第9章リスクと不確実性を伴う選択の評価
はじめに
この章では、リスクと不確実性を伴う意思決定の神経経済学の概要をお伝えします。
Risk-Return Decomposition of Risky Options
リスクを伴う選択の評価に対する2つめのアプローチはファイナンス理論から派生しています。リスクを伴う選択に対する支払意思額(willingness to pay)は平均リターンV(X)と人々が最小化しようとするリスクのトレードオフによって決まるとしています。
(参考)ファイナンス理論では正確には以下の通り。
CFA Institute Level III Page 296
エルスバーグの逆説
エルスバーグの逆説(Ellsberg Paradox)とは、不確実性下の意思決定における逆説であり、期待効用理論における独立性の公理に対する反例の1つである。原典を分かりやすく簡素化した例。
箱Aには赤いボール50個、黒いボール50個
箱Bには赤いボールと黒いボールが合計100個
問1
赤を引いたら100ドル差し上げます。黒を引いても何も差し上げません。箱Aと箱B、どちらを選びますか?
問2
黒を引いたら100ドル差し上げます。赤を引いても何も差し上げません。箱Aと箱Bどちらを選びますか?
→ほとんどの人が、問1でも問2でも箱Aを選ぶ。なぜ逆説なのか?
問1で箱Aを選ぶということは、箱Aで赤を引く確率>箱Bで赤を引く確率という仮定をしており、箱Bの内訳は黒>赤となる。
しかし、問2でも箱Aを選ぶということは、箱Aで黒を引く確率>箱Bで黒を引く確率という仮定をしており、箱Bの想定内訳は赤>黒となる。
プロスペクト理論において、意思決定ウェイトは主観的確率で決まるが、ヒトは主観的確率でさえ一貫していない。
期待効用仮説においては、結果と確率が要素になってくるが、ヒトはその確率を見積もることができないという反証。
ここまで、リスクと不確実性が価値に基づいた意思決定に対して重要な影響を及ぼしていることを開設しました。ここからは、それらの要素がどのように脳で処理され、価値に関する脳内処理に影響を与えるのか考えていきます。
線条体(striatum)と内側前頭前野(medial prefrontal cortex)
神経ないの記録はCVつまり分散と標準偏差に影響を受けるためです。
Correlates of outcome-probability decompositions
結果と確率の関連付け
脳内における複数の領域がリスクを伴う選択をする際の2つの大きな要素であると考えられています
しかし、その2つの領域は常に一緒に検査され比較されるわけではないため、部分的な議論よりも脳の構造について考えていきます。我々は、ドーパミン・ニューロン(第3章で紹介されていた「報酬系の網膜」)から議論を始めていきます。その後、大脳基底核(basal ganglia)と前頭皮質(frontal cortex)について話を進めて参ります。
非人間の霊長類の中脳(midbrain)における単一ドーパミン・ニューロンは、液体や食品の報酬により位相性の(約100ミリ秒)の反応を示した。これらの反応は、その報酬の大きさ(magnitude)と比例した。
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