SOULWAXとシミュレーショニズム
writer:沖鳥灯
ベルギーのロックバンド「SOULWAX」(1992‐)を初めて聴いたのはくるりの「OH!MY RADIO」(J-WAVE/毎週金曜/2001年10月 - 2003年9月)だと思う。セカンドマキシアルバム「マッチ・アゲインスト・エヴリワンズ・アドヴァイス」(2001.3.7release)の一曲のはずだ。
Soulwax - Conversation Intercom (youtube.com)
2001年のことなので記憶はあやふやである。一聴してたいへん気に入り、後日HMV上野で即買いした気がする。ライナーノーツに「グラスゴー発」とあると思い込んでいたが記憶違いかもしれない(ベルギー出身だし)。とはいえ所有している本アーティストのCDは本作のみ。特段ネット検索することもなく、現在の活動を追うこともなかった。23年間の月日が流れた。くるりは森信行が脱退(2002)して、何回か再共演した。先述のラジオで森くんのあだ名が「モリリン・モリソン」で深夜爆笑していた。「おちんちん」「オティンティン」と岸田繁が絶叫してもいた。つくづく放送コードのゆるい時代だった。最近気まぐれにYouTubeでSOULWAXの動画を観た。以前より「Conversation Intercom」はTwitterで共有することがあった。とはいえ「Much Agains Everyone's Advice」を聴き返すことは稀で、他の曲はYouTubeで視聴しなかった。気まぐれは続きSOULWAXのYouTubeを漁った。
Soulwax - Much Against Everyone's Advice (youtube.com)
Soulwax - Too Many DJs (youtube.com)
SOULWAX - NY Excuse (youtube.com)
Soulwax - Slowdance (youtube.com)
先ほどWikipediaで得た知識だが、ボーカルとギター担当はディワーラ兄弟である。兄弟はアマチュア時代にDJとして活躍しており、デビュー後はバンドと併行して「トゥー・メニイDJ'S」というDJユニットで活動している。
ディワーラ兄弟はテクノ、エレクトロ、ロック、ヒップホップ、ソウル、ファンク、ポップスなどをミックスする「マッシュアップ」というDJスタイルのパイオニアとされた。90年代の日本でもDJプレイは花盛りで、自分はdragon ash ボッツや須永辰緒などを好んでいた。カットアップ、サンプリング、リミックスなどの手法は文学や映画にも普及している。先日、研究は「警察」、批評は「探偵」という比喩を見聞きした。DJスタイルの「大衆イメージのアプロプリエーション( appropriation 、 盗用)」=「シミュレーショニズム」こそが近代芸術の唯一性「アウラ」に対抗し得る術だと思う。「警察」「探偵」へ「盗賊」で立ち向かう所存である。
Soulwax - Too Many Dj's (live on TFI Friday 1998) (youtube.com)
追記
SOULWAXの新譜『エッセンシャル』(2018)を注文した。とても楽しみだ。