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いつもそばには、猫がいた。
「生きてるだけで、えらいですよ」
最近出会ったひとが
かけてくれた言葉。
今現在取り組んでいたことの
努力の成果がなかなか現れず
しょんぼりしていた時だったかな
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生きてるだけで、えらい。
その時は
「いいなぁ、その考え方」
くらいにしか思わなかった。
だけど、昨日。
ふとその言葉を思い出して
泣きそうになった。
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生きていくのを諦めようとした
あの日から、ちょうど一年。
自分が生まれた日に
命を終わらせようとした日。
もうどうにもならないと
思っていた日々を重ね続け、
今日この日を迎えた。
バカみたいな量の
お酒を飲みながら
ただただ天井を眺めていたあの日。
そして、一年後の今日。
仲間に囲まれて
なにひとつ心配事のない
贅沢な時間を過ごしている。
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よく乗り越えられたなと思う。
自分自身を諦め、
すべてが限界値を超えて崩壊して
罪悪感に押しつぶされて
とにかく毎日が苦しかった。
自分は独りだ。
家族はみんな、いなくなった。
だけどたぶん、
ものすごくしあわせ者だ。
ほんとうの意味で
独りだったら
今日この日を迎えることは
なかったと断言できる。
どれだけ深く内側に沈みこんで
どれだけ固く心を閉ざしても
無理矢理にでも引っ張り出してくれる
人達が周りにいてくれた。
どれだけ失礼な態度をとっても
諦めずに待ち続けてくれる人達が
周りにいてくれた。
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そして。
心が潰れるくらい
つらいことが起きたときには
いつもそばには猫がいてくれた。
去年の今日も、
母が亡くなったときも。
だれが欠けても、なにが欠けても、
今はなかった。
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感謝をしたいのに
どれだけしてもしきれなくて
どうしようもなくなるときって
どうしたらいいのだろうか。
とりあえず、よく生きたね。
生きなきゃいけない運命なんだよ、
今のところは。
感謝とか罪悪感とか
その他諸々を抱えながら
おかげさまの人生。
そんな感じ。