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人生リブート指南(21)移住地リサーチ散歩がいつの間にか「山歩き」になった話

湯河原のアパートから東京に帰る際はJR東海道線で小田原まで行き、そこで小田急線に乗り換えるルートを使っていたのですが、ある時ふと「小田原の手前で降りてそこからぶらぶら歩き、地域のリサーチをしよう」と思い立ちました。
思い立ったらすぐ実行しないと心がモヤついて落ち着かない持病のある私は、「思い立ったが吉日」という先人の言葉を実践したのでした。

その日、私が降り立ったのは湯河原から2つ東京寄りの「根府川」という無人駅。
「サルにエサをあげないでください」という注意書きがホームにあったりして、「ん。ここはちょっと他の駅とは異なる趣向だぞ」と思いましたが、「ま、何事も人生勉強だわ」と不安を払拭して改札(都市部の駅とは意味合いの異なる「正真正銘の無人改札」)に向かったのでした。

サルにエサ

趣ある駅舎を出て、「交番」「JA」「郵便局」しか見当たらないシンプルな駅前を抜けて山へ向かう坂道をずんずん進んでいく私。
途中で「早川・片浦ウォーキングトレイル」という案内表示があって、自分が「山歩きコース」に入ってしまっていることに気づいたのでした。
「でもまぁ、ここまで来ちゃったんだから」と気にせず、更に歩を進めていきました。

山はどんどん深くなっていき、そこは完全なる「みかん山の中腹」
山道を行く私は完全なる「ハイカー」で、自分が「町歩き用のサンダル履き」であることがちょっと不安になったのでした(毒蛇毒虫に足先をやられる可能性もありますので)。
こういう事態になることなんて想定していなかったんで、飲み水食料も持っておらず、「道に迷ったらヤバいぞ」という心配もあり。
いや、ハイキングコースだってナメてかかると遭難する可能性は十分にあるんですよ。

幸いこちらのみかん山は見通しが良く、どこを進めば安全に下山することができるかがすぐに分かりました。
で、最短距離でぶじ下の道路に出られたわけです。
そこから道なりに進んでJR早川駅→小田原駅、というルートで帰京できたのですが、途中で大好物の青みかんの無人販売所(一袋にたっぷり詰まってて100円!)があったりして大満足でした。

どうも世間は「みかんは甘いほどイイ」と思いがちで売られているのも黄色いタイプばかりなんですが、私の場合は「噛むとプシュッと酸っぱい果汁が飛び散る、まだ青々としたみかん」が大好き。
信じられないとよく言われますが、マジでみかんは「まだ青い時期のものだけ食べて、黄色く熟したらもう食べない」くらいなんですよ。
だから一時は「青みかんが安く買える地区に住もうか」と半ば本気で考えたくらいでしたが、「みかん基準で移住地を決める」というのはさすがに無茶なんでやめときました。

このときの根府川ウォークによって、私はひとつの結論を得ました。
「……根府川駅周辺に住むのは無理だな」
徒歩生活を前提とせず、「スーパーまで車で30分」みたいな生活を送る覚悟があるんならいいんですけど、私にそれは無理。
免許がないので、大根一本買うにもいちいち最も近い商店街(小田原駅周辺)まで電車で行かなきゃなりませんからね。

やはり移住地選びには「足を使っての現地調査」が不可欠です。
車だとたいていの場所までスイッと行けてしまい、その土地の持つ空気だとか匂いだとか肌感だとかが正しく感じ取れないので。
ただし、山道に分け入って行くときには「ちゃんとした靴を履く」「飲み水と食糧は確保しておく」という二大原則の順守をお忘れなく!

画題「おかしいな。俺はたしか『町歩き』をしているはずだったんだが」

根府川


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フジミ・セージ
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