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あるスーパーのユーモアあふれるアイデア
少し前、あるスーパーマーケットのニュースを見かけました。
お店のトイレに置いてある予備のトイレットペーパーが、たびたび盗まれてしまう——そんな悩みを抱えていたそうです。対策を考えたものの、なかなかうまくいかない。そこで、お店がとったのは意外な方法でした。
トイレにこんな張り紙をしたのです。
「当店のトイレで使用しているトイレットペーパーがあまりにも好評なので販売することになりました。当店のトイレットペーパーをご自宅でもご使用したいというお客様 お手数ですが、サービスカウンターまでお持ちください。1個50円」
ユーモアたっぷりのこの対応、結果はどうだったのか?
お店のスタッフによると、「具体的な使用数を記録しているわけではありませんが、明らかに減り方が変わったので、効果はあったと思います」とのこと。
実はこのアイデア、ある道の駅で同じような被害に悩んでいたスタッフが考えたものだそうです。その記事を見つけたスーパーの担当者が「これ、いいな!」と採用したんですね。
それにしても、最初にこの発想をした人、すごいですよね。
この話を聞いて、僕は2つのことを考えました。
まずひとつ目は、「ユーモアの力」です。
こうした盗難防止策では、「持ち出しは禁止です。発見次第、警察に通報します」といった警告が一般的。でも、このスーパーの張り紙は違います。ちょっとクスッと笑える表現で、「禁止する」のではなく「買える」という形に変えたんです。こうすることで、読んだ人が嫌な気持ちにならず、目的もきちんと果たせる。
もうひとつは、「人の心理をうまく突いていること」。
誰だって「トイレットペーパーを盗むのはよくない」とは思っています。でも、「無料のものなら、ちょっとくらい……」と軽い気持ちで持ち帰ってしまうこともある。それが「50円」という値段をつけられた瞬間、途端に「これは万引きと同じ」という意識に変わる。この小さな心理の変化が、大きな抑止力になったのでしょう。
世の中には、いろいろな問題があります。でも、ちょっとしたアイデアとユーモアで解決できることもある。
こんな温かくて賢いアイデアが、もっと増えていくといいなと思いました。
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