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こんな時代だからこそ一次情報に価値がある

ずいぶん前になりますが、ある会で、陸前高田市にある会社の代表取締役・Kさんのお話を聞く機会がありました。Kさんは、東日本大震災で会社の建物も商品もすべて失ってしまったのですが、それでも社員一人一人を守り、4月に予定通り採用される内定者たちとも一緒に、工場を再開しようと懸命に頑張っていらっしゃいました。

震災のことはニュースで何度も見ていたけれど、実際にKさんからそのときの話を直接聞くと、映像や言葉だけでは伝わらない、あの日のリアルな感情が伝わってきて、胸が締め付けられる思いでした。

Kさんは、その後のご苦労も話してくれましたが、僕にとって特に印象に残ったエピソードがあります。

震災のその日、Kさんはみんなと高台へ避難し、一晩を屋外で過ごしたそうです。真っ暗な夜、寒さに震えながらも、誰かが冗談を言うとみんなが笑いあって、少しだけ心が和んだと。そして朝が来て、瓦礫の山の上に朝日が差し込んだ瞬間、その光景がとても美しく見えたそうです。

震災を伝えるニュースや報道は、どうしてもその悲惨さばかりが強調されがちです。でも、実際にはもっと深いところで、強さや温かさ、人間らしさがあふれていることもあるんじゃないかと思うんです。Kさんの話を聞いて、そんな力強さを感じました(Kさんのお話の中にはもっと多くの貴重なエピソードがあったのですが、ここでは割愛させていただきます)。

この講演を通じて、僕が一番感じたことは「体験者から直接話を聞くことの大切さ」です。


情報には「一次情報」「二次情報」「三次情報」と、段階があります。一次情報は、自分が実際に見て、感じて、体験したこと。二次情報は、それを誰かから聞いたり、伝え聞いたりしたこと。そして三次情報は、テレビやインターネット、新聞などを通じて得る情報です。情報が多ければ多いほど、その情報源が曖昧になりやすいものです。

今回は震災という特殊な出来事なので、僕たちが直接「一次情報」を得るのは難しいことですが、こうして実際に体験した人からお話を聞くことで、その情報がぐっと心に染み込んでくるんです。やっぱり、何かを知るときに、誰がどんなふうにそれを伝えているか、ということがすごく大切だと思います。

インターネットが普及する前は、私たちが得る情報のほとんどはマスコミからでした。新聞やテレビは、現地の記者が取材して伝えてくれるので、まだ二次情報に近いと言えます。でも最近では、SNSなど新しいメディアが登場し、そこには三次情報が溢れています。見た目にはリアルに見えても、実はデマだったり、情報の正確性を疑わなければいけないことも多いんです。

情報を受け取る側としても、しっかりとリテラシーを持つことが大切ですし、できるだけ「現場」「現物」「現実」に触れる姿勢を大事にしていきたいですね。一次情報を持っている人から直接聞くことが、価値ある情報に触れることだと思います。

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