうございました。

『明日への出発「関西の作家たちの交差点」
「フランスの作家たちの物語」』
BBプラザ美術館 学芸員・小田有紗さん

たくさんのステキなチラシの中から、当館展覧会チラシにご投票いただきましてありがとうございます。第4位に選んでいただき大変光栄です。
今回の「明日への出発(たびだち)」展は、開館15年記念のコレクション展として、前期と後期にわたり収蔵品から厳選した作品をご紹介しました。前期は「日本・関西」、後期は「フランス・パリ」の作家という、テーマの異なる2期分の内容をA4変形サイズにまとめ、印象的に仕上げてくださったデザイナーの細川さんに心から感謝いたします。
チラシをご覧くださった皆様、印刷・郵送に携わってくださった方々、様々な方の眼や手が展覧会を支えてくださっているのだと、美術館スタッフ一同日々実感しています。
これからもチラシやポスターなど気になる印刷物のデザインを見つけて、話題の一つにしていただけますと幸いです。(BBプラザ美術館のコレクション展・企画展も是非!)




第5位 嵯峨嵐山文華館×福田美術館
『君があまりにも綺麗すぎて ~福田コレクションの美人画~』

■〈京都府〉嵯峨嵐山文華館・福田美術館
2024年4月19日(金)~7月1日(月)

第5位は、嵯峨嵐山文華館×福田美術館『君があまりにも綺麗すぎて ~福田コレクションの美人画~』です。

おちらしさんでも毎号大人気の福田美術館・嵯峨嵐山文華館の展示チラシ。今回票を集めたのは、両館の所蔵する珠玉の美人画コレクションから選ばれた”約190人の美人が一同に介す”という企画展です。

美人画には、実在のモデルを描いたもの、実在しない誰かに想いを馳せて描いたもの、記憶の中の美人を再現したものなど、多様な着想と表現があることをご存じでしたか? 描き出されるのは、想いを映し出す作家だけが知る美人の姿。どれも「君があまりにも綺麗すぎて」という、心の高鳴りゆえに生まれた作品なのです!

温かみのあるオレンジを基調としたチラシの表面には、嵯峨嵐山文華館に展示された、小田富弥《秋宵》の美人が登場。水色を基調として澄んだ雰囲気の裏面は、福田美術館に展示された伊東深水《夕化粧》の美人です。二つ折り部分を見開いてみるとどうでしょう……。それぞれにとっても綺麗!

嵯峨嵐山文華館×福田美術館
『君があまりにも綺麗すぎて ~福田コレクションの美人画~』チラシ見開き表面

チラシには、和紙のように柔らかな触り心地の紙が使われています。

惚れ込んだ作家の”目”で見る美人は格別。展示を訪れたなら自分が思う「君があまりにも綺麗すぎて」にぴったりな美人も、190人の中から見つけてみたいものです。あなたならどの美人をこのチラシにレイアウトしますか?

嵯峨嵐山文華館×福田美術館『君があまりにも綺麗すぎて ~福田コレクションの美人画~』決戦投票コメント
★キャッチフレーズと絵のマッチングが絶妙!(ISSA/60代/東京都)
★やっぱりこれが一番綺麗でしょ!(チョロ/50代/埼玉県)
★展覧会名の入れ方。伸びやかなフォントと型にハマらない文字の配置が、綺麗すぎる美人画を観て心乱される観覧者側を表現しているようで好きです。「君があまりにも綺麗すぎて……」とため息をつきたくなります。(わかこ/20代/愛知県)

『君があまりにも綺麗すぎて ~福田コレクションの美人画~』
福田美術館/嵯峨嵐山文華館 広報・中島真帆さんより受賞コメント

この度はおちらしさんアワードで「君があまりにも綺麗すぎて」展を5位に選んでいただき大変光栄です。
まずタイトルについては、館長を含む美術館スタッフみんなで考えながら「ラノベっぽいタイトルにしたいな」とか言いながら楽しく決めたものです。次にビジュアルについて、現代においてとりわけメジャーとは言い難い小田富弥の作品「秋宵」がタイトルロゴと良くハマり、パワーを発揮してくれました。良い感じに美人画展らしい品のあるビジュアルに仕上がったと思います。




第6位 神奈川近代文学館
特別展『帰って来た橋本治展』

■〈神奈川県〉神奈川近代文学館
2024年3月30日(土)~6月2日(日)

