女の子のための居場所「あいりす」スタッフにインタビュー!
私たち「ねつせた!」と同じく、世田谷区 子ども・若者支援課の事業である「あいりす」。
今回、スタッフである昭和女子大学のお2人にインタビューしました🎤
あいりすでは、どんな活動をしているの?
れいり あいりすって、どのような経緯で立ち上がったんですか?
Mさん 世田谷区と昭和女子大学の協力協定に基づく連携プロジェクトで、”女子大”という特徴を活かした女の子のための居場所ということで2015年から始まりました。
れいり 実は私も女子大に通っているので、こういった取り組みは興味深いし、すごく素敵だな〜、と思います。
りお あいりすを運営するにあたって、気をつけていることはありますか?
Mさん 私たちは、大学では心理学を学んでいるので、そこで学ぶカウンセリングの技術、例えば「傾聴」や、守秘義務、非言語的コミュニケーションなど、授業で学んだことを踏まえて利用者さんとの信頼関係を築けるよう心がけています。
りお 私も医療系の学部に通っていて、患者さんと対面する時に心がけることだと教わっているので、学外の場で実践されていることが素晴らしいと思いました!
れいり 私自身、あいりすのツイッターなどをよく拝見していて、毎月イベントをやっている印象があるのですが、どうやって思いつくんですか?
Mさん スタッフが「これをやりたい!」と言うこともあるんですが、利用者さんの希望を聞いて、企画に活かすこともあります。あとは、10月ならハロウィンイベント、12月ならクリスマスイベントなど、季節ごとのイベントを企画して開催しています。
Tさん 最近では、Twitter投稿の際にハッシュタグを工夫するようにしています。逆に、ねつせた!の皆さんは、同世代の皆さんに見てもらうために、発信においてどのような工夫をしていますか?
りお リズミカルに読めるよう、行を適宜空けるようにしています。また、自然な写真に見えるよう、なるべく水平になるように回転させたりして調整するようにしています。他のアカウントは参考にしたり、共有したりこともありますね。今後は文章を簡潔にまとめて投稿するようにしてみたいと思っています。
れいり 私は、インスタで投稿する際に1枚目を看板のようなインパクトのある画像にしています。そのために、文字入れをしたりなどしています。例えば、2枚目以降の写真を見てもらうために「スワイプ」と写真に書いたりしています。
実際に活動してみて思ったこと
H(事務局) ところで、あいりすに興味を持ったきっかけは何だったんですか? おそらく、心理学科の全員が参加するわけではないと思って。
Mさん 今、メンバーは2~4年生の17名です。私は大学1年生の時から始めたんですが、その時はコロナ禍で大学に行けなくて。でも「大学に入ったら何かボランティアなど新しいことをしてみたい」とは思っていて、あいりすは心理学科がやっているプロジェクトかつ区の方々も関わっているため、安心して参加できそうだな、と思ったことと、「女の子のための居場所」という点についても、女の子のみが利用できることの意味を考えたかったため、そこに惹かれて参加しました。
Tさん 私は、1年生の時からあいりすの活動自体は知っていたし気になっていたんですけど、大学の授業や課題、1人暮らしやバイトを両立することを考えた時に、それにプラスであいりすの活動もできるか自信がなくて、2年生まではやらないで過ごしてしまいました。そんな中、2年生から参加した友だちからあいりすの雰囲気ややりがいを聞いて、自分も4年生になったらできるかどうか分からないから、3年生が最後のチャンスだと思ったのと、1〜2年生を過ごしてきて物足りなさも感じていたので、何か新たな挑戦をしてみたいなぁと思って入りました。
また、人見知りではあるものの、人と話すのはすごく好きなので、自分自身も話すことで寂しさや孤独感が少なくなったようにも思います。
H(事務局) そうだったんですね! 実は私も女子大の出身で、女子大ならではのジェンダーの授業などあって、考えることが多かったですね。でも、居場所として学生主体で運営しているという取り組みをやっているというのは、新鮮ですし素晴らしい取り組みだなぁと思いました。
また、Mさんが仰るように、区と大学が連携しての取り組みだから安心して続けられるっていうのも共感したし、Tさんのように、人と話すのが好きっていうスタッフさんとお話しすることで利用者さんも勇気をもらえるのかな、って思ったので、これからもそういった女の子の味方であってほしいな、と思います。
りお 活動していて「良かったな」って思うことは何ですか?
