ケン@神経薬理研究者
薬学博士/専門は神経薬理学、特に感覚に関する研究/旧帝大薬学部卒業後、博士課程へ進学(学振DC1)/学位取得後、大手企業の研究所勤務→大学発ベンチャー社員・大学の博士研究員/痛覚、嗅覚などの感覚研究に取り組んだ後、現在は脳がもつ新しい全身機能の研究に従事。
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人工冬眠を誘導するにおい分子とその神経伝達経路の解明(2021年4月 Nature Communications掲載論文)
嗅覚は五感の中でも最も軽視されてきた感覚である。「五感の中のうちどれか1つの感覚をあきらめないといけないとしたら?」と尋ねられるとたいていの人は嗅覚を選ぶ。実際、マッキャン・ワールドグループによる2011年の調査によれば、ノートPCや携帯電話のような電子機器をあきらめるか、それとも嗅覚を失うかどちらがいいかと尋ねられた若い人(16歳から22歳)のうちなんと半数以上が嗅覚を失うことを選択したという報告もある。置き換え可能なテクノロジーを失うことよりも、身体的な障害を負うことを選