第35話 介護離職の実態③
前回まで、介護離職者またはその予備軍の数が多いこと。
介護離職したら経済的に厳しい状況に追い込まれることを学びました。
今回は介護離職に関わる制度について勉強してみます。
・育児、介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)
詳しくは他のサイトに分かりやすくまとめられていますのでここでは書きません。
簡単にまとめると、
原則として「要介護状態」の家族を介護する会社員などは、育児・介護休業法に基づき、「介護休業」を取得することができます。
・介護休業: 要介護状態の家族1人につき通算して93日の休業を申請可能
・介護のための短時間勤務制度 :希望する労働者に対して以下のいずれかの処置を講じる義務がある
①短時間勤務制度
②フレックスタイム制度
③始業・就業時間の繰り上げ・繰り下げ
・介護休暇: 要介護状態の家族1人につき年間5日まで1日単位で休暇を取得
・法定時間外労働の制限: 1ケ月24時間、1年で150日以上の時間外労働の禁止
・深夜業の制限: 深夜労働の禁止
・転勤に対する配慮: 就業場所の変更によって介護が困難になる従業員への配慮
・不利益取扱いの禁止: 介護休業などの制度申し出や取得を理由とした解雇などの禁止
実態は詳しく知りませんが、あまり取得が進んでいないという問題点もあるそうです。
そういった介護休暇取得の文化がまだまだ日本には浸透していないのではないかという分析のようです。しかし私はこの制度を利用できる条件に明記されている要介護状態の定義が負傷、疾病などにより、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態とされている事というのに少し引っ掛かりを覚えます。
この仕事をしていると2週間にわたり常時介護を必要とする状態って結構重い介護が必要で大変な状態だという事が分かります。このレベルになると仕事を休みながら対応できるレベルを超えてしまっている事が多いのではないかと思います。実は要介護状態になる前の段階から職場の協力が必要な事が多いのではないでしょうか?
また、病気ではないので、短期間まとまった休みをとったからといって、いつか要介護状態から脱する訳でもないですよね?介護はずっと続く長期戦です。戦って言葉を使うのは好きではないですけど。
一般の方はあまり分からないかもしれませんが、介護保険制度って家に専業主婦のような人がいる前提で設計されているようなところがあります。誰か家にいてその人の負担が軽くなる程度の制度なので、フルタイムで働きに出てしまっていればなかなか利用しづらい設計です。デイサービスも土日やっているところも少ないですし、時間帯も9時に迎えにきて〜15時まで、なんてところも多いので働きながらって結構厳しいものがあります。
介護休業法ももっと軽い介護の段階から利用しやすく、もっと柔軟に、
介護保険制度はもっと共働き世代が利用しやすいような設計に、
色々なビジネスが埋もれたニーズをくみ取って問題解決をして、
そういった事で乗り越えていかなければ介護離職は防げないのかなと思います。
大好きなsoarさんの記事です。しもにいこと下河原忠道さんは記事の最後にビジネスに福祉的要素を載せるという事を言っています。あらゆる化学反応が起きるはずだと…
私はそういったことの積み重ねで社会が変わることを期待しています。なんだか今の福祉は修復が難しいくらいに複雑に問題が絡み合ってしまった。働いている人も何が問題なのか?どうすれば良いのか?もはや分からない状態になってしまっているのかも。もっと自然体で考えて良いのではないかと思うのです。保険制度にとらわれすぎないで、持続可能性を大事にして問題解決に取り組む人が増えてもいいんじゃないかと思うのです。
ということで制度について考えていたら脱線してしまいました。
すみません、脱線したので介護離職について明日以降もう少し考えてみたいと思います。