Mさん まず、私たちの学年が大学に入学した時コロナ禍で、自宅で授業を受けたりすることが多く、けっこう孤独感や寂しさを感じることが多かったんですが、あいりすのスタッフになってからは人とコミュニケーションを取るようになったので、”利用者さんのため”というだけでなく自分自身も孤独感を感じにくくなりましたね。
また、心理学科の授業を受けているだけでは、何かに活かそうとしないで終わってしまう可能性もあるのですが、あいりすで活動することで、心理学との関連性や「どう活かすか」を自然と考えるようになりました。
Tさん あいりすは、心理学科の1〜4年生が参加できるので、他学年の人たちと関わることができたのは、あいりすに参加したからこそかな、とは思います。
りお 逆に、大変だった点は…?
Mさん 私自身、ちょっと人見知りなところがあり、最初、他のスタッフさんが初めて来る利用者さんとも楽しそうに話しているのを見ると「自分がどんなテンションで行って良いのか」などと迷ったり、ずっと緊張して終わったりしたこともありました。距離感などをつかんで自分自身がその空間に「慣れる」までは少し大変でしたね。
Tさん 私も同様で、最初はやっぱり、慣れているスタッフさんとの対応の差っていうか、自分がどう振る舞っていいか分からない時期もあったんですが、回数を重ねることで利用者さんも自分のことを覚えて下さったり、名前を呼んで下さったりするようになりました。さらに、あいりすに行くのを楽しみにしていることなどを利用者の方から伺うと、やっぱり必要とされているんだなって思って、すごくやりがいを感じますね。
れいり 実際やってみて、いかがでしたか?
Tさん 一言でいうと、すごい「良かったな」って。私自身、地方から上京してきて、この大学に入って知ったことは、世田谷区はいろんな活動に取り組んでいる自治体であるということで、すごく温かい印象を持ったんですよ。私は3年生の時からあいりすに入ったのですが、1年生の時から知ってはいたため、その時からスタッフを始めておけば良かったな…、って時々なるくらい、何か「いいな」って思います。
「人と向き合う」ということ
りお 「女の子のための居場所」であるあいりすに携わられているお2人ですが、近年のジェンダー問題について、気になっていることはりますか?
Mさん 中学・高校の制服として、女子もスラックスを選べる学校が増えていることに「すごい変わってきたなぁ」と感じていて、より若者がジェンダーについて考える機会にもなっているんじゃないかと思います。
このように、男女のギャップが少ない世の中になりつつあるのかもしれませんが、それでも「女の子だけの方が話しやすい」などといったニーズはあると考えていて、そういったところにあいりすはリーチできれば、と思っています。
Tさん 私自身はまだ、ジェンダーに悩みを抱えている友人に出会ったことがなく、今のところニュースで聞いたりするのみなんですが、実際に悩みを抱えている方と関わることになったら、「自分だったらどう対応するだろう」と思うことはありますね。もちろん、ジェンダー差は少なくなっていったら良いな、と思います。
れいり そうですよね…。私も同じようなことに関心があるので、共有できて良かったです。
H(事務局) そんな利用者さんと関わることで、自分自身が「成長できたな」「考え方が変わったな」といった”変化”はありましたか?