第6位は、神奈川近代文学館 特別展『帰って来た橋本治展』です。

小説家、イラストレーター、はたまた編み物や舞台の作演など、さまざまなジャンルで八面六臂の活躍を繰り広げた橋本治。平成の終わりとともに2019年1月に生涯を終えた彼が、本展によって令和の時代に帰ってきます。

回顧展ということですからちょっとシックにまとめたデザインかな……と思いきや、チラシを見てみるとまあなんとラフでユニークなことでしょう!! ご自宅なのかアロハシャツにスリッパというラフな出で立ちでポーズを決める橋本さん。お隣には、兜の緒とお揃いの朱色の眼鏡をかけた甲冑が並んでいます。二人の間には流れるよう描かれた題字が……。ポップで自由な雰囲気に、なんだか自然と元気が湧いてくるようです!!

多様な才能で多くの人を楽しませてきた、橋本さんの人間的な魅力がチャーミングに伝わるこのチラシ。読みやすい黄色と紺の反対色を基調にし、誰にでも優しくわかりやすいフォントによる文字情報の入れ方も、明るく開かれた雰囲気を伝える大切な要素です!

神奈川近代文学館 特別展『帰って来た橋本治展』決戦投票コメント
★在りし日の橋本治さんの自然体がステキ。(ジライヤ/70代/東京)
★展覧会も良かったし、デザインが素晴らしい!!黄色&甲冑&アロハ!!(ゆうこ/40代/東京都)
★日常生活の中のポップな感じが愉快で元気が出て、見たい展覧会と思う。(たっこ/60代/香川県)

特別展『帰って来た橋本治展』
神奈川近代文学館・広報ご担当者さまより受賞コメント

錚々たるノミネートチラシの中から、当館の「帰って来た橋本治展」にご投票いただき、ありがとうございます。大変うれしく、光栄に思っています。
なによりも、このインパクトのあるメインビジュアルが皆さまの目に留まったのではないでしょうか。今回は、橋本治の笑顔が光るユニークな写真を活かすために、シンプルで目を惹くデザインを心がけました。
このチラシがきっかけで、神奈川近代文学館をより多くの方に知っていただけたらうれしいです。これからも、皆さまに文学の魅力をお届けできるよう、さまざまな展覧会を開催していきますので、ぜひ当館に足をお運びいただければと思います。




第7位 東京オペラシティ アートギャラリー
『宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO』

■〈東京都〉東京オペラシティ アートギャラリー
2024年4月11日(木)~6月16日(日)

第7位は、東京オペラシティ アートギャラリー『宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO』です。

日本を代表するイラストレーター・グラフィックデザイナーとして、約70年に渡り活躍している宇野亞喜良さん。本展は初期の作品から最新作まで、宇野さんの全仕事を網羅する過去最大規模の展覧会として開催されました。

このチラシの美しさは何と言っても、黄金に輝く表面でしょう。メタリックなゴールドと、そこにシックに映える宇野さんの美しいイラスト……。うっとりするほどゴージャスで、気品に溢れています。すみずみまで美意識が張り詰める、白で添えられた題字や開催期間の文字組み。硬質的な美的センスと、やわらかで曲線的な美的センスのどちらもが贅沢に落とし込まれ生まれる存在感が、一口にチラシとは言えないようなきらめきを放っているのです。

東京オペラシティ アートギャラリー『宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO』チラシ表面(部分)
太陽光の下でのきらめきもご覧ください……!

宇野さんのファンの方、どこかで絵を見たことがあるという方、初めて目にしたという方。どんな人をも揃って虜にしてしまう魅惑的な1枚。展示の思い出とともにずっと大切にしたくなる”宝飾品のようなチラシ”も、いかがでしょうか?

東京オペラシティ アートギャラリー『宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO』決戦投票コメント
ゴールドの背景に宇野さんのイラストが蠱惑的。(ケロ/20代/東京都)
★デザイナーとしても素晴らしい宇野さんに負けない美しさだと思いました。(たこら/60代/東京都)
★素敵なチラシがたくさんあって迷いましたが、今年1番輝いていました。1番美しい、宣伝美術。(さめしまちらし/30代/東京都)

東京オペラシティ アートギャラリー
『宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO』デザイン
デザイナー・大島依提亜さんより受賞コメント

