Director's Note #3 ポッドキャストをはじめた目的と提供したい価値
ポッドキャストを聞き出したのはおそらく10年くらい前。
愛媛に移住した後はしばらく利用していなかったのですが、4年くらい前から通勤時間の情報収集として利用再開。
で、ここ1〜2年でデザイン界隈の番組をされているのを聞き、自分の中でも「やってみたい欲」が芽生えたものの、ずっと漠然とした「やってみたいな〜」程度のもので、具体的な行動までは大きな距離感がありました。
そんな「配信したい願望」が実際の配信という行動に至ったきっかけと、もともとの目的をまとめようと思います。
ついでに、「そもそも自分、ポッドキャストで何したいのさ?」という提供価値について改めて考えてみました。
目的1.喋りの技術を磨きたい
Webディレクターという職種柄、クライアントとの打ち合わせや社内での打ち合わせなどコミュニケーションの仲介役となる事が多い立ち位置なので、必然と「喋りの技術」は求められる。
それも、なんとなく「ですよね〜」な相槌ではなくて、提供する技術的な情報をクライアントに咀嚼しやすく伝える噛み砕きやたとえ話といった技術と、逆に相手の専門領域を「つまり、それってこういうことですよね?」と分解し、理解する即興のメタ認知と言語化能力。
それらは仕事を通じて鍛えるのもいいけど、鍛えるには場数が必要なので、無いなら作る!という思い。
目的2.自分の日常は他人にとっての発見になるかも
これは、恭久さんとのお話で自分自身が言ったのですが、受託Web制作の仕事をする中で、ディレクターが入る事での提供価値の一つに「プロジェクトを通じて、クライアントの当たり前は世の中的には特別な事である事に気づいてもらう」があると思っています。
それは、逆に考えると「それって自分自身にも言えるのでは?」と。
つまり、10年以上ディレクターとしてお仕事させていただいている中で得た気づきや日常は「ディレクターになりたてで奮闘している人」「ディレクターの存在に意味を感じない人」「社内のディレクター考えてる事を理解したい人」「Web業界に興味がある人」と、色々な人に対して小さくとも価値提供になるのでは?と思い始めました。
また、それは自分自身が無意識化していた事を棚卸し的に言語化する事にもつながるため、良いことづくめやないかと。
目的3.発信を通じて、愛媛松山で一緒に働く仲間を増やしたい
2012年に愛媛に移住し、同時に入社させていただいた(株)アイムービック。
入社当時は20人に満たなかったのですが、今や40人弱と受託Web制作で、特に「地方都市」というグルーピングがあるならば、そこそこ多めの人数規模になってきております。
そして様々な案件に入らせていただきながら、私が担当させていただく案件も少しずつ難易度や規模感が大きくなってきていて、「ディレクターって一人じゃほんと何もできない…。」という揺るがない事と大きな感謝を、メンバーに対してなんとか還元したいという思いは年を重ねる毎に大きくなる。社長でもない立ち位置ではあるものの、もっと自分自身が楽しく仕事と組織にコミットし、一緒に仕事をする皆にも何かしら恩返ししたい。
そう思った時「発信側に立ち、松山という地方都市でも地に足ついて"田舎だから"と言い訳せず、しっかりとしたWeb制作を一緒にやっていきたい!という人を増やす」ことができたら、それって素敵やなと。
目的4.単純に「ラジオやってみたい!」の衝動
機材も特になく、編集技術もやり方もない。
だけど、参入障壁が低くなり原体験を膨らますと「やってみたい」の気持ちは日に日に増していく。これは理屈云々ではなく。
まぁ最初は聞く人も少ないでしょう。それでいい。やってみないと課題もわからないし、最悪傷つくのは自分だけ。じゃぁ大丈夫。なんとかなる。
目的5.ディレクターの友達ほしい
愛媛に移住して今年で8年。食や住環境については大満足の土地ではありますが、いかんせん市場の中心はやはり東京や大阪等の都市部。
幸い、会社としては東京をはじめ県外からのお仕事を多数いただいているものの、街にいる人口的な差は歴然で、当然業界の人間も少なくなってしまい、となると「Webディレクター」なんぞもっと少なくなるよねと。出会いの場となる勉強会や交流会の数も圧倒的に変わってきます。
去年の夏頃から「いかん。もっと社外の人と交流せねば!」と異業種交流会に顔を出したり、Twitterの利用を強化してみたり。
それらはすべて「同じディレクターをしている人ともっと知り合いたい!」という根っこに繋がり、ポッドキャストは「実際に会ったことないけど面白そうなディレクターをナンパするための口実として使えるんじゃないか。」というもの。もちろん出演はディレクターだけでなく、いろんな方をお呼びして、普段触れられない価値観や気付きにつながればと思っています。
きっかけ:長谷川恭久さんのAutomagicへの出演決定と、名村晋治さんとの公開ディレクター談義
1本のnoteに「出たい!」と書いた事をきっかけに、恭久さんのポッドキャストに出演させていただくことが決まりました。(2020/4/7配信)
「やりたいなー。やってみたいなー」で止まっていたのが、このnoteをアップしてまもなく恭久さんから「出ますか?」とお声がけいただきました。
そして出演が決まったあと、サービシンクの名村晋治さんと行う事になったディレクター談義。
イベントが重なった。今しかないやろ!と。「どうせ出演なら自分の発信も重ねて宣伝してもらわな損や!とりあえず音質悪かろうがジングルなかろうが小さくてもいいからやる!」と、急遽ポッドキャストを開設した、というわけです。
なので、ポッドキャストの名前やカバー画像なんかも熟考する余裕もなく「配信すること」をゴールに進行しました。
そして、スタートするきっかけとなった恭久さんのポッドキャスト出演の回。モヤついてるディレクターの方は聞いて、ぜひ一緒にモヤついてください。
さらに名村さんとのディレクター談義もとっても面白かったので、このお話もぜひお聞きいただけると嬉しいです。
最後.ポッドキャストを通じてどんな価値提供をしたいの?
「普通そんなん最初に考える所ちゃうの?」とツッコミ食らいそうな話。
これは先述の「理由2.自分の日常は他人にとっての発見になるかも」につながるのですが、恭久さんのポッドキャスト配信後、ディレクターさんの反応を見ていると、思った以上にモヤついたディレクターが人が多いことに気付かされました。
確かに、ディレクターの業務範囲は多岐にわたり、スキルセットも曖昧で、難しい局面に立たざるを得ない事も多く、「できない」ではなく「どうやったらできるか、他に策はないか」と、とにかくプロジェクトを前進させる事が存在価値であり、「頑張ったから評価するね★」なんて甘っちょろいものは無く極めて結果論。
であれば、一応Web制作業界で20年、「ディレクター」として10年以上お仕事させてもらってる私自身の体験や思考は、今は「当たり前」と思っている事でも10年前(29歳)当時の私にとっては当たり前でなかった事は沢山あるはず。
ならば、世の中で私と同じくディレクターとして働いている人、「ディレクター」ではなく「ディレクション業務」にフォーカスして自身の仕事の幅を拡げてみたい人、職域を超えて他者のモヤつきや「あ、悩んでるの私だけじゃないんだ」という共感から不安解消につながれば良いな、という思いもあります。
また、この発信を通じて「ディレクターって面白そう」「私もディレクターになりたい!」「ディレクターって大変なんだな。。もっと敬おう。」と思っていただき、逆にディレクターは現場の想いを受け止め相互理解につながり、優しい世界につながったら嬉しいなと思います。