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【アルバム紹介】Buzy / Buzy(2011)

今回は、Buzyより全シングル曲収録のアルバム『Buzy』を紹介します。

はじめに

いつものようにspotifyの黒い海で溺れていると、ふと当アルバムが目にはいりました。全くBuzyというアーティストについての知識はなかったのですが、一通り聴いたあとでずっと前から知っていたことに気が付きました。シナプスの活性です。暗渠の合流です。「この道にでてくんねんなぁ」というやつです。

クレジットをみるとなんと本間昭光プロデュース。J-POPの脊椎みたいな方をどう紹介するべきか困ったものですが、彼の作品としてあえてこのBGMをおいておきます。

以下何曲かpickして感想をつらつらと。

一曲目は、シングルの表題曲にもなっている『鯨』です。作詞はポルノグラフィティの新藤晴一(これもまた穏やかでない)。とりあえずかけてみて、「このアルバム聴いてみよう」という気持ちになった曲です。聴きやすいフレーズに、まっすぐ入ってくるボーカル。

聴けば聴くほど曲名に似つかわしくない曲調と歌詞です。この曲が描写するのは、穏やかに海原をゆくでかい哺乳類のアイツではありません。むしろ、海へいってしまった鯨に対して取り残された「私」が中心になっています。クジラと絶望が同居する作品、結構珍しいのではないでしょうか。

パシオン

こちらもシングルの表題曲。作詞は同じく新藤晴一。フラメンコ調の立ち上がり好きです。冒頭にフラメンコギターとClapが聴こえると「エンディング曲っぽいな」という気持ちに私はなるのですが、おそらく↓が原因です。

(このバージョンはないですが、山本リンダの曲もspotifyで視聴可能なのですね。サブスクも来るところまで来ています。)

楽曲内では、恋人に手を引っ張ってほしい女性が歌われています。歌詞だけみるとずっしりなのですが、ボーカルの強さなのか曲調なのか、その重量が気にならないほどさっぱりした楽曲になっています。べとっとしている恋愛ソング苦手です。その点この曲は気持ちいい。

『鯨』の次にこの曲を聴いて、ボーカルの声に聴き覚えがあるなと思いはじめて…

アシタ晴レタラ

中国っぽい弦楽器(古筝といい、日本の箏と違って金属製の弦を用いることもあるそう。奏法も相まってうねるような音色に。)が印象的なゆったりした曲。歌詞だけ見ると藪からstickですが、見ずに聴くと全く気になりません。明日への希望、未知への期待感が詰まっていて、聴いていると「心地よい秋風が吹き抜ける10月の午後五時」のような気分になります。

作詞は渡辺なつみ。彼女の作詞として以下を挙げておきます。


Be Somewhere

げっ。この曲だったか。

聴き覚えの正体を発見し、部屋で思わず声が出ました。『Be Somewhere』は、TVアニメ『ロックマンエグゼStream』のオープニング曲です。もちろん観ておりましたとも。イントロの跳ねるようなシンセサイザー音を聴くだけで当時のワクワク感が蘇るようです。

冷静に聴き直してみると、この曲だけボーカルが抑えてあるなという印象を受けました。Buzyの曲はボーカルの圧が前に出てくるような構成になっているものが多く、誤解を恐れずいうなら「ともかく歌がいいのでいい」という印象です。対して、この曲は全体がうまくまとまっているように思います。


さいごに

このあたりで終えようと思います。最低限の支出でいい曲いいグループの発掘ができるのも、サブスクリプションサービスのいいところの一つだと思っています。(今回はタイムカプセル的な何かを発掘できました)。月謝と時間があればいい。

とにかく『鯨』だけでも聴いてほしい。ボタンの掛け違いで、世に出る潜在性を感じる楽曲でした。


そういえば、ロックマンのロックはロックンロールからとっているんですよね。海外に持ち込まれるに際して、岩男にしかみえないという理由でMega Manに名前が差し替えられたようです。

じゃあロックンロールのロックはどこからとったんでしょうかね。

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