この度は「宇野亞喜良展」のチラシを選んで頂き大変光栄です。ひとえに宇野亞喜良さんが描かれた素晴らしい絵のおかげです。この絵は宇野さんが1965年頃に制作されたポスターに使用されたもので、オリジナルは宇野さん自身がポスターデザインをされています。宇野さんはイラストレーションだけでなくグラフィックデザイナーとしても本当に凄い人で、知れば知るほど、自分がデザイナーとして関わることが恐れ多くなってしまいます。しかし宇野さんはご自身の絵が他者が関わることで変化することを積極的に楽しまれる方なので、恐る恐るですが、新たなデザインに落とし込むことに挑戦してみました。




第8位 BankART KAIKO
『BankART Under 35 2024』

■〈神奈川県〉BankART KAIKO
・第1期 野口雅俊、 易 雅静
2024年6月28日(金)~7月21日(日)
・第2期 阪中隆文、 ヤマモトコウジロウ
2024年8月2日(金)~25日(日)
・第3期 東 亨、 泉 桐子
2024年8月30日(金)~9月23日(月・祝)

第8位は、2つのチラシが同率ランクインとなりました。1つ目は、BankART KAIKO『BankART Under 35 2024』です。

本展は横浜市の事業として行われてきたプロジェクト「BankART1929」が、35歳以下のアーティストを紹介し、次なるステップに繋げる個展シリーズの2024年版。公募によって選ばれたアーティスト6名を3つの会期に分け、2名ずつ展示が行われました。

緑、赤、青の光の3原色を印象的に使い、描かれるのはユニークな鯉。新進気鋭のアーティストによるステップアップのための展示ですから、「鯉の滝登り」をイメージしているのでしょう。古典的なモチーフがポップに描かれている面白さに心を引かれます!

BankART KAIKO『BankART Under 35 2024』チラシ裏面

どの会期にどのアーティストの作品が観られるのかも、色やデザインによってわかりやすく明快……! この視認性の高さは、チラシ表面だけでなく裏面でも光っています。展示のコンセプトや内容を多くの人に伝えるための整え方。そして、BankARTの活動らしいオリジナリティがきらりと伺えるチラシです。

現在、来年度以降の活動継続に向け、初のクラウドファンディングも行われています。ぜひ「BankART1929」HPをご覧ください。

BankART KAIKO『BankART Under 35 2024』決戦投票コメント
★BankARTのフライヤーは、BankARTだなとすぐわかるからすごい。(ss/60代/神奈川県)
★いつもユーモアあってかっこよい!(ゆめこ/50代/神奈川県)
★表面に作品の写真、絵など情報がないが、どんな展示か興味をひいたから。(nao/50代/神奈川県)

BankART KAIKO『BankART Under 35 2024』デザイン
ヤング荘・北風総貴さんより受賞コメント

本チラシが多くの方に選んでいただけたことをうれしく思います。若手作家の登竜門的な展覧会のチラシなので、鯉の滝登りをモチーフにし、会期が三つに分かれていることがわかりやすいデザインにしました。これからも多くの人の目に留まるチラシを作っていきたいです。




第8位 東京都現代美術館
『坂本龍一 音を視る 時を聴く』

■〈東京都〉東京都現代美術館
2024年12月21日(土)~2025年3月30日(日) 開催中!

第8位の2つ目は、現在開催中の東京都現代美術館『坂本龍一 音を視る 時を聴く』です。

1970年代から時代の先端を切り開いてきた、世界的音楽家・アーティストの坂本龍一さん。本展は、坂本さんが生前東京都現代美術館のために遺した展覧会構想を軸に、没入型・体感型サウンド・インスタレーション作品を味わうことができます。

誰もが必ず一度は耳にしたことがあるであろう坂本さんの音楽。ですが、このチラシでまず目に飛び込んでくるのは「わたしが知らない坂本龍一」のキャッチコピーです。「知らない?」と頭にハテナが浮かぶとともに、目の前には謎に包まれたコラ―ジュのシルエットが……。晩年のトレードマークであったジャックデュランの眼鏡をはじめ、確かに私たちがイメージする坂本さんの姿でありながら、時空や電子空間を超えた新しい在り方で生きづいているような感覚を覚えます。

詳しく知りたいと思いチラシをめくると、裏面には展示タイトルなど最低限の情報と、アクセスすると音楽が聞こえてくるQRコードのみ。シルバーの世界に漂う残り香のような模様も、そこに何かがあった残像を思わせます。

東京都現代美術館『坂本龍一 音を視る 時を聴く』チラシ裏面

実はこのチラシ、たくさんの仕掛けが張り巡らされているにも関わらず、展示のメインビジュアルや詳細が発表される以前の期間に配られる「仮チラシ」なんです! 「仮チラシ」とは思えない圧倒的な完成度と期待感に、おちらしさんでチラシをお届けした際にも多くの反響をいただきました。