Mさん 私自身、その場所に「慣れる」までに時間がかかってしまうことがあって、不安で緊張してうまく話せなかったりしたのですが、だんだんその利用者さんと話していくことで自分も話せるようになってきて。今ではちょっとぼそっと言ったことでも利用者さんが反応して下さるようになったんですよ。自分の話したこともちゃんと聞いて下さっているんだな、と思って、声をかけたり話しかけに行ったりすることにあまり抵抗が無くなったかな、と思います。
最初は、勝手に利用者さんに声をかけに行くのかな、って思っていたのですが、逆に自分の発言を拾ってもらうこともあることに気づきました。近しい関係性を築けているように思います。
Tさん 月1〜2回と、割とコンスタントに参加できるので、前回あまり話せなかった利用者さんとも緊張せずに話せるようになりました。自分が好きなものを覚えて下さっていて、嬉しかったこともあります。初対面の利用者さんにも、自分から声をかけて様子も伺うようにすることで、会う回数を重ねるごとに会話が弾むようになったので、ちょっと成長できたと思います。
今まで、友だちと出かけたり話したりする時に、例えば好きなアーティストのことなど知らないと会話が続かないと感じていたのですが、あいりすで活動し始めてから、そういった情報や相手のことをよく知らなくても、時間をかけて会話していくと、そこからどんどん相手のことを知ることができて、距離を縮めていくことができるんだなぁと気づきました。
H(事務局) 初めての方とも仲良くできるようになった、というのは素晴らしいですね…!
H(事務局) コミュニケーションを取る時に、大事にしているところはありますか?
Mさん 自分が利用者さんや同じスタッフに話しかけても、集中している時には独り言のようになってしまいます。でもそれは「自分が好きなことをしながら自由に過ごせている」証拠かな、とも思っていて。とはいえ、利用者さんが仰ったことには、なるべく反応した方が良いと考えています。相槌を打つことで、こちらがちゃんと聞いていることも伝わると思うし、無理に話を広げず、一緒にいるだけでも安心感や、柔らかく温かい雰囲気を出せるようにしています。
Tさん 私も、相槌を打ったり反応したりはするようにしていて、自分の塩梅ではあるのですが、特に自分が話題を広げられそうなことについては、しつこくない程度に相手の話したことには反応やリアクションを取るようにしています。例えば、ストレートに「教えてよ」「聴かせて」って言うのではなく、「聴かせてもらっても良い?」みたいな、ちょっと下から入るというか、ガツガツ聞かないように気をつけています。利用者さんは落ち着く場所を求めて来ていることもあり、あんまり言いたくないこともあるかもしれないので、言葉選びには気をつけていますね。
あいりす のスタッフの方からのメッセージと、ねつせた!メンバーの感想
A(事務局) 最後に、ねつせた!を見ている同世代に向けて、何かメッセージなどいただけますと嬉しいです。
Mさん あいりすにいらっしゃる際には、特に予約や持ち物なども必要ないので、ふらっと気軽に遊びに来ていただけたらな、と思っています。
私自身、高2〜3で進路を考える時、女子大って「お金持ち」「お嬢様」のイメージがどうしてもありましたが、実際入ってみたら、本当にいろんな人に出会えました。あと、先生も学生もみんな優しくて良かったです。なので、「おそらくこの進路は自分とは関係ないだろう」などと決めつけずに、広い視野を持って進路選択をしてほしいな、と思います。
あと、大学生になったら時間があっという間に過ぎてしまうので、ボランティアなど自分の興味のあることは、思い立った時にやるのが一番だな、と思いました。
Tさん 授業だけではなく、課外活動にも参加して、いろんな人と関わりを持った方が新しい考え方とかも知れるし、積極的にいろんなところに訪れていってほしいな、と思います。
りお 今まで私も子ども・若者支援課の方と一緒にねつせた!で活動してきたので、あいりすのことはよく聞いてはいました。しかし、具体的にどのように利用者さんと接しているか知らなかったので勉強になりました。学生のうちから学んだことを社会の役に立てる場があるのは素晴らしいと思いました。他にもそのような活動が広がっていってほしいです。
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