
言えないよ・・・サイトウ・タクミが誰なのか知らないままでここに来たなど・・・!〜夕張国際ファンタスティック映画祭の思い出(3)〜
誰が「サイトウ・タクミ」なのか全く分からぬまま、私以外全員が「サイトウ・タクミ」のおっかけ、という状態で数日間、夕張の相部屋の宿で過ごした日々の思い出である。
「サイトウ・タクミ」の追っかけをしている一人の女性と仲良くなった。彼女は、関西出身で、非常に身長が高く、私がサブカルにかぶれるきっかけとなった映画の一つ、90年代を彩ったクエンティンタランティーノ監督の、「パルプフィクション」のユマ・サーマンにそっくりであった。彼女はかなり保守的な地域と思われる県の出身であったが、付き合う男性、付き合う男性、黒人なのだという話になった。
黒人とばかり付き合っている!?
山田詠美の本に出てくる人みたいだ…。
彼女は自分よりは若そうであったが、それなりの年齢層に見えたので(なんか全方位的に失礼な分析)、黒人とばかり付き合っているというエピソードがサラリと出たことに、妙に衝撃を受けた。
彼女は「サイトウ・タクミ」の熱心な追っかけのようだったが、追っかけグループとの交流に少し疲れている様子であった。私は、映画フアンであり、「サイトウ・タクミ」のフアンではないことに気づいているのかいないのか、分からなかったが、連絡先を交換したところ、ガラケーのメールを頻繁に送ってくれるようになった。私は積極的に一人で活動をするよう心がけていたが、彼女は私と一緒に映画を見たいという。
しかし、何度も書いているが私は「サイトウ・タクミ」が誰なのかさっぱり分からない状態で、映画を見るために夕張国際ファンタスティック映画祭まではるばる来たのであり、映画よりも会場にいる「サイトウ・タクミ」ばかりを見ようとしている「サイトウ・タクミ」フアンとは、方向性が違うという気がした。彼女たちとはあまり一緒に映画を見たくはなく、一人で集中して映画祭を楽しみたかった。そして周囲が全員「サイトウ・タクミ」の追っかけであり、会話の9割が「サイトウ・タクミ(残りの1割は天気の話)」という状態で、私はどうしても、「サイトウ・タクミ」が誰なのか知らないで夕張に来たということを、一切、言い出せない状態に陥った。
スマホでググれば出てくるのでは!?と今なら思うのだが、私は、当時、ガラケーであった。しかもパケット通信費が高額になることを恐れて画像はでない設定にしている。遅過ぎるし、何も出てこない。ググれない。
映画祭期間は数日間あったのだが、とあるイベントに、「サイトウ・タクミ」が出るという。私は誰が「サイトウ・タクミ」か分かっていないままにここにいるという状態が、とても不安になってきた。こんなにみんなが「サイトウ・タクミ」の話をしているというのに。ふんふん…とうなづいて、あたかも自分もフアンであるようなふりをしてきたが、誰が「サイトウ・タクミ」なのか知らないというのは、あまりにも、あまりではないか。少なくともどれが「サイトウ・タクミ」なのかを、知るべきではないのか、という気持ちが強まってきた。
知りたい。これほどまでにさまざまな年齢の女性の心を鷲掴みにする「サイトウ・タクミ」とは何者なのだろうか。知りたい。
そんな気持ちが強まり、彼が登場するというイベントに行くことにした。
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