東京都現代美術館『坂本龍一 音を視る 時を聴く』決戦投票コメント
★『坂本龍一 音を視る 時を聴く』という展覧会タイトルではなく、「わたしが知らない坂本龍一」というキャッチコピーと、コラージュのように様々な視点で捉えられたビジュアルが目をひきました。さらに、詳細な情報はなく、裏面にはQRコードがひとつ。そこから展覧会サイトに飛ぶのかと思いきや、アクセスする度に違った音楽が聴ける… ティザーチラシでしたが、まさに、まだ詳細が発表されていない展覧会への期待がチラシを通じて高まっていく素敵なチラシだと思いました。(ぷらいまり/40代/東京都)
★坂本龍一さんの個展なのにも関わらず、ポップでキャッチーで、でも坂本さんを思わせるクラシカルなデザインに惚れました。裏側に銀色を使用しているのもツボ!とてもかわいい、かっこいいデザインです。遊び心も満載。(めがね/10代/東京都)

東京都現代美術館『坂本龍一 音を視る 時を聴く』デザイン
GOO CHOKI PARの皆さんより受賞コメント

昔から美術展や映画・演劇のチラシデザインを見るのが好きで、 お気に入りは部屋に飾ったりコレクションして楽しんでいました。今回このような反応をいただけて、とても嬉しく思っております。このビジュアルでは、私たちがまだ知らなかった坂本龍一さんの創造の中に吸い込まれ包まれるような、辿り着けるようでいてとても果てがないような、そんな世界観を目指しました。 様々な楽器や環境の音色。電子信号と光の輝き。人間の創造力と感情。それらをイメージした抽象的な要素を積み重ね、坂本さんのポートレートを形作っています。 偉大な功績を残された坂本さんに恥じぬよう、我々も日々良い物作りを続けていきたいと思います。ご投票いただいた皆様、おちらしさんスタッフの皆様ありがとうございました。




第10位 東京都現代美術館
『開発好明 ART IS LIVE ―ひとり民主主義へようこそ』

■〈東京都〉東京都現代美術館
2024年8月3日(木)~11月10日(日)

第10位も2つのチラシが同率ランクインとなりました。1つ目は、東京都現代美術館『開発好明 ART IS LIVE ―ひとり民主主義へようこそ』です。

アーティストとして、社会へコミュニケーションを促す表現活動や、ワークショップを続けている開発好明さん。彼の30年以上に及ぶ作家活動の中から、約50の作品・プロジェクトを紹介するのがこの展覧会です。

「ひとり民主主義」と呼ばれた、個人的な営みから互いの反応が生まれ、連鎖的に人々を巻き込んでいく表現を大切にする開発さんらしく、アクティブなチラシデザインは全2種類! 青バージョンとピンクバージョン、どちらもカラフルでポジティブな活気にあふれています。写真と文字組みが変則的にデザインされている点も爆発力を感じさせ、壊された壁の向こう側へ、私たちを招いてくれているかのようです……!

東京都現代美術館『開発好明 ART IS LIVE ―ひとり民主主義へようこそ』
チラシ表面(ピンクバージョン)

二つ折りチラシの中面では、開発さんがこれまでに行ったプロジェクトや、本展で行われる企画が8つ紹介されています。会場では一体どんな体験ができるのか、ワクワクを感じさせるとともに、矢印のツッコミも楽しいポイント!! この展覧会で人と人が集い生まれる熱と勢い、そしてうねりに巻き込まれてみたくなるチラシです。

東京都現代美術館『開発好明 ART IS LIVE ―ひとり民主主義へようこそ』チラシ見開き中面

東京都現代美術館『開発好明 ART IS LIVE―ひとり民主主義へようこそ』決戦投票コメント
★アーティスト本人の存在感と、チラシのカラーや印刷のインパクトが相乗効果を生み出して目を引きました。(むぎ/40代/福岡県)
★ライブ感溢れるポップなチラシ!否が応でも目を惹きます。(ののりゃん/40代/東京都)
★カラフルなチラシが、多彩な作品やプロジェクトを展開するアーティストの開発さんを体現しているから。(figgy/50代/東京都)

