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これからのALS治療とケア 日本で、新薬の承認申請なるか? ボスチニブ
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は運動神経細胞が変性して、経過に個人差はあるものの手足の動きや言葉、飲み込みなどの運動機能障害が徐々に進行する病気です。
日本では病気の進行をわずかに遅らせる可能性のあるお薬は2種類(リルゾールやエダラボン )認可されていますが、ALSは根本的な治療薬がまだない神経難病疾患です。
最近、海外で承認の薬を国内でも使用できるように、ALS患者団体が訴えております。
難病のALS “海外で承認の薬を国内でも” 患者団体が訴え
国内では、日本の研究者の先生たちが頑張ってくれています❗️
その薬は。。。。。。
ボスチニブ Src/c- Abl阻害剤
2022年10月26日オンライン版 Lancetに発表
https://www.thelancet.com/action/showPdf?pii=S2589-5370%2822%2900437-0
医師主導治験
京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の井上治久教授、徳島大学病院脳神経内科 和泉唯信教授、京都大学医学部附属病院脳神経内科 髙橋良輔教授、北里大学病院脳神経内科 永井真貴子診療准教授、鳥取大学医学部附属病院脳神経内科 渡辺保裕准教授らの研究チーム
第Ⅰ相試験 (薬の安全性と忍容性、および探索的に有効性を評価)
(目的)
ALS患者におけるボスチニブの安全性と忍容性を評価し、最大許容用量と第Ⅱ相推定用量を決定するiDReAM試験を実施。
(方法)
ALS患者3例にボスチニブ100mg/日を投与して安全性を評価した後、3+3用漸増試験として、同薬200m/日群、300mg/日群、400mg/日群に3例ずつ割り付けて12週間投与した。
(結果)
9例中5例で進行が抑制
ALSFRS- R(ALS functional ratig scale-revised)スコアのベースラインからの低下は、100mg群 、300mg群各2名、200mg群1名で観察期よりも治療期の方が小さく、9名中5名がボスチニブによく反応し、12週間の治療期間中もALSFRS- Rスコアの変化は安定したままであることが確認された。
400mg/日群の3例は有害事象により中断。全体では、下痢、肝機能障害などの有害事象が認められ、投与調整や支持療法による管理が必要なケースもあった。
(結論)
本試験では、100 mg- 300 mg が ALS に対する安全な用量である可能性があると判断した。
サンプル数が少ないため慎重に解釈する必要があるが、ベースラインのニューロフィラメント(NFL)レベルが低いと、機能低下が遅いことが知られている。
(本研究の限界)
プラセボ を用いないオープンラベル試験であることと、症状が限定的な少数の日本人患者からしか結果が得られていないこと。
治療薬としての承認申請までは、まだまだ長い道のりですが、ALSの治療薬開発の光明となって欲しいですね。🌸
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