* 元は彼女の家の物置だった白い小屋は二人だけのアトリエとなっていた。 彼女は海が見える窓際、僕は彼女が見える壁際で毎日自分たちの好きな絵を描いた。 * その日も彼女は窓際の椅子に座り鉛筆を握っていた。彼女の目線の先には窓縁に置かれた深緑のライムがあった。 彼女は先日美容院に行ったらしく、腰まであった髪を鎖骨あたりまでばっさりと切っていた。 ガラスの割れた窓の外には教会の建つ岬と海岸線が見える。彼女は波が立っている水