東京都現代美術館『開発好明 ART IS LIVE
―ひとり民主主義へようこそ』デザイン
デザイナー・
佐々木俊さんより受賞コメント

写真は、展覧会にむけて作業中の開発さんのアトリエに伺い撮影をしました。作業中の散らばった廃材や工具もそのままにライブ感のある写真になりました。撮影時に開発さんが着ていた青いジャケットの色をキーにして、ビジュアルの配色を組み立てています。レイアウトに関しても、キレイにまとめてしまわないように雑多で動きのあるタイポグラフィで構成しています。このデザインの「いい加減」が開発さんの人柄ともマッチしたように思います。チラシを多くの方に手に取っていただいたようでとても嬉しいです。




第10位 東京都美術館『デ・キリコ展』

■〈東京都〉東京都美術館
2024年4月27日(土)~8月29日(木)
■〈兵庫県〉神戸市立博物館
2024年9月14日(土)~12月8日(日)

第10位の2つ目であり、最後を飾るのは、東京都美術館『デ・キリコ展』です。

おちらしさんでもお届けしたこちらのチラシは、当初より印刷やデザインのプロフェッショナルの皆さんの間で大きな話題を呼びました。秘密が隠されているのは、チラシを囲う「黒い縁取り」。通常、チラシの隅は印刷や紙の裁断、折りの過程で1枚ごとの微妙なズレが発生しやすい部分。どんなに気をつけていても、寸分の狂いさえも許さないデザインを叶えるというのは本当に難しいことなのだそうです。しかし『デ・キリコ展』のチラシは、3mmほどの黒縁がすべて真っすぐ! ズレがあれば目立ってしまう直線のデザインを、驚くべき高い精度によって叶えています。

東京都美術館『デ・キリコ展』チラシ見開き表面
真ん中の折り部分もぴちっと正確!黒縁でカッコよく締まります。

そんな、黒縁で表現するのは、本展の主役であるジョルジョ・デ・キリコが生み出したシュルレアリスムの世界。歪んだ遠近法、脈絡のないモチーフの配置、幻想的な雰囲気によって非日常を表した絵画は「形而上絵画」と名付けられ、20世紀の美術界に大きな衝撃を与えました。

東京都美術館『デ・キリコ展』チラシ見開き中面

「形而上絵画」の不思議な世界観を延長するように、彼の作品を引き立たせるこのチラシデザインが、今の印刷・デザイン界隈に衝撃を与えたことは、デ・キリコが世界に与えたインパクトと重なるのかもしれません。影が引き締まる、オレンジと黒の配色もベストマッチです。

東京都美術館『デ・キリコ展』決戦投票コメント
★デ・キリコ展がとても素晴らしく、チラシにもデ・キリコの形而上的世界観、なんか引っかかる雰囲気、空間がよく表われている。ロゴもかわいい。早く行きたい!って思わされるデザイン。(Ninko/50代/神奈川県)
★一目見た時のインパクト!おかげさまで展覧会にも行き、加えてデ・キリコの勉強も始めました。(やし/60代/東京都)
★見たら忘れない色使いが素敵です!(ひお/40代/兵庫県)

東京都美術館『デ・キリコ展』
ご担当者さまより受賞コメント

デ・キリコの不思議な世界感、形而上の世界を、ファンの方はもちろんデ・キリコを知らない人たちに伝えたい!
グラフィックデザイナーのシルシさんはそんな私たちの意図を見事に汲んでくださいました。インパクトのあるオレンジのテーマカラー、イタリアで見られる回廊のような、窓のような丸みを帯びた影、そして別世界へと引きこまれるようなキャッチコピー「不思議の世界へ、ようこそ。」は、そのまま展示空間へとつながり、デ・キリコの世界を体感することができたのでした。
皆様に楽しんで評価いただけたことはとても嬉しく思います。ありがとうございました。


以上をもって、「おちらしさんアワード2024」の結果発表といたします。今年もたくさんのご投票とチラシへの熱い愛をお寄せいただき、本当にありがとうございました!!

今回ご紹介した受賞コメント、並びに決戦投票ページでは、ノミネートチラシの公演主催者・ご関係者の皆さまに多数のご協力をいただきました。この「おちらしさんアワード」を通して、改めて2024年に出会えた素晴らしいチラシの数々に想いを馳せていただけましたら幸いです。全国津々浦々、各地の美術館・展示会場で出会った素敵なチラシは、ぜひ2025年のおちらしさんアワードで教えてくださいね……!

展示へ行きたくなるワクワクと、展示を思い出すドキドキ。どちらの時間もチラシがあなたと寄り添っていますように!


