君と夏が、鉄塔の上 大人の読書感想文 私の場合。
「鉄塔は家系図みたいなものなんだ」
本作に何度か出て来るこの言葉に、私の心がグっと抉られる。
自分の手を、少し苦しく感じた場所に当てて、大きく息を吸い込む。
グッとしたその場所が、鼓動を刻んでいる事を感じてから、
本をパタンと閉じて、一度心を落ち着けかせる。
私はそれを何度か繰り返した。
そうしないと読み続ける事が出来なかったから。
主人公の伊達は、鉄塔が好きな地味目な中学3年生。マイナーな趣味を持つ彼は、中学最後の夏休みを、特に何の予定もなく過ごすはずだった。そんな伊達の