おちらしさんアワード2024~美術版~
全ノミネートチラシご紹介

チラシ画像はこちらの決戦投票ページでご覧いただけます

第1位 高島屋史料館TOKYO『ジャッカ・ドフニ 大切なものを収める家―サハリン少数民族ウイルタと「出会う」』
第2位 練馬区立美術館『生誕150年 池上秀畝―高精細画人―』
第3位 神奈川県立近代美術館『鎌倉別館40周年記念 てあて・まもり・のこす 神奈川県立近代美術館の保存修復』
第4位 BBプラザ美術館『明日への出発「関西の作家たちの交差点」「フランスの作家たちの物語」』
第5位 嵯峨嵐山文華館×福田美術館『君があまりにも綺麗すぎて ~福田コレクションの美人画~』
第6位 神奈川近代文学館 特別展『帰って来た橋本治展』
第7位 東京オペラシティ アートギャラリー『宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO』
第8位 BankART KAIKO『BankART Under 35 2024』
第8位 東京都現代美術館『坂本龍一 音を視る 時を聴く』
第10位 東京都現代美術館『開発好明 ART IS LIVE ―ひとり民主主義へようこそ』
第10位 東京都美術館『デ・キリコ展』

(以下、決戦投票ページ掲載順 ※ランダム)
東京都現代美術館『ホー・ツーニェン エージェントのA』
京都市京セラ美術館『村上隆 もののけ 京都』
国立西洋美術館『内コレクション 写本 — いとも優雅なる中世の小宇宙』
東京オペラシティ アートギャラリー『髙田賢三 夢をかける』
東京国立近代美術館『中平卓馬 火―氾濫』
京都国立近代美術館『没後100年 富岡鉄斎』
渋谷区立松濤美術館『111年目の中原淳一』
京都国立博物館 特別展『日本、美のるつぼ―異文化交流の軌跡―』
嵯峨嵐山文華館『HaikuとHaiga―芭蕉と蕪村、2人のカリスマ―』
国立新美術館『田名網敬一 記憶の冒険』
東京都美術館『田中一村展 奄美の光 魂の絵画』
国立科学博物館 特別展『鳥 ~ゲノム解析が解き明かす新しい鳥類の系統~』
西脇市岡之山美術館『にしわき横尾忠則コレクションⅣ-みんなのイチオシ・美術館40年間の歩み』展
NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]『高精細デジタル モネ 睡蓮、柳の反映』
東京国立近代美術館『ハニワと土偶の近代』
東京都写真美術館『恵比寿映像祭2024 月へ行く30 の方法』
神奈川近代文学館『安部公房展――21世紀文学の基軸』
京都国立近代美術館『倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙』
国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』
東京都美術館『印象派 モネからアメリカへ』
泉屋博古館東京 企画展『ライトアップ木島櫻谷 ―四季連作大屏風と沁みる「生写し」』
アーティゾン美術館『ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子—ピュシスについて』
半蔵門ミュージアム 特別展『小川晴暘と飛鳥園 100年の旅』
東京国立博物館『挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」』
東京ステーションギャラリー『空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン』
東京都庭園美術館『生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界』
ポーラ ミュージアム アネックス 田原桂一『OPÉRA de PARIS』
太田記念美術館『浮世絵お化け屋敷』
府中市美術館『春の江戸絵画まつり ほとけの国の美術』
トーキョーアーツアンドスペース本郷『TOKAS Project Vol. 7 鳥がさえずり、山は動く』
森アーツセンターギャラリー『さくらももこ展』
平塚市美術館『大正・昭和のモダニスト 蕗谷虹児展』
京都国立近代美術館『開館60周年記念小林正和とその時代―ファイバーアート』
東京都写真美術館『アレック・ソス 部屋についての部屋』
アーティゾン美術館『ひとを描く』
大阪中之島美術館『没後50年 福田平八郎』

▽「おちらしさんアワード2024~舞台版~」結果発表はこちら▽

\主催・関係者・投票してくださった皆さまより/
▽【2/7追記】結果発表後にいただいたお声をまとめています!▽


▽過去3年間の「おちらしさんアワード」歴代大賞チラシもチェック!▽

◇2023年 美術版◇
第1位 下瀬美術館「開館記念展 おひなさまと近代美術
— 丸平の人形からガレ、マティスまで」

◇2022年 美術版◇
第1位 「展覧会 岡本太郎」

◇2021年 美術版(初開催)◇
第1位 「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 
フェルメールと17世紀オランダ絵画展」

▽これまでの舞台版結果発表や、関連特集記事はこちら!▽

▽「おちらしさんアワード2024」チラシ年間大賞に選ばれたのは…!?▽

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